神は中年
文字数 1,293文字
市庁舎の前の広場にて、天馬は、勢揃いした各小隊のチームリーダーたちを前にしていた。
アスタリア軍は軍事機構というほどでもないが、ここにいるリーダーごとに10人を率いて一つのチームとなっているらしい。緊急で集められたアスタリア兵600だから、ここに揃うのは計60人ものリーダーたちだ。
天馬に並ぶように立っていた長老が、居心地悪そうに応じる。
やや後ろに控えていたエリカがため息交じりに言った。
リーダーたちがざわつき始めると、エリカの隣にいたイヴァが皆の前に進み出て、健気に男たちを見回す。
イヴァも迷彩服に身を包んでいた。天馬が促したわけもないが、イヴァは当たり前のように戦闘に出るらしい。たとえ形式だけであっても、それが部族の長としての役割なのかもしれなかった。
【アスタリア兵】
どうもテメーは戦いってヤツを舐めてるだろ?人が死ぬ。こいつはマジだ。政府軍に死者が出るってことは、俺たちにも出る。政府軍兵士を200人殺しても、俺たちには100人の死者が出るかもしれねえ。そういうものなんだよ。
そういうものだと思い込んでいるのは貴様らの勝手だ。貴様らのスマホはすべてこの俺が借り受けている以上、もはや情報漏洩の危険はないと判断し、これより作戦を共有する。現代戦における優れた将は、可能な限り戦闘員たちと情報共有し戦いに臨むものだ――
それから天馬はリーダーたちの前で、大筋の戦いの流れを語っていった。
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