バンドしようZE★

文字数 2,905文字

「ねー、ねー、俺、クリスチャンじゃないんだけど、キャンプしていい?」
葉一が、トラじーちゃんにくったくなく、話しかける。
「わ、私もクリスチャンじゃないんですけど・・・」
「ぜーんぜん、無問題じゃ!
 わしだって、昔はノン★クリスチャンじゃからな!!」
「へぇー、クリスチャンじゃないと、ノン、クリスチャンって、いうんだー」
それ、正しい英語なのか・・・?!
    
こうして、クリスチャン+ノンクリスチャンによる『やまのべ教会★バイブルキャンプ』が、行われることになったのであった・・・

     
いつにする?とか、なにをする?と、
お茶休憩は、『バイブルキャンプ』ミーティングになった。
葉一は、夏の『女の子たちとキャンプ』が実現したから、もう得意満面だった。
・・・葉一、お前すげぇよ・・・・・・!
俺にさんざん、夢がない!だの嘆いてみせる、
葉一の『女の子とキャッキャうふふな青春!』が叶ったのは正直、感心した。

なので、葉一に、それを伝えると、葉一は、
「だって、壁にかいてあるじゃん。」といった。
葉一が、くいっとさした、
礼拝堂の入口には、聖書のことばが描かれていた。
『神にとって、不可能なことは一つもありません。 ルカの福音書1:37』

えええええ・・・


大体のプランとかがほんの一時間ほどで決まった。
花火は?とか、案がでると、礼拝堂のエアコン修理をしている、
トラじーちゃんが、
「それもできるぞぃ!」とか、
食事は?とかには、
「婦人会も必要なら手伝えるし、バーベキューも道具がそろっとる!」と、
と、否定じゃなくて、できる方法を教えてくれるので、
みんなどんどん意見がだせるようだった。
・・・ちなみに、料理準備はゆりさんとぼたんちゃんと葉一、     
 花火準備は、さくらとダリアと俺。
特にさくらとダリアを台所に近づけるな・・!は、
二人を除いた全員の共通の認識だった。
 
「えーと、じゃあ、他に決めることある?」
「大体のメモはとったから、あとで清書して、みんなに回したらいいかな?」
葉一が、話をまとめてくれて、ゆりさんが議事録?をとっていた。
すごい。たのもしいな・・!
「賛美ハ、ドウシマスカ?」
「賛美?」
「ソウ、ミンナで、ワーシップを、シタイ、デス!」
「「「「ワーシップ?」」」」
全員が、なにそれ?という表情で、こちらを見るけど、
えーと、なんて説明したらいいのかな?
「うちの教会では、賛美っていうと古い歌ばかりだから、
 俺もあんまり知らないんだけど、
 若いひとの多い教会とか、海外の教会ではよく歌ってる、ノリのいい歌っていうか・・」
「コンナ感ジデス!」
ダリアが、もっていたタブレットで、YouTube動画をだした。
舞台に、ライト、マイクスタンド、
・・この人達、芸能人?
観客も、すごく多くて、全員でうたってる?
「わぁすっごいね!ダリアちゃん、これ、がいこくの教会?」
「オーストラリアの教会の、ワーシップデス!」
「ま、まるでうちの教会とは別世界・・・!」
「へぇー、ベースに、ドラムに、キーボード・・ライブみたいだな!」
「こ、この映像をとってるのは、プロのカメラマンなのかな・・・?
 このアングルでの撮影は、専用の機材じゃないと無理だと思う・・」
「ほんと、教会じゃないみたいねー!・・どこかのスタジアムみたい!」
「コレヲ、シタイデス!」
えええ・・
すると、トラじーちゃんも、自分のスマホで同じ画面をみながら、
同じことを言った。
「これを、シタイデス!」

えええ・・

「よーし、お前らにいーもんみせたろ!」と、
 トラじーちゃんが、礼拝堂の、備品がいれてある扉をひらいた。
 いそいそと、大切そうにかかえてきたのは・・・・

木の箱?
それは、長方形の、ごみ箱のような形で穴もあいてる、木箱だった。
    
トラじーちゃん、とうとう・・・?(失礼)
「すげー!これ、カホーンじゃん!」
かほーん?
「やらせてやらせて!」
と、葉一が木の箱にまたがった。
ドドン、ドン、ドド、ドン!
ああ、これ、ドラム的な?
それより、
「お前、楽器できるんだな!」
「いやー、できるっていうか、兄貴がドラムはモテるぞ、っていうから、
 何回か教えてもらっただけ」
モテるための努力、ぱねぇ。
「・・・よしゅあさん、、うち、大きいキーボードあります・・。」
 ひまわりちゃんがカホーンをうっとりとながめながら、言った。
「ひまわりちゃんはカンナおばさんゆずりで、ピアノすっごい
 上手なんだよ!ぼたんも習ってるんだけど、あんなに上手くひけないの!」
「ぼたんちゃんも、とても上手だけど・・・
 多分、楽譜があればキーボード、できると思います・・・」
「カホーンもいいんだけどさー、・・俺、ベースできるよ?」
「え!べ、ベースって、あの四角い白いやつ?」
「そうそう、野球のベース・・じゃなくてな!楽器の!
 ・・・兄貴が、ベースのほうが、モテたぞ、っていうから。」
丹波兄弟、モテるための努力、ぱねぇ。
「楽譜ナラ、タクサンアリま-す!」
 あ、そうだ。かんじんの、何を歌うのか、は?
「ダリア、その、ワーシップ、歌える?できれば、日本語で?」
「アー、楽譜、エイゴのモノばかりデスネー、
 デモ、ニホンゴのモノもヨウイデキルとオモイマス!」
「ダリアが教えてくれたら、ゆりも、私も歌えるとおもうけど・・・」
「ミンナで、タノシク賛美デキタらサイコーデス!」
なんだか、もりあがってきたな。
「よしゅあ、お前は?なにする?」
・・・えーと。
歌は得意じゃないし、楽器はできないし・・
「ぴ、PAはできるけど・・・」
地味だけど、いいんだ、別に。
「ア!ソウデシタ、私、一曲、ニホンゴのサンビ、シッテます!」
「わー、ダリアちゃんの歌、ききたい!ききたい!」
「ソレデハ、私のオハコヲ、ヒロウシます!」
ダリアは、アカペラで、見事な音程で歌い上げた。

  ♪イエスさまーはー わからなーい
   イエスさまーはー わからなーい  
   イエスさまーはー わからなーい
   いつまでもー いつまでもー ♪
    
「そっかー、イエス様は、わからないのかー」
葉一が、ふかく、うなずきながら言った。
ゆりさんも、さくらも、ふんふん、とうなずいてきいていた。
いや、
「ダ・・ダリア・・その歌、
『イエス様はかわらない・イエス様はかわらない・
 イエス様はかわらない・いつまでも・いつまでも』
・・・っていう、
聖書の、へブル書13章8節のみことば、
『イエス・キリストはきのうもきょうも、いつまでも、同じです』
っていうところからつくられた、賛美の歌だとおもうよ・・・!」
「OH! みすてぃく!
 デモ、コノ歌、ウタッタラ、よしゅあの叔父さん先生、
 『そうだなー、そういう歌詞ありだなー』ッテ、シミジミしてマシター」
      
・・・・叔父さん・・・!
あと、トラじーちゃんが、大笑いして、呼吸困難になっていた・・
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