第六話『その代償は大きいぞ』

文字数 1,405文字

ああああああ!

私の!私のローズマリーがぁー!

ウフフ……暖カイ……ノダ……ワ……。
ちくしょう、一体誰のしわざだコノヤロー!
さてはさっきの二人組みの仕業だな。

やっぱり八つ裂きにしてやりましょう。

ちげーよ……。

流石に濡れ衣すぎて哀れだからやめてやれ。

なんてことをなさるんですの!!

私のローズマリーに何の恨みがあるんですの!?

まあ……ジェノも良かれと思ってやったことだし?

不可抗力っていうか……仕方ないって感じ?

別に死んだわけじゃないんだから、いいじゃねーか。
よくねーし!?

貴方は自分の使い魔がうんこまみれになっても

平気だというのですか!!

ぜってーやだ。

とりあえず川に投げ込むわ。

オイ……。

確かにそうだけどオイ……。

よーし、ここはオイラに任せな!

こう見えても、病人の治療もできるんだぜ。

おお、それは凄い!

是非お願いします!

お願いしますじゃねーよ。

余計に悪化させてどーする……。


うん、気持ちだけで充分だから。

とりあえず何もしないで?それが一番の治療だから。

ネオンは必死にローズマリーを磨きぬいた。

見る見るうちに顔色がよくなったローズマリーは、

数十分という時間をかけて正気に戻っていった。

ああ……ありがとう、お姉さま。

お姉さまのおかげで、私、元気になりましたわ!

ああ、よかった……!

本当に良かったですわ、ローズマリー!

ネオンはローズマリーを優しく抱きしめた。
ううっ……。

泣かせる愛情じゃねーか、チクショウ!

うぅっ……。

そう言われると感動の光景に見える……泣きそう。


まさに美しい友情という奴ですね!
え……?

お前らマジで言ってる……?

どこに泣ける要素と美しい要素があるんだよ……。

バカか。こいつらバカか。

ミリリが感動な光景に涙を流していると、

林道の奥の方から担任の先生が走ってきた。


ああ、やっと見つけました!

まったく、ダメじゃないですか。

あれほど迷子にならないように言ったのに!

あ、先生。すみません。

ですがアレを見てください。

とても感動的な光景だと思いませんか?

え、あ……はい。とても感動的ですね!

さて、今度はちゃんと先生についてきてくださいね~。

先生も感動で、涙がちょちょぎれてらぁ!
一滴も流してねーよ。
先生に案内され、ミリリ達は大きな公園までたどり着いた。

お弁当を食べている生徒達もおり、

ミリリ達も適当な場所で昼食をとることにした。

やっとメシか!

いやー、結構歩いたから腹が減っちまったなぁ。


貴方、食事する必要あるんですの?
何を言ってんだ。あったりめーだろ!

メシをくわねーと餓死しちまうだろ。

うんこがメシを食うのか……恐ろしい光景だな。

ミリリ、俺だけ他で食っていい?

だめ。
おっと、その前に手を洗ってくるぜ!

ちゃんと洗わないと、ばい菌がはいっちまうからな!

うんこがばい菌の心配をするのか……。
ねえ、ライナちゃん。

気持ちは分かるけど、あたし達これからごはんだからね?

その言葉連発しないでくれる?

あ、はい……ごめん。
ジェノが水道のある広場へ向かった数分後、

水道がある広場が騒然としだした。

何だか騒がしいですね。

何かあったのでしょうか?

大変だ!うんこ!うんこうんこ!

うんこが水道を使ってばい菌を撒き散らしてるぞ!!

俺……あのうんこが使った水道の水……飲んじゃった。
嫌ぁぁあああ!お兄ちゃん、しっかりして!

誰かお兄ちゃんを助けて!お願い!

おい、どうするんだこれ!?
逃げよう。

何も考えずに逃げよう。

ミリリ達は公園から全速力で逃げ出した。
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登場人物紹介

ミリリ・アルベール


15歳。

中ニ病ぎみな女の子。

よくわからない事を呟いてカッコつけているが、

事あるごとに素の口調に戻ってしまう。

また、友達と一緒の時も素の口調であることが多く

中ニ病に入門したてと言ったところ。

胸が小さく、そこを突っ込まれると怒る。

幼い頃、猫の集団に襲われたことがあり、猫は大の苦手。

見かけるとトラウマが蘇ってヘタレる。

ジェノ・サインダー

『我が操るは、混沌から現れた強大な悪夢』

ミリリの相棒である魔物。

形容しがたい形と色と感触をしている。

強大な悪夢、というのはあながち間違いではない。

すし屋の大将で、歴戦の戦士という

よくわからない経歴を持っている。

ネオン・ライナーン


15歳。お金持ちのお嬢様。

事あるごとにミリリに嫌味を言ってくるミリリのライバル的存在。

……と本人は思っているがミリリには影が薄いと思われており、

その存在を中々覚えてもらえない。


自分の相棒は世界一の魔物と思い込んでおり、

色々な生徒に自分の相棒を自慢して周っている。

生徒達からは『何言ってんだこいつ』という目で見られているが、

本人はそのことに気づいていない、ある意味幸せな子。

金持ちの癖に頭が悪い。

ローズマリー


ネオンの使い魔。♀。

顔に合わない口調で喋る壺。

壺なので割れると絶命するが、

破片を集めると生き返ることができる。

ライナ・バーバレン


ミリリの友達。

中学生の時から一緒で仲が良い。

男のようなガサツな言葉遣いをして、

下品な言葉も平気で口にする残念な女の子。

めんどくさいことが大嫌いで、

自分の使い魔の名前すらも適当につけてしまった。

やることなすこと大体適当。

マンマルー


ライナの使い魔。

ライナに絶対的な忠誠を誓っている。

基本的に温厚な性格だが、ライナを侮辱する者や

攻撃する者には口調が荒くなり容赦がなくなる。

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