第45話 エピローグ
文字数 286文字
その夜も、ぼくは深夜に家を出て、国道沿いを歩きはじめました。
ぼくは瀬尾あきひと。「できのわるい弟」です。たとえ姉がいなくなっても、ぼくが「できのわるい弟」であることには変わりません。
でも、なにかが変わりはじめていることには、さすがに頭のわるいぼくでも気づいています。
深夜の国道をひとり歩きながら、なにかが変わりはじめていると感じるのです。止まっていた時が流れはじめているような気がします。
そして、同時に姉が遠ざかっていくような気もします。
「それで、いいのよ」と姉の声。
でも、ぼくは遠ざかる姉を追うように歩き続けます。けっして追いつかないとはわかっていながらも。