ヒマワリの観覧車

文字数 386文字

夏の終わりも関係なく、ある森に新アトラクションが誕生した。
ヒマワリの観覧車である。
黄色い花弁はゴンドラになっていて、
おしべとめしべが詰まった管状部を中心にくるくると回る。
また太陽の方角を向くヒマワリの習性を活かしていて、時間によってゴンドラの向きが変わる。
そのため、搭乗のたびに違う景色を楽しむことができるというわけだ。

だが、管状部がもろいので、3日も稼働すると花弁のゴンドラがひらひらと落ちてしまう。
言い忘れていたが、観覧車といっても原寸大スケールのため、搭乗するのは森の虫たち。
つまりは、ゴンドラが落ちたところで大惨事にはならない。
虫は飛ぶことができるし、落っこちても死ぬことはないからだ。
逆に花弁の落ちる3日目に乗りこみ、ひらひらと落ちるスリルを楽しむ。
これが一部のファンの間での醍醐味なんだとか。

今夏もどこかの花畑で、ヒマワリの花がくるくると風車の様に回っていた。
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