第7話 踏み踏み

文字数 491文字

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「瞬殺、だったのだ」



 路上に倒れている空美野涙子の背中を足で踏みつけながら、佐原メダカに朽葉コノコは言った。



「瞬殺、だったのだ」


「うるせぇ、二回も、言うな……げふっ」

 強く踏みつけられて涙子は呻いた。


「うぎゃあああああああ。なに涙子さんを踏み踏みしてるんですかコノコ姉さん! わたしの涙子さんをー! ……わたしにも踏み踏みさせてください」

「お前も踏むのかよっ!」



「ええ。ええ。踏みますよ、涙子さん。わたしの『愛』を受け取ってくださいなっ!」


 踏み。踏み踏み踏み踏み。

「うぎゃああああああああああああああ」

「どうですかぁ、涙子さん?」

「くそ! 今の実力なら朽葉の奴に勝てると思ったのによぉ!」

「どの口が言うのだ、涙子ちゃん?」
「そぉですよぉ、涙子さん♡」


「ちっくしょー!」


「もっと踏み踏みしましょーねー」
 メダカがにやりと笑う。




 卒業式の朝。これでメダカたちは進学することになった。
 みんなでちょっぴり遅刻はしたのだけれども。



〈了〉
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登場人物紹介

佐原メダカ(さはらめだか)

 朽葉珈琲店で働く元気いっぱいの女の子。

金糸雀ラピス(かなりあらぴす)

 ひきこもりにゃーにゃー娘。

御陵初命(みささぎはつめ)

 生徒会長でジャズミュージシャン。

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