第17話 予想外の問題
文字数 469文字
領主夫妻に辞意を打ち明けてから、ひと月近く。
桜花は浮かない顔で城内の社 の掃き掃除をしていた。
実は、予想もしていなかった問題が生じていた。後任の者がなかなか決まらないのだ。
祖父はあちこち探してくれているのだが、親戚筋あたりに話を持っていっても、みな辞退されてしまう。
天宮の家に生まれ育った桜花は、代々そうであったように、九条家に仕えることを当然のように思っていた。
が、他家では直接に主君に仕えるとなると、どうも敷居が高いらしい。
要はごく普通に祭事を執り行える神官か巫女でいいのである。にもかかわらず人材が見つからない。
せっかく許可を得たというのに、今のままでは巫女の座を辞するわけにいかない。
桜花はため息をこぼすと、再び箒を持った手を動かし始めた。
冴えない表情は伊織も同じである。
後任が決まればすみやかに祝言を挙げて、と考えていたのに、話は止まってしまったままだ。
桜花が巫女の座を降りられなければ、いつまでたっても自分のもとへ嫁ぐことができないではないか。
城の自室で刀の手入れをしつつ、こちらも盛大に吐息していた。
桜花は浮かない顔で城内の
実は、予想もしていなかった問題が生じていた。後任の者がなかなか決まらないのだ。
祖父はあちこち探してくれているのだが、親戚筋あたりに話を持っていっても、みな辞退されてしまう。
天宮の家に生まれ育った桜花は、代々そうであったように、九条家に仕えることを当然のように思っていた。
が、他家では直接に主君に仕えるとなると、どうも敷居が高いらしい。
要はごく普通に祭事を執り行える神官か巫女でいいのである。にもかかわらず人材が見つからない。
せっかく許可を得たというのに、今のままでは巫女の座を辞するわけにいかない。
桜花はため息をこぼすと、再び箒を持った手を動かし始めた。
冴えない表情は伊織も同じである。
後任が決まればすみやかに祝言を挙げて、と考えていたのに、話は止まってしまったままだ。
桜花が巫女の座を降りられなければ、いつまでたっても自分のもとへ嫁ぐことができないではないか。
城の自室で刀の手入れをしつつ、こちらも盛大に吐息していた。