第86話 高裁もでっちあげ出来レース

文字数 1,636文字

 すべて審判の過ちは、二人の調査官が調査報告書に、娘が自宅へ連れ戻されたことで「恐い」と言って泣いていた、という嘘を書いたことに始まる。
 嘘つけ。いったい、誰がそんなこと言ったんだ?
 その後、この嘘について、後任の調査官を怒鳴りつけても、誰も反論しない。怒鳴られて、ずっと黙り込む。「どこに嘘があるんですか!」などと強気の反論はない。
 もう取返しのつかない過ちについて、黙ってやり過ごそうとするだけだ。
 立派ですね、公務員。

 最初から、決まっていたのだと思う。
 だから、若造調査官は確信をもって、私に「カウンセリングなんて、効果ないですよ」と笑ったのだろう。
「他人の家庭なんて、勝手に壊れろよ。どうでもいいんだよ。精神的にオカシイ女と結婚して、娘を連れ去られて、裁判されただけだろ。
 そんな時は、裁判の結果なんて、最初から決まってるの!
 真剣な顔して悲愴な表情を浮かべちゃってさ、調査なんて最初から結果は決まっているんだよ!
 先輩調査官も『今回もバレない嘘でキメてやる!』って言ってましたっ(笑)」
 若い調査官の薄笑いから、そんな思いがうかがえた。

 娘のDVDを提出するに至ったのは、平成二十五年七月二十二日の「審判前の保全処分申立審判に対する即時抗告」が、棄却されたからだ。
 そこには、こう書かれていた。
「三歳という幼児期にある未成年者にとって、その出生後本件が発生するまで主たる監護養育を担っていた母である相手方から引き離されている現状がこのまま継続すると、健全な心身の成長、発育に悪影響を及ぼすおそれが大きいことが認められ、この事実に照らせば、本件については、未成年者にとっての急迫の危険を避けるため、保全処分の必要も認められる。」
 まず、「この事実」とは、何だろう。
 嘘の申立てで始まった裁判が、調査官まで嘘を書いて、それに乗っかって、裁判官も気兼ねなく、母親に監護権を決めただけだが、それが司法にとっての事実なのだろうか。
 強制執行の際、相手方も弁護士に対して嘘の申立書について非難したら、「嘘をついても、裁判所が認めれば、法律の正義」と居直った。家事審判は嘘で始まり、調査官も嘘でサポートして、事実を捏造して、さらに高裁も嘘を事実と判断していく。
 娘と会ったこともなく、しかも高裁は母親とも顔を合わせたことさえないのに、書いた弁護士当人も嘘と認めている虚偽の申立書と嘘が書かれた調査報告書に従った(騙された?)一審の判決だけで、よく事実だと言えたものだ。
 自分自身で調べることもせず、嘘を事実としてでっちあげていく恐怖の出来レース。
 私が裁判官や調査官の名前を公開しない理由は、誰が代わっても公務員として正々堂々と同じ過ちを犯すだろうと思うから。
 その後の面会の調停では、東京の家裁で判事をしていた調停委員が何度も嘘をつき、そのたびに私は「嘘をつかないでください」と怒鳴りつけたが、その場だけ落ち込むだけで、次回はまた正々堂々と嘘をつく。何度、目の前で嘘を叱責されても改められない虚言癖は、思い描いた判決へ導くために、平然と事実を捻じ曲げていくことで養われた判事経験者の職業病だろう。
 高裁の判決文の最後に、裁判官男性二人と女性一人の名前が書かれている。税金で雇われた三人が仲良く一緒に「主たる監護養育を担っていた母」と書き、自らの目で確かめることなく、事実を完全に見誤っているのに、もしこの判決で間違いが起きたとしても、責任を三等分して誰も責任を取らない究極の無責任システム。
 嘘の申立書に始まり、嘘の調査報告書に従って、幼児本人の声さえも無視して進められていく裁判。
「嘘をついても、裁判所が認めれば、法律の正義」
 この恐怖のシステムに、きっと改善などない。
 この国の司法には、絶望しかない。
 だからきっと、子供が安心して成長していけるシステムにするには、国会で法律を変えていく必要があるのだと思う。
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