第3話

文字数 659文字

母方の祖母はぶっ飛んだ人だった。まず、名家の娘さんで婚約者がいたにも関わらず祖父の子供を身ごもり駆け落ち。あの人はただ女として生きていた。

母親いわく、祖母は働かない人で祖父は鹿のえさやりの仕事。母親が修学旅行にも行かずせっせと稼いだお金を給料日に母親の職場まで取りに行くような女だったと。

ただ、本当に綺麗で可憐だった。日本舞踊を習っていたし、男からチヤホヤされるタイプであった。

私は個人的には嫌いではなかったが、母親であったら嫌だなと正直に思う。

母と祖母の確執は、本当にすごかった。

祖母が今まで住んていた家を潰すということで母の弟が面倒をみることになった。そのまえに掃除をして欲しいということだったので、母と2人で掃除に行ったが現状を見た母がヒステリックになり、そのまま東京の家に持ち帰ってきてしまったのだ。

それなのに、母は祖母の顔を見て過去の話をしてヒステリックを起こし暴力をふるう。

わたしは、自分の家族から殺人者が出るのを恐れ大嫌いな実家に見張るという大名義を持って夕食を食べるようにしていた。
結局母は祖母を殺さなかった。

どこかの知らないダンプカーのおじさんに轢かれて死んでしまったからである。

その時母は、何を思ったのだろう?

母の嘘の涙をみてあの仮面みたいな顔を私は忘れることが出来ない。

私はその時、見知らぬおじさんの方を心配していた。そちらの方が災難である。

これで、私も好きでもない家に行く必要がなくなった。非常識ではあるが、とてもほっとしたのを

覚えている。
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