10 希望

文字数 625文字

彼は本気で小説を書いている。
彼が言っていた『小説の中の自分が本当の自分』。
上手く説明することが出来ないが、彼の小説を読んでいくと彼が言っていたことがわかったように思えた。

彼に好意を抱いている彼女と2人で会った時に彼の小説の話題になった。元々彼女はボキャブラリーが少ない。LINEの文も何故かいつも片言だ。
彼に好意を抱いているはずの彼女が「彼の小説は暗い」と言った。私はとても悲しいと思ったのと同時に、彼女に彼の小説を読んでほしくない。と思った。
彼を知らない誰かに言われても勿論頭にくるのだが。
彼に好意を抱いている人が彼の書いた小説を全く理解出来ていないし理解しようともしていない。そして感想が「暗い」?(しかも一言)
何かを言ったところで彼女には理解が出来ないだろうと、そうだね。暗いね。と終わりにした。

私は彼の小説と出会った時に、まだ世の中に出ていない作品を。こんなに衝撃をうけるほどのお話を。時には生まれたばかりの作品を。世界中で私だけ(ほぼ)が彼が書く彼の世界の小説を読むことができる。それは凄く贅沢で凄く幸せだと感じた。
(本当は独り占めしたいけれど)
彼の作品を私が独り占めするのは勿体ない。沢山の人に読ませてあげたいと思った。好きか嫌いかは勿論あると思っている。それでも私が彼の世界にピタリとハマったように。彼の世界観がわかる人たちに彼の小説を読んでほしい。と思った。
私はいつか、彼がいる世界を紙の本で読みたい。
それは私の夢ではなく希望である。
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