回想:おそらくこれがファーストコンタクト

文字数 1,259文字

というか、薫子の欠伸から始めてしまったが、なぜ俺たちが屋上にいるのか、付き合うことになったのか、その経緯について話しておこう。
俺は皆川 佑と言ういたって普通の高校2年生。

この学校に2年半通うけれど、入学してから親しい友人が出来たことなく、ぼっち街道を突っ走っている。


部活は天文部で、唯一の部員。

天文部は屋上での活動が許されているため、屋上の鍵を預かっており、自由に出入りすることが出来る。


誰も来ることがなく、俺が校内で安らぐことが出来る唯一の場所。

いつも昼休みはここでお弁当を食べる。

今日も、いつものごとく屋上へとやって来ていた。

ふぅ、ここは落ち着くぜ
キイィィィイイ……
あ……やべえ鍵閉めるの忘れてた
ねえ
うおおおっ!!びっくりした――って……黛 薫子!!!

黛薫子とは、同じクラスの女子で、その外見から学校一の美少女として有名だ。

美しい黒髪ロングにぱっちりとした大きな黒目の持ち主、小顔で肌は白く日の光を浴びずに育ったことが伺える。あと巨乳。


しかし、有名人ではあるが、人気者というわけではない。

むしろ女子には嫌われている。

黛薫子は教室でいつも寝ている、休み時間になる途端にふらふらとどこかへ行く、誰も彼女と深く関わろうとする者は居らず、どこかつかめない、変わった女だからだ。

なんでフルネームで呼び捨てなのよ!
ああ悪い。いつも脳内で黛薫子って呼んでるからつい……。
なるほど、私ほどの有名人となれば結構な頻度でそう呼ばれるから別に気にしてないわよ。むしろ光栄。
へえ……お前そんなキャラだったのか。クラスだと全然喋ってるの見たことないからさ。
友達いないのにどうやって喋るのよ、独り言ブツブツ言ってたら変でしょ。それに、あなたも同じく喋ってるの見たことがないわよ。ぼっちだもの。
まあな!俺はぼっちだけど!!!くそう!!

ていうか、何勝手に入ってきてんだよ、屋上は立ち入り禁止だぞ

ああ、ずっと入ってみたくて。

あなたのおかげで入ることができたわ。

それはよかったな、でも立ち入り禁止だから出ていけ。
出ていけだなんて言わないで。

あなたにとってここが好きなように、私にとっても最高な場所になる気がするの。

あ、そうだ。私が必要じゃない?

?どう必要なんだ?
あなたが望むなら膝枕とかしてあげるし、お弁当も一緒に食べましょうよ。

ええ、いいわね。それはもう彼女彼氏の関係よね。

よかったわね、私が彼女になってあげると言っているのだわ。

彼女……ってえええ!!まじか!!!
まじよ。

その代わり、私がこの屋上に立ち入ることを許可してね。

えっと……ああ、それくらいなら全然。
よかったわ。まあ、あなたが断ることなんて不可能よね。なんたって、私は学校一の美少女なのだし。
うん、そうだな……美少女……美少女、だよな?
なに怪訝な顔をしているのよ。

ということで、今日からよろしく。今日は用事があるから、明日からまた来るわね。

あ、ああ……よろしく
俺は薫子の言うことを承諾してしまったが、この日から俺にとってのオアシスである屋上での平穏が消え失せたことには後悔しか浮かばない。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

黛 薫子 (まゆずみ かおるこ)


学校で一番の美少女と言っても過言ではない。

孤立しており、友達がいない。

クラスではあまり喋らないが、喋ると分かる重度のクズ。

皆川 佑 (ミナカワ タスク)


モットー 適当に生きる。

だが、意外にも面倒見がいい。

高校生活をぼっちで生きることを決意する。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色