第二回『チームの歴史』

文字数 2,347文字

こんばんわ!

本日も始まりました『FORZA! 多喜城(たきじょう)FC』メインMCを務めます株式会社多喜城(たきじょう)FC 広報部長 伊達(だて)(しずく)です

多喜城FC公式マスコットキャラクター。『マスコット界の腹黒い悪魔』ことタッキーさんも居るニャリ!

タッキーくん、異名が多いですね

それより雫、第一回は『司会』って言ってたのに、どうして今回は『メインMC』なのニャリ?

……え、と。それは、あの……前回の放送のあと財満(ざいまん)選手に『若さが足りない』って言われたので

……雫なりの『若さ』が、『司会』を『メインMC』に変えることだったニャリ?

……

……

さ、さぁ気を取り直しまして

今回のテーマは多喜城FCについてです

ざっくりしてるニャリ

そうですね。いろいろお伝えしたいことはありますが、まずは歴史から

多喜城FCは『オフ・ザ・ピッチ/オン・ザ・ライフ』の物語が始まるわずか4年前に、完全なアマチュアクラブとしてJFLを戦っていた『SOMY(ソミー)多喜城工場サッカー部』を前身にスタートしました

そのサッカー部は強かったニャリ?

そうですね、Jリーグ、つまりプロリーグを目指しては居なかったものの、完全なアマチュアの選手のみで、毎年JFLの優勝戦線に絡むくらいの強さでした

それがなんで多喜城FCになったニャリ?

SOMYさんの内情までは分かりかねますが、プロも目指さず、単純なクラブ活動として以上の結果も求められ、景気の後退による予算不足も重なっての廃部だったと聞いています

クラブ活動以上の結果もって、そんなに人気があったニャリ?

そうです。もちろんその強さもあったでしょうが、お隣100万都市仙台市さんにはたくさんのプロスポーツクラブがあるものの、多喜城市には一つもありませんでした

そのため、アマチュアトップリーグで戦うSOMY多喜城工場サッカー部は、地元の老若男女に『おらが街のチーム』として受け入れられていたんでしょうね

ふぅん。雫もそのころからのサポーターだったニャリな

はい!

当時はもう八巻(やまき)選手が全盛で、エースナンバー10を背負っていたんです!

伝説の4試合連続ハットトリック! 後半アディショナルタイムに直接フリーキック2発での逆転! もう忘れられません!

うん。落ち着け雫。もうチームに居ないヤツの話はいいニャリ

あ、すみません。ちょっと興奮しちゃって

でも多喜城サポーターは、一度でも多喜城のユニフォームに袖を通した選手は『うちの子』としてずっと応援し続けるという伝統があるんです

八巻選手も今は別のチームで戦っていますが、私たちにとってはいつまでも『うちの子』なんですよ

わかったわかった。いいからチームの情報を伝えるニャリ

あ、こほん。翌年からの廃部が決まったサッカー部には、存続を望む署名が3万名以上も集まりました

人口6万5千人の街で、約半分の人が署名したんです。これはすごいことですよ!

でも廃部にはなったニャリ

はい。企業としての決定は覆りませんでした。でもそこに集まった人たちの嘆願は多喜城市にも届いたんです

多喜城市が出資金の60%を負担する形で、ソシオ形式の運営会社である『株式会社 多喜城FC』が設立されました

最初の経営陣は市役所からの出向社員と、スポーツに明るい地元ケーブルテレビ局の社長が兼任したのですが、翌年から私たち専任の社員や経営陣に入れ替わり、完全な市民クラブとして生まれ変わったんです

今でも多喜城市さんはスポンサーとして参加してくださっていますし、多喜城市の持ち物である多喜城スタジアムを優先使用させていただいています

出たニャリ。ソシオ。今回みんなが聞きたい単語ナンバーワンじゃないかニャリ?

ああ、そうかもしれません。ただ、単語として聞きなれないだけで中身は何も難しいことはありませんよ

だからなんニャリ?

ソシオとは、会員からの会費を主な収入として運営される会社のことです。ファンクラブですよね

……それだけニャリ?

そうです。多喜城FCの主な財源はもちろん入場者収入やグッズの売り上げもあるのですが、やはりサポーターズクラブ会員の会費の占める割合が大きいんです

本当にサポーターに支えられてる市民クラブなのニャリ

雫の給料もサポーターが払ってるようなものニャリな

えっと、はい。

そうです。サポーターの皆さんには日ごろの応援も含めて足を向けて眠れませんね

こうして新クラブチームとして『多喜城FC』は誕生します。

本来なら宮城県リーグからやり直すべきところなのですが、選手全員がSOMY仙台工場サッカー部から移動したという状況もあって、特例として東北リーグ1部への参入が認められました

1年目、東北リーグ1部で17勝1分無敗の戦績を残し、JFLへ復帰します。

2年目、復帰したJFLでも21勝2敗7分、2位との勝ち点差16と言う圧倒的な強さで優勝を決めます、その年の11月にはJ3への参入も認められました

……しかしついにプロの舞台に立った多喜城FCですが、そこから成績は転落の一途をたどってしまいます

……まぁそのあとの物語は『オフ・ザ・ピッチ/オン・ザ・ライフ』を見てほしいってことニャリな

そうですね。市民の大きな期待を背負った多喜城FCの戦いをぜひピッチサイドでご覧ください

それでは、『FORZA! 多喜城FC』第二回の放送はこの辺で

司会はわたくし、伊達雫と……

ニャリ?

司会じゃなくてメインMCじゃなかったニャリか?

あ、はい!

ええっと、メインMCは伊達雫と……

タッキーさんでお送りしたニャリ!

それでは、また次回、お会いしましょう

See Ya! ニャリ!

この放送は、ご覧のスポンサーの提供でお送りしました。


      提  供

   株式会社 多喜城FC

オフ・ザ・ピッチ/オン・ザ・ライフ

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登場人物紹介

伊達雫(だて しずく)

 多喜城FC広報部長。(ただし、広報に社員は雫のみ)

 サッカーと多喜城FCをこよなく愛する25歳。

 大学時代のフットサルサークルでのポジションはアラ(攻撃的な中盤の選手)

タッキー(マスコットキャラ)

 サポーターから「さん」付けで呼ばれる、マスコット界一腹黒いネコ。

 丸っこいキグルミの割に運動能力は高く、スタジアム内を自転車で走行する。

 普段は声を出さないが、番組中だけは良くしゃべる。

 語尾に「ニャリ」とつける。

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