第24話

文字数 592文字

エピローグ


 放射線治療室での息子との邂逅を終え、琴音は奈央と一緒に病室に戻ってきた。
 涼太は椅子に座りながら、翔はベビーベットで寝息を立てながらすやすやと眠っている。
「奈央。私、ちょっと疲れちゃったから二人と一緒に眠るよ」
「そうね、わかった。平木先生も言っていたけど、本当に何かあればすぐに連絡してよね?」
 奈央は心配そうにしながらも病室を後にした。
 奈央、ごめんね。私にはもう次はないみたい──。
 私の最後のメッセージ。十一年後に翔から聞いてね。大好きだよ、奈央。
 琴音はベッドに座ると、涼太の頬に手を添えた。

 涼ちゃん、小さい時にディズニーランドで出会った私をまた見つけ出してくれて、愛してくれてありがとね。
 何度生まれ変わってもまた私のこと見つけてくれるかな?
 いや、もし私を見つけられなくても今度は私が涼ちゃんを見つける。絶対に。何度生まれ変わっても私はあなたに恋をする。
 それまでの間、少しのお別れだよ。翔のことよろしくね。
 琴音はそっと涼太の頬に口付けをした。

 そして、琴音はベビーベッドで眠る翔の頭を優しくなでた。
 翔、ついさっきまで会っていたのに、なんだか不思議な気分ね。お母さんがいない人生を歩ませてしまってごめんね。辛い思いさせてしまってごめんね。
 愛してるよ、翔──。
 十一年後、必ずお母さんに会いに来てね。
 ずっと、待っているから。
 また、会おうね。
 翔──。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み