第1話 銀座の高級クラブ
文字数 1,002文字
半年間、張り込み続けた甲斐あって、これまで浮いた噂のなかった清純派女優Yの密会スクープ写真を撮って社長賞をもらった!
俺は雑誌社に勤めるカメラマン。誰もが知ってる一流雑誌社の正規雇用だ。三十一歳にして年収は四五〇万。東京の家賃十万円の1DKマンションに独り暮らし。ちなみに童貞ではない。
「やったな、たけたん! 祝杯あげなきゃな!」
編集長は自分のことのように喜んで、俺を銀座のクラブに連れて行ってくれた。そこで俺は要 と出会ったんだ。
要は一言で言うなら清楚系ホステス。つまりホステスなのにあまりホステスらしくない。俺は以前、女性ファッション誌の編集部で働いてたから、女性のファッションにはちょっと詳しい。
黒髪を※仲居巻きに結った要は女子アナ風のナチュラルメイクだった。アップルグリーンのシャネルスーツ(丸首の襟なしジャケットと膝丈のタイトスカート)を着て、一粒パールのシンプルなオメガネックレスとベビーパールで小花を模したピアスをつけていた。透明感のある肌色のパンストに白い中ヒールのパンプス。巻ヒールでなかなかエレガントだ。ネイルアートもせず、短い爪に薄いピンクのマニキュアを塗っただけで、香水もつけてない。
隣に座った要と話しているうちに、俺たちが同じ街に住んでることがわかった。俺が八丁目で要が六丁目。
「タクシーチケットがあるから、要ちゃんを送ってあげるといい」
編集長が気を利かせてそう言ってくれて、ママも賛成してくれたから誘いやすかった。
「じゃあ、帰りはタクシーで一緒に帰ろうか?」
「嬉しい。ありがとうございます」
要はきらきらした目で答えた。
一緒に乗り込んだタクシーの中で要を誘ってみた。
「緑ケ丘に着いたら呑み直そうぜ」
「残念だけど、これから仕事だから無理なの」
「仕事って何?」
「緑ケ丘のスナック。クラブとかけ持ちで働いてるの」
俺はまだ飲み足りなかったし、要と一緒にいたかったから、緑ケ丘のスナックに呑みに行くことにした。
「だったら私がお店の中に入ってから一分後に入ってきて。『家が近所だから偶然通りかかって入ってきた』っていう体 で」
と奇妙なことを言うので不思議に思った。だがそういう芝居も面白そうだしOKした。
※仲居巻き……主人公たけたんは、夜会巻き(CAがよくやってるまとめ髪)を仲居巻きだと思い込んでいる
俺は雑誌社に勤めるカメラマン。誰もが知ってる一流雑誌社の正規雇用だ。三十一歳にして年収は四五〇万。東京の家賃十万円の1DKマンションに独り暮らし。ちなみに童貞ではない。
「やったな、たけたん! 祝杯あげなきゃな!」
編集長は自分のことのように喜んで、俺を銀座のクラブに連れて行ってくれた。そこで俺は
要は一言で言うなら清楚系ホステス。つまりホステスなのにあまりホステスらしくない。俺は以前、女性ファッション誌の編集部で働いてたから、女性のファッションにはちょっと詳しい。
黒髪を※仲居巻きに結った要は女子アナ風のナチュラルメイクだった。アップルグリーンのシャネルスーツ(丸首の襟なしジャケットと膝丈のタイトスカート)を着て、一粒パールのシンプルなオメガネックレスとベビーパールで小花を模したピアスをつけていた。透明感のある肌色のパンストに白い中ヒールのパンプス。巻ヒールでなかなかエレガントだ。ネイルアートもせず、短い爪に薄いピンクのマニキュアを塗っただけで、香水もつけてない。
隣に座った要と話しているうちに、俺たちが同じ街に住んでることがわかった。俺が八丁目で要が六丁目。
「タクシーチケットがあるから、要ちゃんを送ってあげるといい」
編集長が気を利かせてそう言ってくれて、ママも賛成してくれたから誘いやすかった。
「じゃあ、帰りはタクシーで一緒に帰ろうか?」
「嬉しい。ありがとうございます」
要はきらきらした目で答えた。
一緒に乗り込んだタクシーの中で要を誘ってみた。
「緑ケ丘に着いたら呑み直そうぜ」
「残念だけど、これから仕事だから無理なの」
「仕事って何?」
「緑ケ丘のスナック。クラブとかけ持ちで働いてるの」
俺はまだ飲み足りなかったし、要と一緒にいたかったから、緑ケ丘のスナックに呑みに行くことにした。
「だったら私がお店の中に入ってから一分後に入ってきて。『家が近所だから偶然通りかかって入ってきた』っていう
と奇妙なことを言うので不思議に思った。だがそういう芝居も面白そうだしOKした。
※仲居巻き……主人公たけたんは、夜会巻き(CAがよくやってるまとめ髪)を仲居巻きだと思い込んでいる