あとがき(ゲセンへの扉)

文字数 700文字

最後までお読みくださり、ありがとうございます。


原作の小説は、最後にゲンリーがエストラヴェンの日記を持って、彼/彼女の故郷を訪ねるところで終わっています。

原作者に生前お目にかかったときに、この続きはないのですか?とうかがってみました。ル=グウィンさんのおっしゃるには、続きを考えたのだけれど、あまりに悲しい話になりすぎてしまって、書けなかったの。

どんなお話ですか?

だって、ゲセンが外界と接触したら、きっと新しい疫病が持ち込まれて、免疫のないゲセン人たちが死んでしまうのよ……


!!


2012年のことです。
ル=グウィンさんの念頭にあったのは、たぶんマヤやアステカに起こったことなどだったのだと思います。

でも、いま、この時期に、思い出すと。

彼女の先見の明に、ほとんど戦慄を覚えます。


「これが僕らが夢見た未来だったのか?」というゲンリーの台詞は、私のオリジナルです。けれども、『闇の左手』という作品が全編をかけて言おうとしていることを、少しは伝えられているのではないかと自負しています。

この続きを、知りたいと思いませんか?

いえ、私たちがこの続きを、作らなければならないと思いませんか。

二次創作という意味ではないです。私たちがこの続きを「生きなければ」ならないと思いませんか。

私は、この物語が、いまこそもっと日本で広く読まれてほしいと痛切に思うのです。


新訳があればと思います。アニメ化されたらと夢想します。妄想します。


もしも、もっとゲンリーたちに会いたいと思っていただけるようでしたら、

(いっしょに妄想していただけるなら、笑)

ぜひ私の「もっと『闇の左手』」のページへお越しください。

お待ちしております。



ミムラアキラ

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登場人物紹介

ゲンリー・アイ

地球出身。惑星同盟《エキュメン》の特使。惑星《冬》ことゲセンに単身降り立ち、カーハイド帝国の皇帝に開国をうながす。長身。性格は誠実で直情的。推定される容貌はアフリカ系。男性。

セレム・ハース・レム・イル・エストラヴェン


ゲセン出身。帝国カーハイドにおける《王の耳》(宰相に相当する最高実力者)。ゲンリーの使命の重要性をただ一人理解する。やや小柄(ゲセン人の平均的体躯)。性格は慎重かつ大胆。推定される容貌はアジアあるいはエスキモー系。中性(両性具有)。

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