あとがき 初版分

文字数 809文字

 このたびは拙作「水獣の(うた)」を最後までお読み下さり、ありがとうございます。

 当初は「ティエラ山篇」のすぐ次に「マラデータ王国篇」を書くつもりでした。

 しかし私の筆力では、今回このお話で書いた凶獣と水獣についてや、エドガルドとイーサンの関係の変化まで一つの作品に盛り込むのは難しいだろうと判断し、本短編を別に書くことにしました。

 結果、「ティエラ山篇」では書き切れなかった裏話や、「マラデータ王国篇」への伏線など、書いておきたいことを詰め込んだような内容になりました。

 春先に沖縄の海に潜ると、海中で(くじら)()き声を聴くことが出来ます。特に子を連れた母鯨がいると親子で呼び合うため、よく啼いてくれます。母鯨の低音と子鯨の高音の啼き声が呼びかけ合う音色は聴いていてとても癒されます。水脈の中でエドガルドとイーサンが水獣の声を聴くところは、沖縄の海で聴いた鯨の啼き声を思い出しながら書きました。

 本当は水獣を登場させるつもりだったのですが、書いているうちに啼き声だけの方が趣深いような気がして、このような描写になりました。

 エドガルドとイーサンの関係は、苦手な方もいらっしゃるかなと思いましたが、最初からこういう設定にするつもりだったので、引っ張っても意味ないと思い、さっさと書いてしまいました。よろしければ引き続きお付き合い下さい。

 では次回こそ「マラデータ王国篇」です。中編の予定でしたが、内容を考えると長編といえる長さになってしまいそうです。

 「マラデータ王国篇」まで終われば、当初の予定通り短編連作という形を取れるのではないかなと思っています。そうなったら「ティエラ山篇」のあとがきで書いた、人狼とヴァンパイアが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する長編の執筆を再開できるんじゃないかなーなどと、まだ一文字も書いていないのにそんな皮算用をしています。

 ともあれ、まずは「マラデータ王国篇」を書き切るよう、頑張ります。

二〇二〇年一月某日 神野 佳月
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