お昼ごはん

文字数 941文字

ある日、彼に誘われて昼休憩の時間に食事をしたの。


仕事の話もしたんだけど店先では出来ないプライベートな話で盛り上がってとても楽しい時間を過ごしたよ。


一番ビックリしたのは彼が私と5歳しか差がなかった事。


私が20歳なのに対して彼は25歳。


絶対に30代だと思ってたのに老け過ぎでしょ(笑)


それから特別な約束をしなくても月2のペースで食事をする様になったの。


当時の私には同棲している彼氏がいた。


もう凄く大好きで毎日が楽しくて…


でも彼氏は

『好きな子が出来たから…』

って急に出て行ったの。


ショックだった。


今まで彼氏が全部だったのに…


私は超パニックになって仕事も手につかないの。


涙が溢れて止まらない。


このまま枯れて死んじゃうと思ったよ。


私は休憩の食事中、彼氏への不満を武藤さんにぶつけたよ。


あんなに『好きだよ』って言ってくれてたのに浮気なんて許せない!


思った限りの言葉をぶつけたよ。


彼は私の話を聞いた後、こんな話をしてくれたんだ。


「藍苺さんの気持ちはよく伝わって来たよ。辛かったよね」


武藤さんはとても優しい表情で続ける。


「ただ、今の話を聞いた限りでは彼氏さんはそこまで悪くないと思うんだ」


痛い…。


半分はわかってたよ。


武藤さんは優しい表情のまま言葉を続ける。


「人を好きになる事は悪い事じゃないよ。

彼氏さんもかなり悩んだと思うんだ。

彼氏さんはキチンと筋を通したと思うよ」



痛い。



違う。



でも…



そう。



私は…



私は彼氏に悪役を当ててたんだ。


それで自分が楽になろうとしてた。


武藤さんは私を見透かして…。


違うよね。


真剣に自分の言葉で話してくれたんだよね?


私は武藤さんと昼食を伴に過ごす様になって見えてきた事があるの。


私は辛い状況になると気持ちが溢れちゃって自分だけが苦しいと思い込む悪いクセがあるよ。


自分を保つので精一杯で何も見えなくなるの。


でも本当は違うの。


他の人だって一生懸命な事を知らない子だったよ?


いや…


知らないフリをしていたんだよ。
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登場人物紹介

ヒロイン(HN:藍苺ランメイ)


北海道の土産店に勤める高卒女性社員。

社会人として頑張っているがまだ若い。

趣味は自分磨き。


写真素材[モデル:Lala*]

武藤さん


仲卸しの営業マン。

妻子持ちの働き盛り。

ブルーベリーを使った中国酒が好き。

無糖あずは無関係(゜-゜)


写真素材[モデル:ゆうせい]

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