第45話 エピローグ

文字数 286文字


 その夜も、ぼくは深夜に家を出て、国道沿いを歩きはじめました。

 ぼくは瀬尾あきひと。「できのわるい弟」です。たとえ姉がいなくなっても、ぼくが「できのわるい弟」であることには変わりません。

 でも、なにかが変わりはじめていることには、さすがに頭のわるいぼくでも気づいています。

 深夜の国道をひとり歩きながら、なにかが変わりはじめていると感じるのです。止まっていた時が流れはじめているような気がします。

 そして、同時に姉が遠ざかっていくような気もします。
「それで、いいのよ」と姉の声。

 でも、ぼくは遠ざかる姉を追うように歩き続けます。けっして追いつかないとはわかっていながらも。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み