◆Scene05
文字数 799文字
いや～、苦労しましたよ…
工場長のパソコンはイントラネット接続で
外部からは侵入できないから
こうして物理的に盗み出すしか
方法がなかったもんで…
コタちゃん、急にどうしたの！？
しゃべり方、普通になってるよ！
フッフッフ…
コタロウってのは偽名さ
ボクの名は大崎一番太郎…
門外不出のハッピーパウダーのレシピを盗みだすため
亀田製菓に潜入した産業スパイさ
さ、産業スパイだと！？
ボクの父は…
隣町にあるチョコレート工場の経営者だったんだ
しかしリーマンショックで失われた
20年間のうちに工場の経営は悪化
父は失意のうちに病で倒れ、
これといったヒット商品も作れず
家族は貧困にあえぐばかり
そこで目を付けたのがハッピーパウダーだった
老若男女に愛される
ハッピーターンの秘密を手に入れれば、
ハロウィン特需でボロ儲け…
可愛い妹たちにも
温かいスープを飲ませてやることができるんだ
まさか…
コタちゃんが産業スパイだったなんて…
せっかく仲良なれたと思ったのに…
ノン子さん、すまない
人間てのは、金がなきゃ幸せになれないんだ
ハッピーターンなんつってもさ
結局カネのないヤツのところには
ハッピーはターンしてこないんだよ
だからボクは
力づくでハッピーを手に入れてやるって
心に決めたんだ！
コタロウさん…
いや、大崎さん…
あなたにも事情があるのは
よくわかります
でも、そのパソコンを置いて
今すぐ降伏してください
さもなければ、わたしたち、あなたを撃つことになります…
な、何者だ、おまえたちは！
ナーフを持ってるなんて
ただの新入社員じゃないな！？
僕たちは社長から直々に
ハッピーパウダーの秘密を守るため
特殊任務を命じられた…
特命新入社員なのです！！
創業以来
ハッピーパウダーの秘密が守られてきたこと、
不思議に思いませんでしたか？
それには、理由があるんです…
ええ！？
君たち、新入社員じゃなかったの！？
わたしとしたことが
まったく気が付かなかったよ～
くそー！！
あと一歩だったのに…
