導入兼茶番劇

文字数 1,242文字

はぁ……。
人の家に上がり込んでため息をする礼儀知らずと仲良くなったつもりはないぞ。
じゃあお前は貰えたのかよ、チョコレート。
君はまだそんなことを言っているのか?
そんなことって!まだ二日しか経ってないのにチョコ0個の痛みが癒えるかよ!
日頃の行いだな。
俺は忘れないぞ。中学の時にどこぞの不登校の机の中に大量の手作りチョコがあったのを。
今年もあるんじゃないか?ちょっと僕の高校の下駄箱を見てきてくれ。
そこまでストレスフルな仕事を俺は聞いたことねえよ!
冗談だよ。腐ったら困るから当日の夜に回収してきた、ほら。
よし、そこに座ってろよ。
ん?急に立ち上がってどうした。
おい待て、準備体操を始めるんじゃない。
友達に絞め技をする準備を始めるな。
分かった、謝る。これは後で燃やしておこう。
ギブアップが早い!?
それとも全部君にあげようか?
どんな角度の嫌がらせだよ!
どんな角度かと言われれば、鋭角だろう、と答えざるを得ない。
むしろ鈍痛のようにキリキリくるけどな!
となると、あの男が来る前に、君は帰ったほうがいいかもしれないね。
あの男?
っと、きてしまったか
ど〜〜も!
水ちゃんも努ちゃんも久しぶり!
百田!?
お前岡山に引越ししたんじゃ!?
いやぁ〜、ノスタルジィを感じるなぁ!
これぞわが故郷だ!
ちょうどよかった、百田、お土産を見せてくれ。
んっと、これが「きびだんご」
ほう、これがかの有名な「きびだんご」か。
ほんで、こっちが、来る前に女子がくれたチョコレート。
貴様ッ!
やだなぁ、僕は一緒に食べようと思って持ってきたのに。

水橋、百田しばくから腕抑えて。
あいさ。
え、なんでこんなに怒ってんの?
水橋離せって!
すまない……。
ア゛ッーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
しかし、この「きびだんご」そんなに美味しくないね。
たしかに、これじゃあ猿雉犬は働かないな。
俺も初めて食ったからな。
桃太郎発祥の地としての自負はないのか!?
俺にそこまで重たい責務を負わせないでくれよぅ。
ま、生まれも育ちもこっちだから岡山県民の自負の方はないだろうけど。
おい佐伯。
俺を指名手配犯のキャッチコピーみたいに呼ぶな!なんだよ。
無理やりツッコミどころを探して来るなよ。だいたいその事件を君は殆ど知らないじゃないか。
そーだそーだ!
うぐぐ……。
で、水橋、なんだって?
あぁ、えっとだね、佐伯君、まさか君は本当に桃太郎が岡山の話だと信じきっているのか?
は?信じるも何も「桃から生まれた桃太郎」は岡山の専売特許だろう。
根拠を言ってみなよ。
俺たちが今食べてるきびだんごが証拠じゃないか。こんな微妙なのをお土産として売ってるのはそれがアイデンティティだからじゃないのか?
口を開く前に脳を使って差し上げろ。
俺は「温羅」がなんとかって聞いたけど?
それは完全に切り離すことはできないね。
ただ、今からやるのは佐伯努君、彼の上っ面の知識を叩き潰す作業だ。
……なぁ水橋。
オブラートって知ってるか?
それくらい、君でもあるまいし、知ってるよ。
なら厚めに包んでくれたら嬉しかったな……。
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