第89話  秘密の集まり  1

文字数 3,030文字

今日はわんちゃんいるから……お姉ちゃんは見ておくね。

【魚住】

ええ~~? お姉さんもやろうよ~! 

【赤木】

おいっ! やめとけよ!

じゃあお姉ちゃん。行ってくるね

 はやくドッジボールやろう。 

 そう思ってたんだけど、名谷がこんな事を言うんだ。

【名谷】

お姉さん。そいえば黒澤は遊びに来ないの?

【魚住】

そーいえばそうだな。家にいるんなら呼んでくればいいのに。

華凛ちゃん……

 綾ちゃんが心配そうな顔をこちらに向けた。


 僕はどう受け答えしていいか分からなかった。

 急にそんな事を言われたので、頭が真っ白になっちゃう。

凛はちょっと親戚の所に行ってるから……ごめんね。

【魚住】

そうなんだ。それじゃしょ~がねーな。グランド行こうぜ

 よかった。お姉ちゃんが助けてくれた。

 綾ちゃんも顔が明るくなると、こっちを向いてニコっとしてくれる。

そうだよね。凛と華凛は一緒に遊べない。


そっか。凛と華凛を知ってる人には……こういう所を気をつけないと。


 ※


 僕と綾ちゃん。そして赤木と魚住と名谷。他には赤木達の知り合いの男の子が混じる。

 八人のメンバーでドッジボールが始まった。


 最初の味方メンバーは赤木と綾ちゃんと魚住だ。

 

【赤木】

行くぞっ!

【魚住】

イイ所見せないとな。赤木!

【赤木】

うるせー!

 今日のドッジボールは僕や綾ちゃんにも投げてくる。

 最初に赤木達が「女の子だからって遠慮するな」と言ってくれたからだ。


 僕だって女の子という理由で狙われないのは楽しくないし、平等に扱って欲しいと思ってた。

男の子連中も中々上手いもんだな。だけど……

傍から見てる俺には……明らかに華凛と綾ちゃんには手を抜いてるな。


しょうがないんだ。異性と遊ぶというのはそういうこと。

小学生の頃、俺には分からなかった。

【魚住】

はい。華凛ちゃん!

ありがと。頑張る!

【赤木】

なんだ? 魚住は華凛ちゃんのこと好きなのかよ。

【魚住】

いあ、お前ほどじゃねーけど。


【赤木】

なんだと!

 そんなお話に、向こうのチームも言い始めた。

【名谷】

な? 赤木ちょっとおかしいだろ? 

【違うクラスの男子】

ほんとだ。赤木が顔赤くなってんぞ!

わぁ。本当に赤くなってる

【赤木】

おい! そんなわけないだろ! やめろってマジで!

うんうん! 赤木。赤木くんとはそう言うんじゃないから。

 思わず「くん」をつけるのを忘れそうになっちゃった。

 赤木って呼び捨てするのも変だしね。


 そこからはみんな真面目に? ドッジボールを始め出した。

 僕や綾ちゃんも狙われるし、逆に赤木達を助けたり、助けられたり……


 キャッチがそこそこ出来た僕に、向こうの男の子も遠慮しない。

 だって、やられてばかりだったら面白くないもんね。

 

 

【堀口】

あれ? 坂田さん?

【魚住】

あ、堀口じゃん! なぁお前もドッジやらないか?

堀口さんもやろうよ! 面白いよ!

 お母さんらしき人と歩いてた堀口さん。みなに声を掛けられると公園に入って来た。

 すると僕達と一緒にドッジボールをする事になったんだ。

【魚住】

堀口が入ったから、女子も固まらずに分けようぜ。

うん! じゃあ私は一人でもいいよ。

綾ちゃんと……綾ちゃんの友達で。

 堀口さんは知ってるけど、華凛じゃ知らないからね。

 綾ちゃんの一番のお友達だから、一緒にしてあげないと。

うんうん!

【名谷】

じゃあ男もチーム変えだな。今度は俺が華凛ちゃんと同じチームな。

【赤木】

OK! みんな一回りするようにチーム回そうぜ。

【魚住】

ちょい待ってくれ。


なぁ。俺の弟とそのツレも混ぜてくんね? 

さっきからグランドの金網にへばりついて見てるし。


 グラウンドの金網の所で、小学校3、4年くらいの男の子達がこっちを見てる。
うん! いいよ! みんなでやろうよ!

【赤木】

12人か。これだけいれば外野にも回せるぞ。

なぁ。本格的にやろうぜ。

【堀口】

あ、私は外野がいいな。当てられるの怖いし

うんうん! じゃあ私がちゃんとボール渡すからね。

【名谷】

よ~~~っしゃ! 始めようぜ!

 凄い事になってきた。ドッジボールをやるメンバーが次々と増えてくる。

 内野には名谷と知らない男の子。そして魚住の弟かな? 

【魚住の弟】

…………お姉ちゃんもやるの?

うん! 私もやるよ。よろしくね

【魚住の弟】

……はい。がんばる。

【名谷】

おいおい。赤くなってんじゃねーし。

お~い! 魚住! お前の弟が華凛ちゃんに惚れてるぞ!

頑張ろうね。

【魚住の弟】

うん!

 赤木の一声でドッジボールが始まった。ここからは本気でやらないと。

 ちらっとお姉ちゃんを見ると、こっちに手を振ってくれる。

 

 


きっと華凛は楽しくて仕方が無いだろうな。

見てるこっちまで楽しくなってくるんだから。

あの華凛が……

おっと。今日は泣いてはならん。


だけどな……あいつがあんなに楽しそうに、遊んでるのを見てると……

本当に嬉しいんだ。


 ※


 この日のドッジボールも楽しかった。やっぱり大人数で遊ぶのは楽しい。

 


 ドッジボールをやり初めて3回くらいチーム替えをした頃、堀口さんが「そろそろ帰らないと」と言うと、急に時間が気になった。スマホを見るとあと数分で五時半だった。


 

せっかく楽しいのに……もう時間だなんて……

 華凛で遊べるのは夕方のこの位の時間まで。

 四時に学校が終わって、すぐに公園に来たとしても一時間ほどしか遊べない。

【赤木】

みんなまだ行けるか?

【名谷】

六時までなら行けるぜ。

【魚住】

俺ん家厳しいんだけどな。怒られ覚悟で六時までやろう!

みんないいなぁ……ぼ、僕はもう……帰らないと。
 せっかくこんなに楽しいのに……僕はまだ遊びたい!
華凛ちゃん。どうする? 

 僕は顔を上げられなかった。

 帰りたくない。ずっとそう思ってた。


 綾ちゃんが心配そうに僕を覗き込むと、観念して「帰る」って言おうとしたら……

 すぐ傍にお姉ちゃんが来ていた。

華凛。私はバイト行かないと……

後は平八さんに見てもらってね。来てくれるっていうから。

え?

 お姉ちゃんの指差す方向には、なんと平八叔父さんと黒い車が見えた。

 こちらに手を振ってて、ももまろのリードを持っていたんだ。

こんなに楽しい時間に帰らすのは可哀想だからな。最後まで残って遊べばいい。


ただ俺はバイトがあるからな。

遅刻は出来ねーから、平八さんに連絡したら、すぐ近くにいてくれて助かったぜ。

じゃあ私はバイト行くね。

みなさん。華凛と遊んでやってください。

 みんな凄い返事だった。特に魚住が凄い声で「はい」って言うんだからびっくりした。



 お姉ちゃんがグランドから居なくなると、フェンス越しに平八さんと何か喋ってる。

 そして一礼してから、こちらに振り向くと、お姉ちゃんは手を振ってくれた。

後は平八さんに任せた。気の済むまで遊んでこい。

【赤木】

じゃあさっさと始めようぜ! 

 再びドッジボールが始まる。

 その前に……ふと平八さんと目が合う。

 平八さんはこちらにグっと親指を立てていた。

 それを見た僕と綾ちゃんは……

 

平八おじさん……
もしかして平八おじさんが……
 更に平八叔父さんは指を僕達がいる後ろを指差した。すると……

虎子参上だぜ。

だがここで小学生の中に入るのも気が引けるからな。


飯食いにいくまで遊んでろ。

 なんと虎ねぇが木の上からこっちを見ていたんだ。


 爆笑する僕と綾ちゃん。

 これには男の子達も不思議がってたけど、すぐにまたドッジボールが始まった。


 平八叔父さん。虎ねぇ。

 もうちょっとだけ待ってね。


 もう少しだけ。クラスのみんなと遊びたいんだ。 

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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