色々試してみてくれないか? 1

文字数 1,290文字

Zzz...
(し……指示を……色々と試せって……)
何を言おう? 言えば、その通りの行動をとる……それが催眠術。

おそらくは学園で一番の頭脳の持ち主……そればかりか、容姿もトップクラスの美少女、名門演劇部を率いるリーダー……その彼女を自分の言う通りに操れる……。

いや、それだけじゃない。

催眠状態中の出来事を彼女は憶えていないのだ。
マジかよ……!
それは、改めて自分の立場に気づかされたことを意味する呟き。

そして、この状況であれば当然の、あらぬ妄想、よからぬ考えにむらっと心をざわつかされたとしても、そんな男の子を誰が責められようか。
先輩の胸……けっこう大きい。ふっ、ふともも……スカートのその奥……。
たとえば、そこの部分をめくって中を覗いたとしても、今なら全く気付かれることはないという事……いや、いやいや! そんな卑怯な真似……人として最低の下衆な行為だ。

しかし、そう……
(どうせなら、自分でまくって覗くより、鏡花先輩自身にまくらせたほうがエロいのでは……?)
ぐわああああっ! なに迷ってんだ俺は!
抑えきれない邪悪な想いに悶絶する。

しかし! しかしである。
それが逆らいがたい本能的欲求であることもまた事実。
すぅ……すぅ……
身悶えする彰の前で、静かな呼吸に従って鏡花の胸がゆっくりと上下する。

普通なら触れたくても触れることの叶わぬその魅惑の膨らみを……今なら、誰にも――当の本人にすら――咎められずに好きなだけしたいことができるのだ。

嗚呼、その誘惑に耐えられる男なんているのだろうか!?
ゴクリ……。
きょ……鏡花先輩……。
ゆっくりと、手が伸びる。
む……にぅっ……!
セーラー服越しに、彰の指先が第一関節……第二関節……ずぶずぶと沈み込んでいく感触がたまらない。
んっ……
……っ!?
一瞬身構えた彰だったが、鏡花の反応はそれだけで、叫び出しもしなければ、指を振り払おうともしない。
Zzz……。
お……
おおおおおおおっ……!
いったあああああ!
ん……ん、ん……Zzz...
憧れの人になんということを!

しかし、もう後戻りはできないのだ。

いや、気づかれていないのだからいくらでも後戻りはできるのだが、そうではなく、彰自身の気持ちのことだ。

今更、もうこれで終わりという事にはできない。
(さっき、次の予定まであと十分って言ってたよな……)
(じゃ、じゃあ、急がないと……!)
もう一方の腕を伸ばして、そちらの手もあてがう。

両の手の平で包み込んだふたつの温もりをなぞるようにして親指を滑らし探索する。
(……あった!)
コリッという感触に突き当り、その部分を摘まめるように指をねじ入れる。
ん……あ……んくぅんっ……
少し切なげな顔となって身をよじる鏡花。

その仕草に彰の背筋がゾクソクする。
(……感じてるんだ)
もっと反応が見てみたい。

衝動に駆られるままに指を遊ばせ、適度な強弱をつけて弄ってやる。
ああっ……んっ、んんっ……くふうっ……んっ、ん!
くねる身体、吐き出される熱い吐息。
(うわああっ……すげーエロい! たまんないよ!)
それでも、鏡花は喘ぐだけでそれ以上の事を口にしない。
(……そうだ! 最初の指示を思いついたぞ!)
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登場人物紹介

神楽見鏡花(かぐらみ・きょうか)

桜坂すめらぎ学園の演劇部部長。
プロの劇団の脚本をも手掛ける才色兼備の美少女。

水城亜優(みずき・あゆ)

桜坂すめらぎ学園の新入生。
鏡花に憧れ演劇部に入部する。

太田垣彰(おおたがき・あきら)

桜坂すめらぎ学園の新入生。
亜優にはいつもヘタレ扱いされているが、スケベに関しては大胆なところも。

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