正典の霹靂
文字数 1,445文字
(新約聖書『テモテへの手紙二』3章16節)
休み時間には寝ている振りをして机に突っ伏し、昼休みにはひたすら孤独に耐えるという、砂を噛むような面白みのない日々であった。誰かに声をかけることができたならとは思うが、周囲のクラスメイトがどこか自分よりも"格上"に感じてしまう。そして、誰かに親し気に接するのが"分不相応"に思えてしまい、誰にも声をかけることもできず、日々劣等感と孤独感に押しつぶされるのであった。
愛花は教室を見回すと、突如口を開いた。
数秒の沈黙の後、騒めき出す教室。
先生は、聖書は人間の言葉だから、全部が事実だと思う必要はないって言ってたし。
それが更なる嘲笑を誘う。
それでも愛華は決して怯まない。嘲笑されればされるほど、愛華の顔は自信に満ち溢れていくようにすら見える。
聖書は神の霊感を受けて書かれた誤りなき言葉である
この日、愛華は同学年の生徒ほとんどから、白眼視されるようになった。