後編 居酒屋にて
文字数 1,905文字
その日の晩。
会社近くの居酒屋で、私は主任に告げました。
私はジョッキの中身をひと口あおってから、今日感じた不満をぶちまけました。
そういうと、いままで表情を変えたことのなかった主任が、初めて笑顔を見せました。
そう話す主任の姿を見て、私は気づかされました。
あのとき――山で工事担当者の人に私が反論したとき、主任は私の気持ちと道路工事との妥協点を探っていたのだと。
ここの仕事は、私の思い描いていた理想の仕事ではなかったのかもしれません。
でもいまはもう少し――この会社で、この仕事をがんばってみようと思っています。
私は植物が好きだから。ただの理想論じゃなくて、本当の意味でたくさんの植物が生きられるよう、努力したい。
そう思うのです。
追伸
今度、ハルザキヤツシロランの移植方法を伺いに、大学へ行きます。ひさしぶりに先生と研究室のみんなに会えるのを楽しみにしています。
もうお庭の花菖蒲が咲いている頃でしょうか。今年の夏も暑くなりそうです。先生もどうかご自愛ください。
牧野しずく