#12【リアイベ】すっごいステージに立ってみた! (4)

文字数 16,003文字

【前回までのあらすじ】
ナイトテールと共にライブを復活させたヒロト。
そんな彼を楽屋の前であの人物が待ち受けていた。

1話目はここから!
 https://novel.daysneo.com/works/episode/bf2661ca271607aea3356fe1344a2d5f.html

更新情報は『高橋右手』ツイッターから!
 https://twitter.com/takahashi_right

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 ■□■□香辻桐子Part■□■□

 スマホの小さな画面には二人の女の子が映っている。
 1人は姫神クシナさん。ハイプロのリーダー的存在で、突然ライブにゲスト参加することになった灰姫レラを助けてくれた尊敬する大先輩。
 そして、もう1人はナイトテール。抜群のトークセンスでライブのピンチを救ってくれた。その正体はクラスメイトの夜川愛美さん。桐子が欲しかった才能も人望も全部持っているようなすごい人。
 同じVチューバーとして、嫉妬という感情を初めて自覚した二人だ。
 その二人が――。

(歌ってくれてる、私の歌を)

 ステージに立てない灰姫レラの代わりに、クシナさんとナイトテールがクソザコシンデレラを熱唱していた。
 トラブルでステージ進行はガタガタだ。時間なんて無いはず。普通に考えればハイプロのユニット曲や、絶対に盛り上がるライブの定番曲を優先するべきだ。
 なのに、二人は観客が知っているかも分からない、灰姫レラのオリジナルソングを歌ってくれているのだ。下手をすればせっかくの盛り上がりが台無しになってしまうかもしれないのに――。

(会場の人たちも、配信で観てる人たちも楽しんでくれてる)

 ピンクと赤、白のサイリウムが大きく揺れている。ピンクはクシナさんのイメージカラーで、赤はナイトテールのイメージカラー。そして白は灰姫レラのイメージカラーだ。
 観客の人たちは、灰姫レラも一緒にステージに立たせてくれたのだ。

(ありがとうございます)

 感謝の気持ちが溢れた雫が、スマホの画面を濡らす。

「あぅっ」

 慌ててティッシュで拭くけれど、ぽろぽろと落ちる涙は止まらない。俯くようにして観ている自分が悪いんだと、桐子は顔を上げることにした。



 転んだって もう一度立って

 涙を拭いて もう一度立って

 そこが私のスタートライン!!



 スマホの角度が変わって、音が聞こえやすくなる。
「あはっ、やっぱり二人とも私より上手いな」
 歌唱力にも定評のあるクシナさんの歌が凄いのはもちろん、ナイトテールだって負けていない。カラオケも好きで友達とよく行くというだけあって、歌うまだ。初ステージでしかも、クシナさんとのデュエットなのに萎縮したりせず、むしろ堂々と楽しんで歌っているように見えた。



 クソザコだってシンデレになってみせるからーーーー!!



 クシナさんとナイトテールの声が重なり、最後の詞を歌い上げる。敢えて砕けさせた力強い歌声が、桐子には自分を応援してくれているかのように思えた。
 楽屋まで聞こえてくる拍手と歓声は、本来のステージと遜色ない。
 一曲歌いきったナイトテールが去り、他のハイプロメンバーたちがステージに姿を現す。英雄たちが戦地から帰還したかのように、観客たちは喜び、涙を流しているだろう人たちがいる。
 そのまま、オリジナルの全体楽曲『ファイブスター・ガールズ』へとバトンは繋がれていった。
 ケンジ社長の言っていた『熱』は完全に戻っていた。むしろ、トラブルからのドラマチックな立て直しに、観客たちのボルテージは天井知らずに上がっていた。トラブルすらも演出だったのではないかと、考える人がいてもおかしくない程だ。
 さすが河本くんだ。ナイトテールも、クシナさんたちも、スタッフさんたちも、そしてケンジ社長も。

(私がやらかしちゃったのも他のトラブルも全部、皆がカバーしてくれた)

 嬉しかった。
 さっきまで沈み込んでいた心がすごく軽くなった。
 でも……ほんの少しだけ寂しかった。

「新曲、やっぱり歌いたかったな……」

 スミスさんは、急なスケジュールなのに素敵な曲に作り上げてくれた。
 紅葉が、時間の無い桐子に代わって一からダンスや色々な事を考えてくれた。
 夜川さんは、ナイトテールとしての配信で毎日宣伝してくれた。
 河本くんが、ライブでの発表から今日までの道筋を作ってくれた。
 その期待に応えられないのが悔しかった。
 目にまた涙が集まってくる。
 でも、それは零しちゃいけない涙だと桐子は堪えようとした。

(間違ったことしてないと思うから)

 もし桐子が何もしなくても、倒れた人もすぐに回復していたのかもしれない。

(後悔はしないんだ)

 新曲は動画で出したっていい。それならもっと練習して、もう少し上手くなった歌を収録できる。

(だから、後悔はしない……)

 皆が楽屋に戻ってきたら、勝手に暴走してごめんなさいって、謝ろう。
 それから、皆にありがとうって、伝えよう。
 桐子がそう決めた時、廊下から声が聞こえてきた。

「なんでキミが?」

 河本くんが誰かと話している。

「配信で言ったでしょ」

 一瞬、誰の声か分からなかった。廊下の反響とライブステージから流れてくる音が合わさったからだけではない。「そんなハズない」という先入観のせいだ。

「ワタシも見に行っちゃおうかなって」

 その言葉と声が桐子の中で、1人の像を完璧に作り上げる。

(うそ……)

 いる。
 廊下に。
 すぐ近くに。

(アオハルココロちゃん?!)

 その名前を脳が認識すると同時に、心臓がキュッと縮まって、口から飛び出してしまいそうになる。

(本当にいたんだ……アオハルココロちゃんって)

 桐子はアオハルココロちゃんのリアルライブにも参加したことがあるし、バーチャル空間で会ったことだってある。
 でも、神様が現実世界にいるなんて思わない。
 『アオハルココロ』はバーチャルにしか存在しないんだと、頭のどこかでずっと信じ込んでいた。
 知らず識らずのうちに桐子は息を潜めていた。会いたい会いたくないとかを越えた何かだ。それこそ神様や宇宙人が空から降りてきたら、とりあえず電信柱の影やベンチの下に隠れるのと同じだ。

「レラちゃんは大丈夫?」

 心配げなアオハルココロちゃんの声。それだけで桐子はもう報われた気になってしまう。

「うん、怪我はないよ。色々と落ち着くまで楽屋で休んでもらってる」

 本当は楽屋謹慎なのだけれど、河本くんは庇うように説明してくれた。

「そう、良かった」

 アオハルココロちゃんの声に交じるほんの僅かな吐息が、胸を撫で下ろすように桐子には聞こえた。

(私のことを心配して来てくれたんだ)

 桐子の中の天秤がぐらりと傾く。

(会いたい)

 簡単な事だ。ソファーから立ち上がって5歩も進めばいい。
 でもそれが出来なかった。

(会っていいのかな)

 アオハルココロちゃんは嫌がるかもしれない。
 自分はアオハルココロちゃんと会うに相応しい人間(Vチューバー)なのか。
 どうしても最後の勇気が出てきてくれない。
 リアルで会ってしまったら、今の関係が崩れてしまいそうで、酷く怖かった。

「調子はどう?」
「変わらず。分かってるよね?」
「…………」

 桐子が迷っているうちに、二人の会話は進んでいた。

「システムに障害を起こしたのはヒロト?」
「僕じゃない。ただの偶然……だと思う」

 まだ理由が判明していないのか、河本くんの言葉は歯切れが悪かった。

「そこまで含めてヒロトの采配だと思った。まるで準備してたみたいにナイトテールちゃんがいい仕事してたもの」
「ナイトテールの実力だよ。彼女無しじゃ成立しなかった」
「もちろん彼女の抜群のトークセンスがあってこそ。でも、その正解を見つけられる人も貴重でしょ」
「正解は……灰姫レラより先に客席の異変に僕が気づくべきだった。そうすればもっと適切な対処が出来たのに」

 自分の責任だと言うけれど、河本くんに非なんてあるはずがない。そう思わせてしまった自身の不甲斐なさが、桐子には心苦しかった。

「確かに、昔のヒロトなら気づいてたかもね。彼女のステージに見とれてた?」

 アオハルココロちゃんの言葉の端々には、見せるような棘があった。

「ただ……彼女から目が離せなかった」

 迷いながら答える河本くんは自分でも理由は分からないようだった。
 きっと灰姫レラが危なかっしかったからだ。クシナさんやアオハルココロちゃんみたいに歌もダンスも安定させられないから、河本くんは他に意識を割けなかったんだと思う。

(情けないな……もっと私が上手かったら……ううん、もっと上手くならなくちゃ)

 河本くんや他の人達に心配されないようにならないといけない。桐子は心に刻むように拳を握った。

「ワタシと組んでた時は、最初にトラブルに気づくのはいつだって、ヒロトだった。隠したいことも、そうじゃないことも……変わったんだ」
「うん」

 河本くんは素直に認める。

「あの頃、僕がアオハルココロをプロデュースしていた」
「そして今は灰姫レラをプロデュースしてる」

 重ねるように言うアオハルココロちゃんに、河本くんは躊躇ったように息を吐く。

「そうじゃない。僕は灰姫レラに、プロデューサーにしてもらったんだ」

 そういえばライブ出演が決まったあの日、河本くんは似たようなことを言っていた。どうしてアオハルココロちゃんにも同じことを言ったのか桐子には分からなかった。

「…………そうね」

 間があったアオハルココロちゃんの声は小さくて、なんて言ったのか正確に聞き取れなかった

「楽しいだけじゃないよ。今日なんか、リハーサルの時からずっと不安だったし」
「人間くさいこと言わないで」

 強めに言うアオハルココロちゃんは少し怒っているようだった。

「劣化したのか成長したのか分からないけど、悪いことじゃないと思ってる」

 河本くん自身も戸惑っているかのような口ぶりだ。

「私は人間じゃなくなりたいかな。完全にバーチャルな存在でも、機械の身体でもいい。休む必要がなく、最前線でずっと戦い続けられるなら」
「変わらないね、キミは」
「変わって欲しくないんでしょ、ワタシに」

 アオハルココロちゃんの言葉に、河本くんは意地悪でもされたかのように声を返せないでいた。そんな河本くんにアオハルココロちゃんは満足したかのように笑った。

「フフッ、ワタシはもう行くから。次のお仕事に間に合わなくなっちゃう」

 硬いものが擦れる音に足音が続く。

(待って!)

 とっさに桐子は開け放たれたままのドアに手を伸ばしていた。

「灰姫レラに会っていかないの?」

 桐子の心を代弁したかのような河本くんの言葉に、足音が止まる。

「もし会ったら、ワタシと本気で戦ってくれなくなるかもしれない。彼女、優しいから」

 アオハルココロちゃんの優しい声に、桐子の足が止まる。
 あと一歩、踏み出せば。
 声を上げれば。

「そう」

 河本くんの納得した声に、桐子の伸ばした手も下がる。

(アオハルココロちゃんが望んでないなら)

 そう自分を納得させようと――

「灰姫レラちゃん、聞こえてる!」

 廊下を駆け抜けた声が桐子の元へと届く。

「は、はいっ!?」

 ギリギリ裏返らずに返事が出来た。
 立ち聞きしていることなんて、アオハルココロちゃんには最初からお見通しだったようだ。恥ずかしさが襲ってくるよりも早く、次の言葉がやってくる。

「待ってるから! アナタがワタシの所まで登ってくるのをっ!」

 頭の中で鐘が鳴り響いた気がした。
 神の啓示とかレベルアップとか、そういう大それたものじゃない。学校のチャイムみたいな鐘の音だ。まるで最初の授業が終わったように――。

「ありがとうございます!」

 精一杯胸を張って、今できる一番の声で桐子は応えた。

(会う、会わないじゃない。もう繋がってるんだ)

 ウジウジしている自分はもう奥の方に引っ込んでいた。

「香辻さん」

 河本くんが楽屋の入り口までやってくる。

「すみません。立ち聞きしちゃって」
「いいんだ。彼女、励ましに来たんだから」

 穏やかな笑みを浮かべる河本くん。袂を分かっても、二人の間には言葉にしなくても伝わる信頼がしっかりと根づいているのだろう。羨ましいけれど、それより嬉しさの方が勝っていた。

「身体は問題ない?」
「はい! アオハルココロちゃんに励ましてもらって、もう元気百倍です!」

 桐子は気恥ずかしさを誤魔化すように、力こぶを作るマッスルポーズをしてみせた。

「良かった……いや、良い状況じゃないか」

 少しばかり失言だったと苦笑する河本くんに、桐子は首を横に振る。

「良かったんですよ。ライブが再開できたんですから。皆が楽しいなら、それが一番です」

 こうして話している間にもライブは続いている。
 クライマックスに向かって、ライバーと観客が一体になってステージを高めているのが、音と振動となってバックヤードも揺らしている。トラブルの影は微塵もなく、興奮と楽しさだけが伝わってくる。

「香辻さんが声を上げてくれたからだよ。僕一人なら、ケンジの判断を支持してた」

 そう言ってゆっくりと瞬きをした河本くんは、柔らかな笑みを浮かべる。

「僕は諦めが早いからね」
「ええええっ?! 河本くんっていつも頑張ってるじゃないですか!」

 桐子は思わず大声を上げていた。桐子の見えないところでも、河本くんは灰姫レラのために色々と準備をしたり、確認をとったりしてくれている。今日のライブのためにだって、ギリギリまで灰姫レラのモデルを準備してくれていた。

「いくら頑張っていても、諦めたり、諦めなくちゃいけなかったりすることはあるからね。リスク・リターンがあわない時、他人と衝突した時、限界が見えてしまった時、自分ではどう足掻いても解決できない時」
「……それで、アオハルココロちゃんも諦めたんですか?」
「そうだね。たぶん」

 不躾な桐子の言葉にも、河本くんは真摯に頷く。自分を責めて、罰を受けることを望んでいるような悲痛さの影がある気がした。
 ついさっきの二人の会話が頭の中で残響していて、桐子はそれ以上は踏み込むことが出来ない。

(きっと私には言えないようなことが二人にあったんだ……)

 そう考えるだけで胸が苦しくなる。
 できることなら何も知らないままでいたい。
 河本くんは灰姫レラのプロデューサーで、アオハルココロちゃんは憧れの人だとずっと想っていたい。

(だけど、いつか向き合わなくちゃいけないのかも。私がアオハルココロちゃんのいる場所を目指すなら)

 そもそも自分は実力も覚悟も足りないし、特別なものなんて何も持っていない。

「香辻さん、どうかした?」

 黙り込んでしまった桐子を心配して河本くんが声をかけてくれた。

「あっ、さっきのアオハルココロちゃんの言葉を思い出して。勢いで返事しちゃったけど、私がアオハルココロちゃんを目指すなんて分不相応かなって」

 今日、あの瞬間でなければ絶対に怖気づいていたはずだ。

「前に話したよね、才能は自分の中には無いって僕の考え」
「もちろん覚えてます。誰かの事を羨ましいって思う時に、その相手が持ってるのが才能だって」

 だから河本くんは、『才能は自分では絶対に手に入らない』と言っていた。

「僕が思う香辻さんの才能は、諦めないことなんだ」

 河本くんの意外な言葉に、桐子はなんで?と目をパチパチする。

「そんなじゃ……、他に方法が分からないから、続けること自体に縋るしかないんです」

 才能があったり、頭の良い人からしたら、イライラさせてしまうことなんだろう。ぐずぐずしてる自分が愚かに思えて、自分が信じられなくなる時も沢山ある。
 目を伏せそうになる桐子を、差し出された河本くんの手が止める。

「香辻さんは中学の頃につらいことがあっても諦めなかった。灰姫レラの活動が上手くいかなくても諦めなかった。香辻さんの中には『諦めない才能』が、『強さ』があるんだ」
「河本くん……」

 自分で情けないなって思う事を、河本くんは『才能』だと言ってくれた。

「そんなこと言うの、ズルいです」

 せっかく落ち着いたはずの心が、ワーッとなって溢れてしまう。

「わ、わたしの……うぐっ……ぜ、全部、無駄じゃなかったよぉ……」

 心の棚にずっとあった隙間に、1冊のアルバムが収まった気がする。

「ちゃんと、続いてた……河本くんにプロデュースしてもらって……今日の、この場所に、続いてた」

 ずっと捨てたいと思ってたアルバムだけど、捨てなくて良かったんだと思えた。

「うぐっ……ありがとうございます!」

 泣いてなんていられないと、桐子は心からの笑顔で伝える。
 河本くんは優しい笑みで頷いてくれた。

「今日は新曲の発表ができなかったけど、その分は最高の動画を作って皆に見てもらおう」
「はいっ! 辛気臭くちゃだめですよね!」

 雨上がりみたいにすっきりとした気分だ。

「カーテンコールは笑顔じゃないとね。さあ、行こうか」

 そう言って、河本くんは虹みたいに手を差し伸べた。

「でも、ケンジ社長が待機って……」
「そのケンジが言ったんだ。全員でって」
「ええええっ?!」

 意外すぎて桐子は失礼な驚きの声を止められなかった。ケンジ社長のことをよく知っているわけではないけれど、自分の意見を簡単に変えるような人には思えない。一体どんな魔法がケンジ社長にかけられたのか、桐子には見当もつかなかった。

「灰姫レラは元気だって、お客さんに声を届けよう」
「はいっ!」

 もう一度ステージに立てる嬉しさに、桐子は身体を弾ませるように楽屋を飛び出していく。
 通路から舞台袖が近づくに連れ、曲と歌声がハッキリとしていく。流れてるのはプログラム最後の曲『未来の笑顔』。フィナーレに相応しい明るくて希望に満ちた曲だ。



 キミとの約束 繋がっているから

 絶対、また会おうね!



 舞台袖から覗くと、クシナさんたちが最後の歌詞を歌っていた。
 続くアウトロにのせてクシナさんたちは観客に向かってバイバイと手を振っている。会場中を抱きしめるように両手を広げているライバーもいれば、一人ひとりにしっかり見えるように身体の角度を少しずつ変えているライバーもいる。
 巨大スクリーンは徐々に光量を落としていく。
 観客たちも、手やペンライトを精一杯振って応えていた。ライブを噛み締めて満面の笑みだったり、感極まって涙を流していたり、会場には感情の上昇気流が発生し熱気を循環させていた。
 流れ星の残光が消えるようにアウトロが終わると、暗くなった場内が割れんばかりの拍手で満たされた。秋の驟雨では量が足りない、まるで大瀑布が直ぐ近くで流れているかのようだ。
 拍手が収まると、巨大スクリーンに灯りが戻ってくる。そこには灰姫レラ以外の出演者21人が勢揃いしていた。

「みんな、今日はライブに来てくれて本当にありがとう」

 センターに立ったクシナさんが皆を代表して挨拶をする。予定では出演者全員が一言ずつ想いを届けるはずだったけれど、その時間はもうない。

「そして、灰姫レラちゃんも無事に戻ってきました!」
「心配かけてごめんなさい! 私は大丈夫です! すーーーーっごく元気いっぱいです!」

 スタッフさんが差し出したマイクに向かって、桐子は肺の空気がすっからかんになるほど全力で自分が大丈夫なことを届ける。

「おかえりーーーー!!」

 喜びの拍手と共に、迎えてくれる温かい声が観客席のいたるところから聞こえてきた。
 桐子はマイクを離して、クシナさんにバトンを返す。

「急遽繋いでくれたナイトテールもありがとう」
「どういたしましてー」

 隣にいたナイトテールこと夜川さんの声もマイクを通して会場に流れた。

「機材トラブルでライブを本来の形で届けられなくて本当にごめんなさい」

 心の底から申し訳無さそうに、クシナさんたちは頭を下げる。観客から見えないと分かっていても、桐子も続かずにはいられなかった。

「でも、トラブルを乗り越えてこうしてフィナーレを迎えられてる。私たち出演者やスタッフさんだけじゃなくて、会場のみんな、配信を見てくれているみんなが信じてくれたから。そんなみんなを私は誇りに思います」

 終演の時が迫っていた。

「ハイランダープロダクション、4周年に向けてまだまだ頑張っていきます。応援よろしくおねがいします!」

 クシナさんたち21人が手を繋ぐ。

「「「「「ありがとうございました」」」」」

 一糸乱れぬ礼と感謝の言葉。健闘を称える優しい拍手の中で、バーチャルのステージに幕が下りていく。

『予定していましたエンディング映像は、ライブ終了後すぐに公式チャンネルにてご覧いただけます』

 雛木さんの出来る限り感情を抑えたアナウンスが場内に響く。
 普通ならライブの終わりを惜しむ声が観客から上がるけれど、今日はそれが一切無かった。
 観客たちだって名残惜しくない筈はない。むしろ、トラブルで失った時間の分を取り戻したいと思っているはずだ。熱烈なファンなら推しの曲が無くなったり、出演時間が減ってしまったことでやるせない気持ちになっているかもしれない。
 だけど、全ての観客が飲み込んでいた。
 トラブルがあったのだから、曲数が減って、エンディングもアンコールも無いのは仕方がないことだ。わがままを言ってもハイプロのメンバーを困らせるだけだ。
 全て納得するのが『いいファン』なのだと。
 だから、アンコールは誰からも起こらな――。

「灰姫レラちゃんの新曲、聞きたーい!」

 女性の大きな声が響く。
 客席からではなく、ステージのこちら側からだ。
 よく通る声は素人ではない。
 スクリーンを越え、帰途につこうとしていた観客たちの足を止め、ステージを振り返らせる力があった。
 その声を上げたのは。

「サギリさん?!」

 驚く桐子にサギリさんは男前な笑みで応え、さらに手拍子を始めた。

「レラちゃん! レラちゃん! レラちゃん!」

 さざ波は観客が抑えようとしていた願望を刺激する。ダイエットしているのに、どうしてもデザートが食べたいと思ってしまうように、止められない。
 ざわざわと波が大きくなっていく。

「……ちゃん、レラちゃん、レラちゃん」

 水に落とした一滴のインクのように、コールが広がっていた。
 どうしていいのか分からず動けないのは桐子だけではない。スタッフも全員がケンジ社長を見ていた。

「自分が何をしているのか、分かっているんだろうな?」

 ケンジ社長は鷹を思わせる鋭い眼光で、サギリさんに問いかける。

「あ、クビにするならどうぞ」

 さっくり言ったサギリさんは、してやったりとでも言いたげに片頬で笑っていた。
 コールはさらに数と勢いを増し、さらにはネット経由で配信の方にも届いていた。

〈まだあるの?〉〈重大発表あるって言ってたし〉〈会場すごいことになってるって〉〈全部演出?〉〈アンケートまだだし、あるっぽいね〉〈レラちゃん大丈夫なの?〉〈うぉおおおおお!〉〈ブラウザ閉じるとこだった〉〈おねえちゃあああああああああああああああ〉〈新曲ききたいよね〉

 消えたと思っていた火が蘇る。

『私も聞きたいな、レラちゃんの新曲!』

 会場に響くマイクを通した声。凛としているけれど、おねだりするような愛らしさもある魅力的な声はクシナさんだ。いつの間にか握ったアナウンス用のマイクを握っていた。

「うぉおおおおおおおおおおおおお!!」

 会場は燃え上がるどころではない。最後にダイナマイトが仕込んであったみたいに感情が爆ぜていた。

『いい子ぶってないで、わがまま言っちゃいなよー!』

 クシナさんにマイクを向けられたナイトテールが観客を煽る。

「アンコール!」
〈アンコール!〉
「「アンコール! アンコール!」」
〈アンコール!〉〈アンコール!〉
「「「「アンコール! アンコール! アンコール!」」」」
〈アンコール!〉〈アンコール!〉〈アンコール!〉

 手拍子と大合唱とコメントは、全てを飲み込む竜巻のように、止まらない。
 希望と期待のプレッシャーを受けたケンジ社長は、眼鏡に手をあてたまま動かない。
 そんなケンジ社長の代わりとばかりに、今回のライブを担当した社内ディレクターさんが苦しげに声を漏らす。

「社長、残念ですが止めましょう」
「…………」

 無言のままケンジ社長の眉が歪む。

「延長すれば、会場の違約金に外部スタッフの追加費用で収益が……」
「社長なら、それぐらいすぐに稼ぎますよね」

 挑発するように言ったのは雛木さんだ。まるでこの状況をファンの1人として楽しんでいるかのように見えた。
 ディレクターさんは渋い顔のまま、ケンジ社長に近づく。

「それだけじゃありません。もしペナルティで年末の4周年記念ライブで、系列の会場が使えなくなったりしたらどうするんですか!」

 管理職としてリスクは避けるべきだとディレクターさんは訴えるけれど、現場の意見は違うようだ。

「ライブ会場が使えなくなったらオンラインでやればいいよね、みんな」
「うんうん、ボクたちバーチャルだし~。それにスタジオなら夜ふかしもし放題」

 クシナさんとタマヨさんの言葉に、ハイプロの他のライバーたちも頷く。

(みんな……私も新曲歌いたい! けど……)

 トラブルを起こした自分が、またステージに立ちたいなんて我儘を言って良いのか、迷いがあった。

「お願いだ、ケンジ」

 声にできない桐子の代わりに河本くんも声を上げてくれた。

「お前もか、ヒロト」

 見つめる河本くんにケンジ社長はため息を付く。

「しゃ、社長?」

 不安げなディレクターさんに向かって、ケンジ社長はようやく答えを出す。

「社長の仕事は二つだ。一つは資金を調達してくること、そしてもう一つは、その資金を、いつ、どこに、投入するかだ。無駄金を使うのは背任行為と変わらん」

 言い切るケンジ社長にディレクターさんはホッとしているけれど、その言葉にはまだ続きがあった。

「灰姫レラ!」
「は、はいっ!」

 ケンジ社長が真っ直ぐに桐子の目を見る。

「お前に出来るのか、オレの投資に見合ったステージが!」

 問うケンジ社長の目が今までとは明らかに違う。
 ゲスト出演者や河本くんのおまけではなく、対等な相手として見てくれている。
 ハイランダープロダクションを背負った社長の大谷ケンジとして、灰姫レラに聞いているのだ。

「やります! 新曲を歌わせてください!」

 尋常ではないプレッシャーだけど、桐子は怖気づきも躊躇もしなかった。

「私ひとりだったら無理だけど、皆が一緒にいてくれるから、出来ます!」

 河本くん、スミスさん、紅葉、そして応援してくれる沢山の人たちの想いを背負った灰姫レラとして、桐子も応えた。

「なら、示してみせろ!」

 そう言ってケンジ社長は、手を伸ばしステージへの道を開く。

「社長!?」
「やったーーーー!」

 ディレクターさんが慌てふためいている横で、みんなの歓声が上がる。

「ありがとうございます!」

 深々と頭を下げる桐子に、そういうのは必要ないと言いたげにケンジ社長は詰め寄る。

「さっさと準備しろ。客を待たせるんじゃない」
「はいっ!」

 桐子がどうすればと見回すと、何かを抱えたサギリさんが近づいてくる。

「予備のこれ使って。裏で灰姫レラちゃん用に調整してもらってたから」

 そう言って、センサーの付いたグローブなど装備一式を差し出す。機材が壊れた時用に準備していたもので、ベルトやバンドでセンサーを身体の各部に取り付けるタイプだ。

「準備、手伝うねー」

 待ってましたと夜川さんも、桐子の装着を手伝ってくれる。

「サギリさん、楽屋に花を届けてくれたり、さっきも応援してくれたり。本当にありがとうございます」

 急いで準備する時だけれど、桐子はサギリさんに感謝を伝えずにはいられなかった。

「別にいいって。ネット番組の収録で灰姫レラちゃんが私のこと助けようとしてくれたから、そのおかえし」
「えっ! そんな! あの時はむしろ邪魔ばかりしちゃって……ごめんなさい」

 謝る桐子にサギリさんは首を振る。

「ううん、私の方こそごめん。あの時は自分のことでいっぱいいっぱいで、周りを見てる余裕なかった。灰姫レラちゃんにお礼も言わないで、嫌な思いさせちゃったかも」
「嫌な思いだなんて無いです! でも、私がもっと上手く出来たら良かったのにって」
「引退は私の決断だし、力不足も私の責任」

 後悔はないというように、サギリさんはカラッとしていた。

「それに私は諦めたわけじゃない。今は裏方で勉強して力をつけたら、もう一度ステージに戻るから、絶対に」

 サギリさんは不敵に笑う。自分はもう前を向いているのだから、貴方も気にしないでと言うようにサッパリとした、三ツ星サギリらしい表情をしていた。

「サギリさん……!」
「その時は、コラボしてくれる?」
「はいっ!」

 話している間にセンサーの装着が終わる。

「はい、レラちゃん」

 最後にナイトテールから受け取ったインカムを耳に付ける。
 モーションキャプチャー担当のスタッフと舞台監督からOKの合図が出る。

「灰姫レラのステージ、楽しんできて」
「はい」

 河本くんに送り出され、桐子はステージの中央に立つ。
 バーチャルの幕が開き、巨大スクリーンの中央に灰姫レラが映し出される。

「みんな、ありがとう!」

 ペコリとお辞儀する。その拍子に心臓が飛び出してしまいそうなぐらいドキドキしていた。

「レラちゃーーーーん!」

 応援してくれる声がたくさん届く。
 観客席では白のペンライトがいっぱい揺れている。
 配信のコメントを映すモニタも喜びの言葉で埋め尽くされている。
 ステージには、結構緊張している自分がいる。

「ちょっとだけ聞いてください」

 全然怖くない。
 心地いい緊張に、胸が高鳴っているのだ。

「私の新曲、『ライブ・マスト・ゴー・オン!』」

 ☆♪☆♪☆『ライブ・マスト・ゴー・オン!』☆♪☆♪☆
       作詞:灰姫レラ+1 作曲:ブラックスミス

『あーあー、聞こえてますかー?』

 フライングするように飛び出したドラムに合わせて、まずはセリフパート。
「聞こえてる!」「オッケー!」「バッチリー!」
 駆けつけたギターやベースたちが、観客の声と一緒に合流していく。



 仮眠起きたら 配信(やくそく) 5分前

 めっちゃ焦った 告知(メッセージ)は 誤字ってる



 灰姫レラの背後に、実際に誤字したTwitterの告知が現れて会場からドッと笑いが起きる。
 コミカルな演出とは裏腹に、歌っている本人はめちゃくちゃ必死だ。
 ギャロップのようにテンポの速い曲だ。
 一瞬でもミスれば、歌声は音に飲み込まれ無残な轢死体になってしまう。



 なんだか今日の 化粧(サムネ) 変じゃない?

 ザコなわたしを あなた(リスナー)は 見てくれる?



 化粧台の鏡に映る自分を見るように、灰姫レラはサムネを見つめていた。
 理想と現実のギャップが影を落とすように、AメロからBメロに入って曲調も変わる。



 上手くおしゃべりできないし

 可愛いわけでも、歌がうまいわけでもなくって

 なんで いてくれるのか分からないけど



 落ち込む理由は沢山あっても、諦めるわけにはいかないと灰姫レラは光に手をのばす。



 あなたと一緒に このミチを 生きたいの!!



 掴んだ光を胸元に引き寄せた灰姫レラは、スッと息を吸い込む。
 それから元気いっぱい、お腹からサビを轟かせる。



 ただっ! ただっ! ただっ! live must go on! (ゴーオン!)

 わたしを見てて(しっかり!) もっともっと(草!) 頑張るから(エライッ!)



 観客のコールも完璧だ。
 ナイトテールが配信で何度もコール練習をしてくれたから、
 そして、沢山の人がそれを見て覚えてくれたからだ。
 喜びがつま先から毛先まで全身を駆け巡っていき、感じたことのない力が溢れてくる。



 いまっ! いまっ! いまっ! life must go on! (ゴーオン!)

 成長してるの(胸も?!) まだまだ(草!) 未熟だけど(エライッ!)



 3000人の観客の前で、たった1人なんじゃない。
 3001人のステージなんだ。
 ステージは『みんな』で作るものなんだと頭では理解していた。それが今まさに実感の大波となって灰姫レラに打ち寄せていた。



 わたしの上位互換なんて

 星の数ほどいるけど

 あなたと繋がっている時だけは

 唯一無二なんだ!



 一番が終わり、間奏へ。
 ハイテンポな曲に観客が息継ぎしようとするが、ステージはそれを許さない。
 灰姫レラの想いが溢れるように胸から溢れた虹色の光が、ドレスを包み込む。

「なんだ?!」

 新曲ということ以外は何も告知されていなかった観客たちから、驚きの声が上がる。
 虹色の光と共に、灰姫のドレスが形を変えていく。
 ふわっとボリューム感のあったドレスが、素材感から現代的でスタイリッシュな衣装になっていた。身体のしなやかさを強調するデザインが胸の大きさを強調し、ワンピースドレスから上着とスカートに分かれたことで小さなオヘソが覗いている。女性の色気には遠いけれど、一歩大人に近づいた健康的なセクシーさだ。
 脚もタイツからニーハイソックスになり、太ももの肌色がはっきりと見えている。靴はガラスのイメージを残しつつも、地面を軽快に走れるスポーティな形になっていた。

「おおおおおおおおお!」
「新衣装?!」

 変わったのは衣装だけではない。
 腰下まであった長い髪が、セミロングへと綺麗に散髪されていた。頭上に戴いていた冠も髪型に合わせて、ヘアピンへと姿を変えている。

「かっこいい!」
「ゲーミング灰姫レラだ!」

 ファンタジーな世界観から一転、サイバー世界のアイドルへ。
 魔法使いに見つけてもらうのを待っている、ただのお姫様じゃない。
 先頭(センター)に立って自らの存在を示しに行く、アイドルだ――と、紅葉(メインデザイナー)が語っていた。
 そして、今日のライブでの新曲発表のために河本くんが夜なべしてこの衣装を作ってくれた。

 さあ、後半戦の始まりだと灰姫レラは手を回す。
 変身に合わせるかのように、Aメロも別のアレンジになっている。



 もっと楽しんで欲しい

 なのにやる気ばっかり空回り

 いっぱい笑って欲しい

 だけど心配ばっかりさせちゃう



 次が練習で何度も失敗した箇所だ。

(ここが正念場!)

 気合も、応援も十分以上、絶対に出来る。
 スタートピストルが鳴ったみたいに、曲のテンポが一気に上がる。


 寝不足だったり鼻がむずむず あくびもくしゃみも助からない!
 緊張しちゃって声がぶるぶる 約束(コラボ)も自分から誘えない!


 体感2倍速。息つく暇はない。


 テンパりすぎて思考がぐるぐる 頭の回線おそすぎ読み込めない!
 深読みお気持ち表明いろいろ わたしのこと勘違いしないでーーーー!


 最後の最後で息が足りずに掠れてしまったけれど、そこまでは練習より2倍ぐらい上手く歌えた気がする。
(次のBメロ、落ち着かせて!)
 ジェットコースターの緩急のように、曲は続いてく。



 ヒトと比べて凹んじゃうし

 出来ない自分がくやしくて泣いちゃうこともある

 それでも 推してくれたハートの数だけ

 あなたと一緒に このヒビを 套(かさ)ねたいの!



 作曲したスミスさんの意地悪みたいに、続くサビはメランコリックな調子だ。練習の時に、カワイイ乙女なイメージで歌えと言われたけれど、スミスさんに散々「カワイイ乙女じゃなくて、喧しい雄鶏だ!」と散々怒鳴られた。
 でも、今だけならカワイイ乙女になれる気がした。



 ただっ ただっ ただっ live must go on

 声を聞いて もっともっと 話すから

 どきっ どきっ どきっ love must go on

 伝えられない まだまだ 臆病だから



 カワイイ乙女モードは約20秒で限界を迎える。
 顔の火照りはきっとステージの熱のせいだと気にしないことにする。
 それより、クライマックスに向けて元気いっぱいの盛り上がりだ!



 ただっ! ただっ! ただっ! live must go on!(ゴーオン!)

 わたしといて(しっかり!) よわよわ(草!) ヘタレだけど(エライッ!)

 いまっ! いまっ! いまっ! life must go on!(ゴーオン!)

 目指してるの(星を!) つよつよ(草!) きっとなるから(エライッ!)



 コールのたびに会場が揺れていると錯覚するほどの勢いが、ステージの灰姫レラまで伝わってくる。一度目には参加できなかった人たちも、二度目のここで全員が声を上げてくれているのだ。
 終わらせたくない。
 もっとステージに立っていたい。
 だけど、終わりはやってきてしまう。



 わたしに特別な力なんて

 ミジンコほどもないけど

 あなたと一緒にいる時だけは

 5000兆倍なんだ!



 曲はアウトロに入ってしまう。
 一秒、一拍も惜しいと灰姫レラは観客に向かって、震える手を精一杯振る。
 滲んだペンライトの光が丸みを帯びて、蝋燭みたいですごく綺麗だ。
 あと数秒でこの時間が終わってしまう。
 沢山のありがとうを込めて、灰姫レラはお辞儀をする。もう身体を起こせないんじゃないかというぐらい、膝がガクガクと震えてしまう。
 ギュッと瞑った目の奥で、みんなの拍手がずっと鳴り響いていた。

 初めてのリアルステージは最高で、
 倒れてしまいそうなほど気持ち良かった。

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 第二部エピローグへ続きます。

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