第45話 優しさのプログラム

文字数 8,559文字

そして、部屋に戻ると
手付かずのくさやおにぎりやブルーチーズなどの
臭い料理が置いてあった。
その臭いに苦しむ体力すらなく眠る事に。
ベッドに入ると数分で眠ってしまった。

♪テーレーレーレーレッテンテーン♪
え? 何の音ですって? うーん知りません。

そして、夜は明けた!

昇り行く太陽が
都市に黄金の明るさを投げかけ始めている。
舗装されたブロック路地や、建物も黄金に染まり
各所に複雑な陰影を刻む。
これから仕事に向かう人々が
それぞれの目的地へと足早に急いでいる。
黄金の光の中で、長く引き伸ばされた人々の影が
乱れて行きかい、ぶつかり合う。
そこに一つ。人並みをかき分け走る一際大きな影。
どうやらこのホテルへ向かっている様だ。
あの竜牙刑事である。
車で来ず、自らの足で向かってきている。
仕事時も鍛錬を怠らない男なのだろう
警察手帳をレセプションに見せ
アリサたちの泊まっている部屋まで階段を駆け上がる。

「ぜいぜい。ほはほうほはひはふ(おはようございます)。
昨日(ひほう)はお(ふは)(はま)でふ。 
事件(じけん)(はは)ひを()ひはひので是非(へひ)(ひょ)まで
()て欲ひいのへふが」
一晩経っても顎のずれは直っておらず
おかしなしゃべり方になってしまった竜牙。

「分かったわ、アリサを起こして来るわね。
アリサー起きなさい。竜牙刑事よ」

「え? 私をお嫁に貰いに来たのね。分かったわ
ちょっとメイクして来る」

「馬鹿! いいのよすっぴんで
小学生にメイクはまだ早いわ。メイクと言う観念を
心の牢獄に閉じ込めときなさい」

「はーい。あ、ちょっとまって? 
パンフレットの謎、今ならわかるかも?」

最早心の牢獄に関しての質問は止めたアリサ。
大人の世界にはそういう物差しでは
決して計れぬ物事がある! という事を知ったのだ。
恐らく彼女が、人生で初めて【諦めた】瞬間である。

「え?」

「あれよ朝1夜2って何の脈絡も無い所に
書いてあった奴」

「ああ、あれか。
でももうホテルを出るのよ?」

「わかってる、すぐ済むから。ね?」

「で、どこに行くの?」

「プール」
 
「ちょっとだけよ?」

「はいっ!」

アリサはプールへ走る。

明るくなって変わっている所は無いのか?
そして、プールサイドに見落としが無いか?
走り回る。しかし、特に変わった所は見つからない。
だが、アリサレーダーは
まだどこかにある事を示している。
超特大の化け物を・・!

「あれーおかしいなあ」
しかし、その時。
プク プクプク プクプクプクプク!
水面に一斉に泡が出てきた。

「ん? 何これ? 何かを泡で描いてる?
よく見えない。ならば!」 
ダダダダッ 
アリサはウォータースライダーに上り
プール全体を見渡す・・

        δプクプク、プクプクδ

その泡は、規則正しく
ある生き物の形を作り出していた。
そう、隠れユッキーである。
夏の朝のみに輝く白いユッキー。

「やっぱりか・・」

パシャリ 反射的に撮影
パンフレットの朝1夜2という謎の言葉の意味。
それは、朝のみにプールの泡で出来たユッキーが1つ
そして、夜はライトで輝くユッキーと
花火のユッキーで2つ。
プールだけは、朝と夜二回来ないと
コンプリート出来ない事を示していたのだ!
一泊するだけでは恐らく2回も
プールに行く事は少ないと思うので
相当な難易度だと思う。

「何とか消し去らなくっちゃ」

しっかりと撮影を済ませる。
このユッキーよく見ると口元が動いている。
得意の読唇術で見てみると。

「おはようございますだと? じゃかあしいわ!
しかしこいつどうやって殺そう? うーん」

朝日に照らされ、泡で出来たユッキー。
これは夜見つける事は出来ないだろう。
しかもプール内やプールサイドでは気付いたとしても
撮影する事は出来ない。

高い所。例えば
ウォータースライダーの上から見下ろさないと
全体像を撮影できない。かなりの難易度である。
これを何も知らない客がスライダーを滑ろうとして
見下ろした時に偶然見てしまったら、そこで気絶し
ありえない姿勢で滑り落ちる形になってしまう! 
溺れ死ぬ危険性大。何とかしなくては!
とその時

「アリサー! もう行かないと。
刑事さんも待ってるし早くして!」
ママが来てしまった。

「ええー? 世直しまだなの」

「問答無用よ」

アリサを持ち上げて運ぶ。

「世直しー! あーもー全く
『私の行く先々で事件が起こる件について』
やれやれだわ」
じたばたじたばた

「こらアリサ! 暴れないでよ!
そしてどさくさに紛れて
タイトル回収なんかしちゃ駄目よ! 
ビュッフェで一回やったでしょ? 
あれは何回もやる物じゃないのよ!」

「え? 何で知ってるの?」

「ママは何でも知ってるの」

「成程っ!」

503号室に戻り帰り、支度を済ます。
竜牙も腕立て伏せをしながら待ってくれていた。

「あっ刑事さん、また会えた! 
ねえ、もし良ければ肩車して?」
くねくね♡
アリサはケイトがパパにやって貰ったのを思い出し
竜牙におねだりする。

「そうへふね、()はりまひた。
事件(ひへん)解決(はいへふ)(ひひひ)ひてふははった
名探偵(へいはんへい)さんでふひ」
しゃがみ込みアリサを乗せる。
(こんな可愛い女の子の太ももが俺の両耳に
嬉し・・な、何を考えてるんだ俺は!)

「うわーサラマソダーよりも高ーい。レッツゴー!!」
(ケイトったらすごいわね。こんな高い所から
更に立ち上がるなんて。私も高所恐怖症克服しなきゃ)

「ヨヨヨヨ? サラマソダー? 
伝説の炎の蛇の事よ? 刑事さんよりは大きいでしょ?
それにそのワードには一部の人間を
不快な気持ちにさせる魔法が閉じ込められているの
だからそのワードは、心の牢獄に閉じ込めなさい!」
おお・・ママも被害者だったのか・・

「サラマソダー低いよ?」
アリサもう止めてくれ。読者のHPはもう0だ・・

「・・アリサ、ママはね、あんたをそんな悪い子に
育てた覚えはない筈よ?」

「でもパロパレオスのレンダーバッへの方が・・」
実験なのか? なあアリサよ・・
これは、どの大人でも怒るかの実験なのか? 
やらなくとも結果はもう出ているではないか・・
全く、アリサは限界まで突き詰める探究者なのだな・・
「高い!!」

「はいっ!」

「じゃあいきましょう」
そのままエレベーターに乗り1階に到着する。

 アリサは、ふと1階のホテル案内の
電光掲示板を見る。
よく見ると右下に何か汚らしい茶色の
塵(ごみ)の様な物があるのを見つける。

「何これ? ちょっと降ろして
ありがとう刑事さんあれ? 鼻血が出てる? 
どこかでぶつけたの?」

「ほ、ほほんは (ほほ)なひへふほ?」
そういいつつ鼻に赤く染まったティッシュを
当てて言い訳する竜牙。

「なんかティッシュ真っ赤だけど?」

犯人(はんひん)にでふ! くほー犯人めー許はんほ!」

「犯人はアリサが捕まえたよ?」

「そ、そうでひたな。(はへ)仕業(ひはは)だ? 
あ、(ふふは)(ひょ)から(ひょ)んできまふので失礼(ひふへひ)ひまふ」
そして竜牙は、車の準備の為アリサ達と別れる。  

そして、掲示板に近づくと・・!! 
その小さい塵は隠れユッキーだった。
そしてそのドット絵で描かれたユッキーは
10秒過ぎると消えて
掲示板内の別の場所にワープしている。

入り口に初めて来た時は気付けなかったが
ここに来る客を一番に攻撃していたのは
こいつだったのだ。
そういえばこのホテルに3人の家族が泊まっているが
その3人も入り口で頭痛がしたと話していた。
恐らくこれが原因。
他のユッキーは探さなければ会う事も無いが
こいつは入り口付近で待ち伏せし
宿泊に来た人間全員を攻撃している罪深き者。
これだけは生かしてはいけない。
 
 確かアリサもここに初めて来た時
これに攻撃されていた筈であるが
その時、大元の斉藤隆之と遭遇していた。
その為それの攻撃を気付けなかった。

例えば右手を骨折している時に同時に
左手の小指のささくれを()かれたとしても
骨折の痛みのせいでささくれの方には気付けない
それと同じ事がホテルの入り口に居た
アリサに起こっていた訳だ

レベルupしたアリサは一切ダメージを受ける事は無いが
一般人は被害を受ける。
時間的にもラストであろうが潰す以外の選択肢は無い。

「これはまずいわね。
掲示板を叩き壊す訳にもいかないし」

悩むアリサ。
そう、塗り潰しても掲示板内の色々な所に
行ったり来たりしている。故に内部から消すしかない。

「アリサ何やっているの? 
早くチェックアウトするわよ」

「先に行ってて。私は少し
やらなければいけない事が出来たの」

「そう。分かったわ。じゃあ先に行くけど
ちゃんと終わったらすぐ来なさいよ?」

「はいっ!」
ママと別れ一人考え込むアリサ。
といってもすぐ後ろで会計を済ましている。
そう、一人ではないのだ
傍で信頼できる味方がいる。
それだけで心強かった。そして、降臨した
やつを消し去る魔法が・・!

「でもこのゴミは簡易的なプログラムで
作られている訳でしょ? そうなると・・!!」

アリサは、掲示板に接続口がないか探してみる
すると、隅にPCが接続出来そうな差込口があった。
ここから隠れユッキーを送り込んだのであろう
何かを思いついたアリサは、受付に行く事に。

「あのー掲示板にバグ発生しているから
PCを借して欲しいの。私なら簡単に治せるわよ」

「本当? まあ貸してあげる。壊しちゃ駄目よ?」

「アリサ、もしかして最後の世直しね? ファイト!」

「当然よ!」
まず携帯でユッキーを撮影してからPCに接続
ユッキーの画像を送る。そして、PCを掲示板に接続し
物凄い速さで何かを打ち込むアリサ。
それは、優しさのプログラム。
いや、愛と信頼と勇気と希望を
ごちゃ混ぜにした、なんかすげえプログラム。
カタカタ・・カタカタカタカタ×2万

タンッ(勢いよくENTERKEYを押す音)

「出来たわ」

すると、掲示板の右下にアリサの様な
ドット絵のキャラクターが登場する。
『セントウレベル、ターゲットカクニン。
ハイジョカイシ』
ダダダダッ ビュオッ ガシッ

画面内にいるユッキーを
高速移動で追いかけて飛び掛かる。
そして、両耳を抑える体勢で捕らえる。

『オマエヲ・・コロス。ウイーン』

そして、自分の頭の二倍位にあんぐりと
口を広げるプログラムアリサ。

もうお分かりだろう。
それを・・喰い始めた。

バリバリ バリバリ バリバリ バリバリ

うっ、何という酷い・・

少しずつプログラムのユッキーの頭蓋骨が露出し
脳みそが露になる・・ん? ほう・・
なんと頭蓋骨の中は空っぽだった。
まあプログラムであるしそこまで精巧には
作られてはいないと言うことであろう
それとも? 
このエンジニアは隆之のレントゲン写真をよく見て
プログラミングしていたのか? 
よもや実物も脳みそが空っぽと言う事なのか?
そして日本人のこだわりで
あの様な小さいドット絵の中に
何重にもドット絵を重ね表皮、筋肉、骨等を
忠実に再現しただけなのかもしれない。
正に、トイレの絵師達と同じ思考の
エンジニア兼芸術家日本の宝である。
隆之に唆されてこんな毒物を作らなければ
もっと良いエンジニアだったのだろうが・・

アリサはプログラミングで
そのユッキーを破壊するプログラムを作り出し
完全消去した。 

「しかし、あんなのを私のドット絵で喰わせるなんて
プログラムとは言え気持ち悪い物ね・・
別のキャラにするか剣で切り裂く
アクションにすべきだったわ・・失敗失敗。
まあプールの時に比べれば大した事は無かったわね」
画面内で喜ぶポーズをしているプログラムアリサ。
『ニンムカンリョ・・! アラタナニンムハッセイ
アラタナニンムハッセイ! ニンムサイカイスル』

?何か様子がおかしいぞ
このキャラクター、programアリサ=Pアリサ。
これからPALISA=パリサと呼ぶ事にしよう。
そして暫くするとパリサは画面内をうろうろし始めた。

「あら? もう消える筈なのに何かしているわ」
テクテク キョロキョロ

『ショウガイハ・・・トリノゾク』
むしゃむしゃ バリバリ バリバリ
画面内をひとしきり移動すると、辺りを見渡した後
そのフィールド自体を喰い始めた。
電光掲示板の画像が乱れていく・・

「え? そんな事私プログラムしていないわ? 
止まりなさい!! こら!!  
私はそんなに悪い子じゃない筈でしょ?」

『コレガオマエノタメニシテヤレル
ユイイツノコトダ・・イカセテクレ』

何とパリサがそう言いつつ暴走し始めた!
プログラミングはかじった程度のアリサ。
役目を終えたら消えるコードも打った筈なのだが
失敗していた様だ。
そして、粗方喰い終わると、掲示板から消え
今度はホテル内の火災報知機の制御装置に移動した?
そして、誤作動を始める。

ジリリリリリン

そして、天井からスプリンクラーの水が
アリサや廊下にいる人々に降りかかる。

「きゃうーん」

寝覚めで浴びた水に驚き
女の子の様な悲鳴を上げるアリサ。
ホテルの廊下にいた人にも影響があり大騒ぎだ。

「うわっ冷たい!!」

「きゃー水ー!!」

「わーいわーいww 天の恵みww神の涙ww」

「あのーちょっと僕いいかしら?」
例の3人の家族も、チェックアウトの為
一階に来ていたのだが不運にも被害にあってしまった。
そして、その息子らしい人物にアリサが声を掛ける。
「え? 僕ぅ?」

「そうよ、その僕の事よ。
確か初めて会った時は遊戯室の前だったわね
まあ私の事など覚えていないだろうけど」

「知らないwwww」

「まあいいわ一つ質問があるの」

「いいよwww」

「初めて会った時から不思議だったんだけど
どうしてあんたお爺さんなのに
子供みたいにはしゃいでいるの?」
子供だと思っていたその声の主は、白髪も生えている
れっきとした60代の男性だった。

「やめて!!」

母親らしき老婆が止めに入る。
この老婆は見覚えがある。
プールで一心不乱に世直ししていた
アリサに人の心を取り戻させたその人
80位の女性で、その息子は未だ親離れできずに
ずっと一緒にいるのか?

「ママー何言ってるのこの子?ww」
当の本人は、アリサのいう事を理解できず
子供の様に無邪気に聞いている。

「お願い、この子の事は放っておいて」
語気を荒げてアリサに言い放つ。

「わーいわーいww 怒られたww 怒られたww」

「分かったわ。でも・・
いつか別れの時は来るのよ・・
この子にも親離れさせないと・・」

いつまでも親から離れられない子供がこの世界には
沢山居る事実はあるが
この男性は、度を越してしまっている様だ。

「その時は、この子も生きてはいられないでしょう
悲しい事だけどね・・
この子はもう手遅れなのよ・・」

「ああ、悲しいなあ。でもアリサもう行かなきゃ」

そんな話をしている内に
警報は今も鳴り響いてるが、水は収まった様だ。
すると、アリサに声を掛けてくる人物が

「あのー、そのスケッチブック確か僕のだよね?」
そう、植物園で落として逃げて行った少年だ

「あ、よかったー探してたのよ」
咄嗟に嘘を突くアリサ。

「かえしてくれる?」

「いいよ」
何気なく中を見てみるとマジックで描かれたΘ聖戦Θ
が少年の目に入る。

「あ、あああ・・こ、これは・・」

「あ、ごめんね いつの間にか描いてたみたいで・・」

「変な事を言うかもしれないけど
スケッチブックはあげるからどうか・・
どうかこの絵を僕に下さいませんか?」

「えっ? なんで? うーん別にいいよ」

「本当ですか? 嬉しいです」
と言い、その一枚を丁寧に切り取り持っていく少年。

「?」

(あの子、この芸術価値が分からないのか?
信じられない。まあいいか)

「じゃあね」

そして、アリサは知る事は出来ないが
偶然にもこの騒ぎで
プールの泡の機能が完全に壊れてしまったのだ。
更にパリサは、20階のプラネタリウムの
投影機の機能も停止させる。
正確には、プラネタリウムのユッキーを描く
データ部分のみが消え、他の星座は映し出される。
同様にプールでも、ユッキーを描く泡を出す
噴出口の機能だけが停止したといった方が正しい。
もうこれ以降そのユッキー共は出てくる事は無い。
何と! 一つの行動で3匹潰せたのだ! 
正に一石三鳥。これは恐らくプログラミング時に
全てのユッキーの写真を覚えさせていた為
パリサがその形状を学習し、それに似た形のデータ配置を
確認次第消去する様に動いたのである。

 そう、掲示板から移動したのは
パリサの悪を察知する心が
まだ隠れ潜んでいる悪を
電脳空間を介し追跡、駆逐したのだ。
親譲りの正義感、行動力。
そして、フィールドを喰ったのは
そこにたどり着くまでのエネルギー摂取で必要な犠牲。
火災報知機の誤作動以外は
パリサは別におかしくなってなかった。
そう、アリサはほぼ完璧なプログラムを組んでいたのだ。
お見事としか言いようが無い。
そして

『ニンムカンリョウ・・キノウテイシスル』

サワーーー・・

全てのユッキーを消し、役目を終えたパリサは?
・・静かには消えていった。
ありがとうパリサ。お前の事は忘れない・・

「事件を解決したんだしこれ位許してね・・」

ホテルの内部のシステムからユッキーだけを除外し
正常に出来た事には気付けずに罪悪感たっぷりだ。
逃げる様にママの元へ。
もう後はチェックアウトするだけだ。
受付でママが頭を拭きながら待っていた。

「何か突然警報機が壊れて水浸しになっちゃったわ。
あー部屋に戻ってシャワー浴びたいわ!」

「ごめんね」
小さく呟くアリサ。

「ん? 何か言った? まあいいわ。
早くチェックアウトしましょう」

「そうだ 今まで見つけた隠れキャラを見せて
割引しようよ」

アリサが携帯を出しママに言う。

「そうねどれ位貯まったの?」

「確認するね。えーと・・」

遊戯室のダーツの裏 プラネタリウム
植物園の木のうろ 植物園の芽で描かれた物
54階の天井 54階の隅 54階厨房内の包丁
エレベータの天井 5階と15の階トイレのゴミ箱の下
1階のホテル地図の裏 売店の近くの廊下の突き当たり
売店のレジの下 1階受付カウンターの下
プールの銅像の裏の物
プールの照明下の壁の光で作られた物
プールの壁に描かれた物
プールの女子更衣室の壁にあった物
花火の形で作られた物 プールの泡で作られた物
ホテルの掲示板のドット絵の物と合計 
21個の隠れユッキーがアリサの携帯に入っている。

 実はこの数、非常に惜しい数なのだ。
残すはプールの男子更衣室の
壁に描かれている物。それさえ撮影出来れば
コンプリートで10万円獲得だったのだ。
しかし、アリサレーダーで
有る事は分かっていたが
プールには幾つも反応あった為絞り切れない。
そして疲れるとレーダーが作動しない。
花火職人との電話でほぼ
全ての体力を使い果たしていたのだ。

夜のユッキーは消し去ったが
朝も、プールの泡ユッキーを見つけた時点で
それを消す前にママに止められた。
その為プールにはあの泡ユッキーが
残った状態だった。レーダーの反応は
その泡ユッキーの反応だと思い込んでいた。
だが、その陰に
男子更衣室のユッキーの反応もあったのだ。
微弱だった為気付けず今に至る。
もしもママから逃げ出しサーチした結果
更衣室にある事が分かっても
結局女子のアリサでは入れない。
考案者の隆之が、もう少し考える事が出来れば
こんな結果にはならなかったかもしれないが

だが、殆どのユッキーを消し去った

それらを受付に見せようとする。

「あなた達は、このホテルの事件を解決してくれた
だから無料にする。私が払っておくわ
割引する必要ないわ」
携帯を見せる事無く終了。
しかしこれで良かったのかもしれない
受付もただの人。アリサ程に耐性は無い。
これだけ大量のユッキーを確認の為に
ちらっと見るだけでも命を落としかねないのだ。
受付のお姉さんは、優しさで
自腹で宿泊費を負担したが、言い換えれば
お金を支払い命拾い出来たとも言える。
良かったな! お姉さん!!
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