第22話 アリサとエリサ
文字数 4,183文字
阿山博士は、献身的なカトリックの信者であり、組織アルカナの天才科学者である。妻との間には子供ができなかったが、二人で質素に慎ましく暮らしていた。
阿山博士は紳士的で、街の者から慕われていた。夫婦揃って、ほぼ毎週礼拝堂に足を運んでは、神父の説話に耳を傾けていたのだった。夫婦揃ってボランティアに精を出し、貧しい家庭に経済的な援助をしていた。
そんなある日のことであった。夫妻は教会が経営している児童養護施設から、子供を引き取って欲しいと頼まれたのだった。二人は長年待ちに待った子供だったので、盛大に悦 んだ。
そして二人は施設から双子を養女として迎え入れた。養女は色白の15. 16位の少女で、才色兼備であり、朗らかで器量良しであった。双子は、高齢に差し掛かった夫妻の面倒も見てくれた。双子の性格には欠点が見られなかった。他の同年代の人より精神面での成熟しており、他人の痛みや苦しみに寄り添える様な心優しい美少女であった。二人の好物がかぼちゃのスープだった。婦人はほぼ毎日かぼちゃのスープを作るようになった。
しかし、そんなある日のことー。双子に染色体異常が見られた。10000万分の1の確率で出現する、不治の病だそうだ。現代の医学では治しようのない、呪われた病である。
双子は無理して気丈に振る舞う。しかし、彼女たちは全身に汗ばみふつふつと出来物も身体中に現れ、高熱でうなされる事が多くなった。
毎週通院するが、主治医の顔は強張ったままであり、顔面はやや青ざめている様に見える。
やがてアリサとエリサは入院する様になり、毎日夫婦は病院に顔を出しに行くようになった。
主治医は夫妻にこう告げた。
「…実は、二人は先天性の遺伝による病によるもので、良くて二人の余命は後3ヶ月くらいでしょう。この娘達には残りの時間がありません。現在の医療の力を持ったとしても…」
「…そんな…」
妻は涙を流した。
「そ、そこを、そこをどうにかできませんか!?待望の、待望の娘なんですよ!何でよりによってうちの娘なんですかー!?」
博士は早口で焦操しきっていた。
「今は、この薬で抑える事しか出来ません。しばらく様子を見て、ホスピタルも検討する事をお勧めします。」
主治医は、渋い顔をしたまま夫妻にホスピタルのパンフレットを手渡した。
阿山博士はパンフレットをクシャクシャに握りしめ、病院を後にした。
夫妻は病室に足をは込んだ。
「すまない…。こんなに苦しい思いをさせてしまったな…。何か食べたいのがあるか?」
博士は心は沈んではいるが、無理して明るく明るく振る舞っていた。夫妻の心はチクチク傷んでおり、自分はどうしてこんなに呪われているのだろうかと、天を恨んだ。
ーああ、天の父よー、私は長年あなたに仕えてきました。私は貴方様を信じ、貴方様の言う事だけに従って、正しくあろうとひたすら真面目に生きていきました。なのに、なのに、この仕打ちなのですかー?ー
「お父さん、お母さん、私達はちゃんと治るから、治るから心配しないでー。」
「そうだよ。お父さん、お母さんー。」
双子は夫妻に微笑むー。
それから3ヶ月後ー、二人は命を落とした。
阿山夫妻は悲しんだ。
そんなある日のことー。二人の耳に良からぬ噂が流れ込んだー。二人の通っていた教会の経営する施設の子らは、劣悪な環境で自動人形 の召使いとしてコキ使われていると言うものだった。子供らの中には自動人形 に洗脳される者や、命を落とす者までいたらしいー。
夫妻は心を痛めた。そして、アリサとエリサもコレが原因で命を落としたのだと、怒りで一杯だった。教会には監査が入り、子供達は別の安全な教会で保護される事となったー。
「神なぞ、神なぞ、存在しなかったのだな。」
博士は拳で強くテーブルを叩きつけた。
「あなた、そんな事は言ってはダメー。そんな事は言ってはダメよー。あの子達が、いま、笑っているのよー。」
妻は涙を流しながら窓の向こうの木の枝を指差している。
「お前、お前、一体、何を言っているのだ?」
博士は不安げに妻の身体を揺らした。
「…ああ、そうか…。神なぞ存在はしなかった…。そして私が神になるのだ…。」
博士は決意した。妻を悲しませない様に早く平穏な心安らかな平和な日常を取り戻すとー。
それからというものの、博士は毎日家にはほとんど帰らなく自身の研究室に籠もる様になった。そして彼は、悪魔に取り憑かれたかの様に無心になって、2体の自動人形の制作に取り掛かった。その自動人形は、アリサとエリサにそっくりだったのだ。そして、容姿も性格も嗜好も双子そっくりに創り上げた。博士は徐々に痩せこけており、眼がギョロギョロとしていた。周囲の者は彼を不気味がり、誰も近寄る者は一人もいなかったのだった。
博士が家を留守にしている間ー。婦人は自身が作った料理を2つの人形の口に運んだ。
「ねえ、ほら。あなた達。好きだったでしょう。かぼちゃのスープ…。」
その2体の人形は、アリサとエリサそっくりだった。妻は、生前双子が好きだったかぼちゃのスープを毎日作るようになった。畑はかぼちゃがずらりと植えられていた。
「あなた、ねえ、ほら見て…。さっき、アリサとエリサが笑っていたのよ。もう、私、嬉しくて…。」
妻はすっかり精神が崩壊していた。外出先でも、ブツブツ独り言を言う事が増え、異様な光景であった。近所の人は「狂っている」、「キチガイ」だと二人を不気味がり二人は徐々に孤立していったのだった。
そんなある日の事だったー。阿山博士は、アリサとエリサそっくりの自動人形 を作る事に成功したのだった。
「随分と精巧な出来ではないか…。コレは何処までスペックが、搭載されてるのだね?」
同僚の一人が恐る恐る阿山博士に尋ねる。
「戦闘力は並の自動人形の倍以上はするだろうな。何せ、我が研究の結晶なのだからな。」
阿山博士は汗ばんだ額にハンカチを当て、眼をギョロギョロさせて悦に入っていた。
「ほほう。コレは実に楽しみだな。この自動人形 は、いつ動くのかね?」
「今度、お披露目しますよ。あ、今、これからテストする所なんだよ。折角の機会に、是非、君に見てもらいたい。」
阿山博士はそう言うと、階段を登りガラス張りの部屋に向かうと、レバーを前に引いた。
すると、2体の人形はカチカチ音を立てて台座から降りると、ゆっくり歩き始めた。
「おー、何と言う…」
同僚は、感動していた。阿山博士も満足げだった。
その翌週の事だったー。阿山博士は広場に同僚を集めた。
「ほら、ご覧なさい。アリサとエリサです。」
広場内には大きなどよめきが、広がった。
「何なんだ、これは…まるで本物の少女みたいじゃないのか…」
「でも、少し不気味やしませんかね…」
職員らは、次々に感想を述べた。
「いやいや、まだ序の口さ…ほら。アリサ、エリサ、皆さんに挨拶しなさい。」
阿山博士が得意気に二人に話しかけた。
すると2体の自動人形 は口を揃え、ゆっくりと話し始めた。
「「こんにちは。皆さん。ごきげんよう。」」
2体の自動人形 は、そう言うと、丁寧にお辞儀をした。
2体のの右肩は、それぞれVX123 124と言うナンバーが、刻まれていた。
「いやー。成功ですな…。」
研究者らは、眼を皿の様に丸くしていた。
阿山博士は、翌日も2体の自動人形 の改良を重ねるべく、モーターや配線等の確認に明け暮れていた。
そんな日から2週間後の事だったー。人のバラバラになった遺体が研究所で、見られる事が多くなった。研究所では、噂が広まり阿山博士に矛先が向いたのだった。
「ど…どうしてこうなったんだ…?まさか、まさかな…。」
阿山博士はブルブル首を横に振り、地面にへたり込んだ。しかし、いつも台座に座っていた筈の2体の自動人形 がいない。博士は部屋中をくまなく探し回ったが、2体の姿は何処にもなかった。昨日の夜はキチンとそこにあった筈 なのだが…。
すると、部屋の隙間から大きな亀裂が現われて居るのが見えた。研究室の扉が開く音がした。阿山博士は振り返ると、部下が真っ青になって入ってきた。
「博士、ダメです!このままじゃ全壊です!速くスイッチを…そ、それに、博士が通っていた教会が家事で酷い有り様だと…。博士は、急いで教会に…。」
「い、いや駄目だ…。」
博士の顔色が急に、緩んだ。
「…?」
部下は訳もわからなく立ちすくんだ。
「我々は、関係してるのだよ。この醜い破滅の世の中において、美しく素晴らしい旋律を奏でようではないか。」
博士は恍惚となって、両腕を拡げた。
「博士、何を言っているのですか・・・?このままだと、皆死にますよ!」
部下はしきりに阿山博士を揺さぶった。
「何を言っているのだね。この娘たちは、我々が制作した中で、どこまでも美しく至高の作品だとは思わないのか・・・?これで、ようやく我が復讐が果たされる時が来るとは…。」
しかし、博士は両腕を拡げて、悦 に入っている。
「い、いや…このマシンは第1、制御装置が、ついている筈ですよ…何処にやったのですか…!?」
部下が硝子張りの部屋を確認しに行くが、あった筈 の装置が見当たらないー。
「何を言ってるんだね?我が娘らが自ら外したに決まってるんじゃないのか?」
阿山博士は目を輝かせていた。彼の瞳孔は小刻みに揺れている。
「モーターも、モーターも制御したと言うのですかー!?」
「ああ…そうさ。そうに決まってる。我が、娘達なんだから」
建物内部の揺れは徐々に大きくなっていく、電灯がガシャンと音を立て、地面に落下した。硝子が粉々になり、辺りに散らばった。
「博士、博士、避難しましょう!」
部下は、急いで階段を降りると、誤り博士に詰め寄った。しかし、阿山博士は眼を輝かせ、忽然としていた。
部下が阿山博士を引き連れて研究室を出たタイミングで、究室は爆音と共に炎上した。炎は研究所全体に燃え広がるー。そして、部下と阿山博士ー、生き残った職員全員が建物から避難した時に、建物が炎上し、爆音が炸裂したのだったー。
その後ー。2体の自動人形 と、阿山夫妻の消息は不明となった。
組織は、この事態を隠蔽しなかったかのような扱いし、全てを闇にもみ消したのだったー。
研究所は新しく建て替えられ、全てがなかったかのような日常を取り戻した。街中では消息不明の職員も含めて、神の祟りだと噂が伝染していったのだった。
阿山博士は紳士的で、街の者から慕われていた。夫婦揃って、ほぼ毎週礼拝堂に足を運んでは、神父の説話に耳を傾けていたのだった。夫婦揃ってボランティアに精を出し、貧しい家庭に経済的な援助をしていた。
そんなある日のことであった。夫妻は教会が経営している児童養護施設から、子供を引き取って欲しいと頼まれたのだった。二人は長年待ちに待った子供だったので、盛大に
そして二人は施設から双子を養女として迎え入れた。養女は色白の15. 16位の少女で、才色兼備であり、朗らかで器量良しであった。双子は、高齢に差し掛かった夫妻の面倒も見てくれた。双子の性格には欠点が見られなかった。他の同年代の人より精神面での成熟しており、他人の痛みや苦しみに寄り添える様な心優しい美少女であった。二人の好物がかぼちゃのスープだった。婦人はほぼ毎日かぼちゃのスープを作るようになった。
しかし、そんなある日のことー。双子に染色体異常が見られた。10000万分の1の確率で出現する、不治の病だそうだ。現代の医学では治しようのない、呪われた病である。
双子は無理して気丈に振る舞う。しかし、彼女たちは全身に汗ばみふつふつと出来物も身体中に現れ、高熱でうなされる事が多くなった。
毎週通院するが、主治医の顔は強張ったままであり、顔面はやや青ざめている様に見える。
やがてアリサとエリサは入院する様になり、毎日夫婦は病院に顔を出しに行くようになった。
主治医は夫妻にこう告げた。
「…実は、二人は先天性の遺伝による病によるもので、良くて二人の余命は後3ヶ月くらいでしょう。この娘達には残りの時間がありません。現在の医療の力を持ったとしても…」
「…そんな…」
妻は涙を流した。
「そ、そこを、そこをどうにかできませんか!?待望の、待望の娘なんですよ!何でよりによってうちの娘なんですかー!?」
博士は早口で焦操しきっていた。
「今は、この薬で抑える事しか出来ません。しばらく様子を見て、ホスピタルも検討する事をお勧めします。」
主治医は、渋い顔をしたまま夫妻にホスピタルのパンフレットを手渡した。
阿山博士はパンフレットをクシャクシャに握りしめ、病院を後にした。
夫妻は病室に足をは込んだ。
「すまない…。こんなに苦しい思いをさせてしまったな…。何か食べたいのがあるか?」
博士は心は沈んではいるが、無理して明るく明るく振る舞っていた。夫妻の心はチクチク傷んでおり、自分はどうしてこんなに呪われているのだろうかと、天を恨んだ。
ーああ、天の父よー、私は長年あなたに仕えてきました。私は貴方様を信じ、貴方様の言う事だけに従って、正しくあろうとひたすら真面目に生きていきました。なのに、なのに、この仕打ちなのですかー?ー
「お父さん、お母さん、私達はちゃんと治るから、治るから心配しないでー。」
「そうだよ。お父さん、お母さんー。」
双子は夫妻に微笑むー。
それから3ヶ月後ー、二人は命を落とした。
阿山夫妻は悲しんだ。
そんなある日のことー。二人の耳に良からぬ噂が流れ込んだー。二人の通っていた教会の経営する施設の子らは、劣悪な環境で
夫妻は心を痛めた。そして、アリサとエリサもコレが原因で命を落としたのだと、怒りで一杯だった。教会には監査が入り、子供達は別の安全な教会で保護される事となったー。
「神なぞ、神なぞ、存在しなかったのだな。」
博士は拳で強くテーブルを叩きつけた。
「あなた、そんな事は言ってはダメー。そんな事は言ってはダメよー。あの子達が、いま、笑っているのよー。」
妻は涙を流しながら窓の向こうの木の枝を指差している。
「お前、お前、一体、何を言っているのだ?」
博士は不安げに妻の身体を揺らした。
「…ああ、そうか…。神なぞ存在はしなかった…。そして私が神になるのだ…。」
博士は決意した。妻を悲しませない様に早く平穏な心安らかな平和な日常を取り戻すとー。
それからというものの、博士は毎日家にはほとんど帰らなく自身の研究室に籠もる様になった。そして彼は、悪魔に取り憑かれたかの様に無心になって、2体の自動人形の制作に取り掛かった。その自動人形は、アリサとエリサにそっくりだったのだ。そして、容姿も性格も嗜好も双子そっくりに創り上げた。博士は徐々に痩せこけており、眼がギョロギョロとしていた。周囲の者は彼を不気味がり、誰も近寄る者は一人もいなかったのだった。
博士が家を留守にしている間ー。婦人は自身が作った料理を2つの人形の口に運んだ。
「ねえ、ほら。あなた達。好きだったでしょう。かぼちゃのスープ…。」
その2体の人形は、アリサとエリサそっくりだった。妻は、生前双子が好きだったかぼちゃのスープを毎日作るようになった。畑はかぼちゃがずらりと植えられていた。
「あなた、ねえ、ほら見て…。さっき、アリサとエリサが笑っていたのよ。もう、私、嬉しくて…。」
妻はすっかり精神が崩壊していた。外出先でも、ブツブツ独り言を言う事が増え、異様な光景であった。近所の人は「狂っている」、「キチガイ」だと二人を不気味がり二人は徐々に孤立していったのだった。
そんなある日の事だったー。阿山博士は、アリサとエリサそっくりの
「随分と精巧な出来ではないか…。コレは何処までスペックが、搭載されてるのだね?」
同僚の一人が恐る恐る阿山博士に尋ねる。
「戦闘力は並の自動人形の倍以上はするだろうな。何せ、我が研究の結晶なのだからな。」
阿山博士は汗ばんだ額にハンカチを当て、眼をギョロギョロさせて悦に入っていた。
「ほほう。コレは実に楽しみだな。この
「今度、お披露目しますよ。あ、今、これからテストする所なんだよ。折角の機会に、是非、君に見てもらいたい。」
阿山博士はそう言うと、階段を登りガラス張りの部屋に向かうと、レバーを前に引いた。
すると、2体の人形はカチカチ音を立てて台座から降りると、ゆっくり歩き始めた。
「おー、何と言う…」
同僚は、感動していた。阿山博士も満足げだった。
その翌週の事だったー。阿山博士は広場に同僚を集めた。
「ほら、ご覧なさい。アリサとエリサです。」
広場内には大きなどよめきが、広がった。
「何なんだ、これは…まるで本物の少女みたいじゃないのか…」
「でも、少し不気味やしませんかね…」
職員らは、次々に感想を述べた。
「いやいや、まだ序の口さ…ほら。アリサ、エリサ、皆さんに挨拶しなさい。」
阿山博士が得意気に二人に話しかけた。
すると2体の
「「こんにちは。皆さん。ごきげんよう。」」
2体の
2体のの右肩は、それぞれVX123 124と言うナンバーが、刻まれていた。
「いやー。成功ですな…。」
研究者らは、眼を皿の様に丸くしていた。
阿山博士は、翌日も2体の
そんな日から2週間後の事だったー。人のバラバラになった遺体が研究所で、見られる事が多くなった。研究所では、噂が広まり阿山博士に矛先が向いたのだった。
「ど…どうしてこうなったんだ…?まさか、まさかな…。」
阿山博士はブルブル首を横に振り、地面にへたり込んだ。しかし、いつも台座に座っていた筈の2体の
すると、部屋の隙間から大きな亀裂が現われて居るのが見えた。研究室の扉が開く音がした。阿山博士は振り返ると、部下が真っ青になって入ってきた。
「博士、ダメです!このままじゃ全壊です!速くスイッチを…そ、それに、博士が通っていた教会が家事で酷い有り様だと…。博士は、急いで教会に…。」
「い、いや駄目だ…。」
博士の顔色が急に、緩んだ。
「…?」
部下は訳もわからなく立ちすくんだ。
「我々は、関係してるのだよ。この醜い破滅の世の中において、美しく素晴らしい旋律を奏でようではないか。」
博士は恍惚となって、両腕を拡げた。
「博士、何を言っているのですか・・・?このままだと、皆死にますよ!」
部下はしきりに阿山博士を揺さぶった。
「何を言っているのだね。この娘たちは、我々が制作した中で、どこまでも美しく至高の作品だとは思わないのか・・・?これで、ようやく我が復讐が果たされる時が来るとは…。」
しかし、博士は両腕を拡げて、
「い、いや…このマシンは第1、制御装置が、ついている筈ですよ…何処にやったのですか…!?」
部下が硝子張りの部屋を確認しに行くが、あった
「何を言ってるんだね?我が娘らが自ら外したに決まってるんじゃないのか?」
阿山博士は目を輝かせていた。彼の瞳孔は小刻みに揺れている。
「モーターも、モーターも制御したと言うのですかー!?」
「ああ…そうさ。そうに決まってる。我が、娘達なんだから」
建物内部の揺れは徐々に大きくなっていく、電灯がガシャンと音を立て、地面に落下した。硝子が粉々になり、辺りに散らばった。
「博士、博士、避難しましょう!」
部下は、急いで階段を降りると、誤り博士に詰め寄った。しかし、阿山博士は眼を輝かせ、忽然としていた。
部下が阿山博士を引き連れて研究室を出たタイミングで、究室は爆音と共に炎上した。炎は研究所全体に燃え広がるー。そして、部下と阿山博士ー、生き残った職員全員が建物から避難した時に、建物が炎上し、爆音が炸裂したのだったー。
その後ー。2体の
組織は、この事態を隠蔽しなかったかのような扱いし、全てを闇にもみ消したのだったー。
研究所は新しく建て替えられ、全てがなかったかのような日常を取り戻した。街中では消息不明の職員も含めて、神の祟りだと噂が伝染していったのだった。