5-4. それを捨てるなんてとんでもない

文字数 7,263文字

「……なっ……! 何を言い出すんだ、リズ」
「忠告だってば。ボクは真面目な話をしているの。あのフランだって――」
 リズが言葉を区切って、目を伏せた。長めの睫毛が雫に濡れている。
「――フランだって、いなくなってしまった。状況が状況だ、生き残れる望みはない。殺しても死なないようなフランが、だよ? ボクらはそういう世界に生きてるんだ」

 豪雨(スコール)を隠れ蓑にして命からがら包囲を突破したメリメント号は、踟躊(ヒーヴ・ツー)して小休止を取っていた。太陽はとっくに水平線の彼方へ隠れ、薄暗い船内には負傷者たちの呻きが陰鬱に響いている。

「……だからさ、ル=ウ。ちゃんとやっておいた方が良い」

 リズがいつになく真剣な眼差しでル=ウに迫る。

「処女は今のうちに捨てるべきだ。イオリノスケくんを――抱くんだ」


     * * *


「……〝天の神、主、おのれを愛し、その戒めを守る者には契約を守り、いつくしみを施される大いなる恐るべき神よ〟」

 〝解呪師(カニングフォーク)〟は、そもそも魔女ではない(・・・・・・)。本来、〝呪いを解く者(カニングフォーク)〟は、魔女を打ち倒す側の存在であった。
 それ故に、〝解呪師〟フランセット・ド・ラ・ヴァレットの力もまた、魔を討ち滅ぼすことに相応しく形成されている。人間離れした身体能力も、何代にも渡る呪術的儀式と薬品による人体改造の賜物である。

「ぎッ……!! ……、〝どうぞ耳を傾け、目を開いて〟――」

 巨人の拳を、十字架で受け止める。全身の骨が過負荷に軋み、臓腑は衝撃に張り裂けそうになるが、しかしその身体は砕けない。額から流れる血で顔面は真っ赤に染まりながらも、その眼光は未だ鋭く敵を睨み、震える両脚はいまだ彼女の身体を力強く支えている。
 過度なまでに頑健(タフネス)を追求して造られた彼女の身体は、単騎で魔に立ち向かうには、成る程確かに相応しい。

「――〝しもべの祈を聞いてください〟ッ!!」

 叫び、真正面から十字架を巨人の顔面に叩き込む。
 彼女の怪力も然ることながら、自慢の〝シェオルの十字〟の強固さもまた並ではない。頑丈で知られる黒壇(エボニー)造りとはいえ、巨人の皮膚を突き破り肉を引き裂き頭蓋を叩き割って尚、歪み一つ生じてはいなかった。

「はーっ、はーっ……まったく、満員御礼って感じですわね」

 降り頻る豪雨の下、幾体もの巨人の身体が海に浮かび、また沈んでいく。とうにメリメント号は雨の帳の向こう側だ。付近の巨人どもは、今やフランただ一人しか知覚していない。

 驚異的な身体能力と、託宣(オラクル)による先読み――確かに、彼女ほど囮として相応しい人材はいないだろう。
 だが、解呪師として強化された体力も無尽蔵ではなかった。
「皆様は無事、でしょうね……きっと」
 呟いて、小船の上に膝を突く。倒れ込まないのは、意地か気力か。どの道、再び立ち上がれる気はしない。
 そして脚を止めたが最後、どうなるかも彼女は理解していた。
「ああ……胸クソ悪い天気ですわ、まったく」
 天を仰ぐ。未だ豪雨は止む気配がなく、波は荒れ狂っている。フランが一時の足場とした小船さえ、転覆しないのが不思議なほどの波模様だ。

 そんな荒れ狂う波間を突き破り、巨大な拳が海中から飛び出してくる。
 拳は小船を砕きながら、頼りなく佇むフランの身体を握りしめた――もはや、彼女には抵抗する体力は残されてはいない。

 腕に続いて、その全身が海面に姿を現す。フランを片手に捉えたのは、二つの頭を持つ巨人。他の巨人とは一線を画す、異形の中の異形だ。
 二つ頭の巨人は、まるでここまで邪魔された鬱憤を晴らすかのように、フランを握った掌を幾度も海面に叩きつけた。海面に漂う小船が砕け、死骸が飛び散り、波濤に血飛沫が舞う。

「ぐ、げほ……あ、ああ……死にたくは、無か――」
 海面から持ち上げられた彼女は、荒い呼吸で灰色の空を見上げた。メリメント号は、うまく逃げ延びた筈――体力の限界を迎え、緊張の糸が切れる。自然と、誰にも明かせなかった本音が、今際の際に溢れ落ちてくる。

「嫌です……嫌ですわ……こんな、こんなところで……(わたくし)は、(わたくし)はまだ――恋すら知らない、ままなのに」

 玩具のように弄ばれながら、自然と彼女の頬を涙が伝っていた。
 理性では納得している。こうするのが最も合理的であると、こうするのが最善の手であると、解呪師としての彼女は笑うだろう。とはいえ、理性だけで生きていけるほど、彼女は老成していなかった。どれほど理屈に納得しようと、苦痛と恐怖に涙を抑えることができない。

 だが無情にも、すすり泣きの声を煩く思ったのか、巨人は再び彼女を海面に叩き込んだ。胴をへし折るような握力に加えて、叩きつけられる海面は鉄のように固く冷たい。塩水に濡れた金髪が、太く汚らしい巨人の指間に痛々しくしなだれていた。

「あ……あ、ぎ、うう……」

 意識が朦朧として、もはや言葉すら出てこない。呻くばかりの彼女を見つめ、巨人は満足気に――小柄な身体を掴んだ拳を、握り締める。

「ぎぃぃぃぃ……ッ!! あ、ああああああああああッ……!」

 口からは血の混じった涎を垂らし、太腿をだらしなく尿で濡らして――弱々しい悲鳴は、しかし誰に届くこともない。

 いつの間にか雨風は弱まり、波は落ち着き始めていた。灰色のカーテンが明けた後、巨人にとっての獲物は、残喘の解呪師が一人、残されただけだった。

 ――彼女は、メリメント号と仲間たちを、立派に守りきったのだ。


     * * *


「う……うぐ……うっ……」

 薄暗い小部屋に、啜り泣きの声が響いている。

「わたしの……わたしのせいで……」

 ゆっくりと周期的に傾ぐ床に、散らばった薬瓶類が転がっていた。多くの薬瓶を空にしながら、ル=ウはベッドに寝かせた伊織介の身体を擦っている。
「フランが、フランが居なくなってしまった。イオリもこんなに、こんなになって。わたしは……わたしなんか……」
 惨憺たる有様だった。右腕は失われている。顔は半分が抉れている。漏れ出した赤黒い腐液と薬液が混ざって、シーツは名状しがたい泥色に染まっていた。もはや骸としか言いようのない伊織介の身体に、しかしル=ウは縋り付いて離れない。

「わたしは……わたしはっ……。 でも、どうすれば良かったんだ、わたしは……うぐ、げほっ……」

 涙声でひとりごちながら、しかし魔女はただ泣き縋っているだけではない。
 嗚咽に混じる嘔吐は涙に由来するものでなく、実際に肉塊を吐き出している(・・・・・・・・・・・・・)。ル=ウが口から吐き出した胃液混じりの肉塊は、芋虫のように弱々しく痙攣する、生きた肉(・・・・)だ。形も大きさもばらばらな肉塊を吐き出しては、彼女はくねる肉塊を伊織介の傷口に押し込んでいく。

 ――死霊術師(ネクロマンサー)と見紛うような治療風景。あるいは、単に死体を操るだけならば死霊術の方が上等かもしれない。
 殖肉の魔術師たるル=ウにとっては、自身の生み出す肉こそが、唯一にして最大のいさおし(・・・・)である。なればこそ、伊織介の身体もその例には漏れない。ル=ウの肉を捏ねて人型に仕立て上げたものが伊織介ならば、その修復も同様だった。

「イオリには、見られなくて、良かった……かな」

 言いながら、ル=ウは己の手で、自身の右眼を抉り出す。ぷちぷちと神経の千切れる微かな音を立てて、青色の瞳が掌に収まる。

「こんな、わたしの眼で――わたしの身体なんかで。汚くって、ごめんね、イオリ」

 輪郭だけはどうにか取り戻した伊織介の右の眼窩は、ぽっかりと落ち窪んでいる。ル=ウはその空白に、眼球を優しく宛てがった。


     * * *
 

「――少し前のル=ウなら、皆の見てる前で泣いてただろうね。仮にも魔女団(カヴン)の長としては、自室で済ますようになったのは成長かな」

 一通り、伊織介の修復作業(・・・・)に区切りをつけたル=ウの背中に声がかかる。
「……ノックくらい」
「したさ」
 ベッド脇にしゃがみ込んだル=ウが見上げると、そこに立っていたのは衣装を血に染めたリズだった。
「報告ね。死者・行方不明者19名。怪我人はその倍。だいぶやられたね」
 リズの両手が赤く染まっている。専門の医者には及ばないが、リズには医術の心得がある。こんな船に同乗する奇特な医者など滅多に居ない。メリメント号にとって、彼女は貴重な治療者でもあった。
「目が真っ赤だよ」
「……ふん」
 ばつが悪そうにル=ウは膝を抱える。その様は、歳相応の少女と変わらない。
 ル=ウの右眼には眼帯代わりの包帯が巻かれていたが、そのことについてリズはことさら言及することはなかった。
「涙は大事さ。ボクらが人間であることを思い出せる――たとえなれの果てだとしてもね。哀しみすら忘れてしまった魔女は、ただの化物と変わらないよ」
 目線を落とすル=ウの傍に、リズが並ぶように腰を下ろした。
「気に病むな、とは言わない。フランは魔女団(ボクら)の中でも古株だった」

 ル=ウ自身、フランのために涙を流す矛盾は理解しているつもりだった。リズの報告通り、メリメント号の船員には多大な犠牲が出ている。彼らのために涙を流さないのは、それが情だとしても、人の上に立つ者としては落第点だ。
 それでも――フランの存在は、いつの間にか大きくなっていた。ル=ウが東に落ち延びて、最初に拾ったのが彼女だったのだ。魔女団(カヴン)という事業(・・)で生きていこうとするきっかけともなったのが、フランとの出会いだった。
 どんな苦境にあっても明るく、底抜けに阿呆で。意地汚く、好き者で。それでいて魔女には似つかわしくない、屈託のない(ひと)だった。莫迦みたいな高笑いに、ル=ウも何度救われたことだろう。

「切った張ったで売り買いする稼業さ。こうなることだって覚悟してなかったル=ウじゃないでしょ」
「……そう、だ。覚悟はしていた」
 身を抱く手に力を込める。覚悟はあっても、哀しみと向き合う準備は、今はできてはいなかった。旅路の途上であれば尚更だ。

「とはいえ――明日をも知れぬ、という意味ではボクも変わらない。もちろん、ル=ウ、キミもね。だからさ……」
 リズが、ル=ウの耳にかかる髪を掻き上げる。その手つきは穏やかで、ル=ウよりずっと小柄であるにも関わらず、まるで歳の近い姉のようでもあった。ル=ウも触れられることを嫌がる素振りも見せない。

「ル=ウ。やっときなよ。ちゃんと。イオリノスケくんと」

 だが、耳元で囁かれるリズの言葉に、ぴくりとル=ウは身を震わせた。
「な――何を」
 驚いた表情で、ル=ウが傍らのリズに向き直る。
「分かってる癖に」
 口調こそ悪戯っぽいが、しかしリズの視線は真剣だった。困ったような笑顔で、リズの右手がル=ウの頬を撫でる。

「抱け、って言ってるのさ――性交(セックス)、だよ」


     * * *


「……なっ……! 何を言い出すんだ、リズ」

 ル=ウが眼を白黒させる。次いで、耳が赤く染まっていく。

「忠告だってば。ボクは真面目な話をしているの。あのフランだって――」

 しかし、今度のリズの言葉はいつもとは違っていた。ル=ウの白い肌が朱に染まるのを面白がるでもなく、目を伏せて淡々と言葉を紡ぐ。

「――フランだって、いなくなってしまった。状況が状況だ、生き残れる望みはない。殺しても死なないようなフランが、だよ? ボクらはそういう世界に生きてるんだ」

 いつ死ぬか分からない。だから、やれる時にやっておけ――リズの言葉を、ル=ウはそう理解する。しかし当の伊織介が、意識もないとはいえ傍らに横たわっている状況では、冷静にその言葉を聞くことなどできようもない。
「……フランが、死んだとは、限らない。生きてる可能性だって……」
 口をついて出た言葉は、浅薄な反論だった。
「生きてる、だって? なんでそんな残酷なことが言えるのさ」

 だが、リズの忠告はどこまでも真剣だ。

「望んでなくとも、ボクらは魔女だ。女として生を受けた。女が生きて敗ければどうなるか、ル=ウだって分からない訳じゃないだろう? ボクが牢獄で、どんな仕打ちを受けていたか、キミは知っている筈だ」
「それは……」
「犯される。生きている限り犯される。死んでも犯される。犯して犯して犯し尽くして、丁寧に念入りに徹底的に辱められる。それが魔女の末路だ。そうだろう!?」

 リズは、傭兵だった。東洋まで落ち延びて、傭兵に身をやつした魔女だった。ル=ウがリズと出会ったのは、魔女団(カヴン)設立直後のことだ。看守のみならず、囚人どもにすら玩具にされていたリズを、ル=ウは金で買い取った。

「……ボク自身、戦場で敗ける度に犯された。ボクの身体は死に難いからね。敵兵の格好の玩具さ。犯されて、犯されて、それでも生き延びた。……だからボクの身体は、もう子を孕めない。何十代も続いたマルクアルトの血は、ボクが最後だ」

 ル=ウは、出会ったばかりの頃のリズを思い出す。惨たらしい陵辱を受けていたとは思えない、飄々とした女だった。現在よりもずっと軽薄で、過度に享楽的で、異様に刹那的で――きっとそれは〝明日死ぬかもしれない〟という、生に対する彼女なりの向き合い方だったのだろう。

「だからさ、ル=ウ。ちゃんとやっておいた方が良い」
 敗けて敗けて敗け続けて、それでも女として(・・・・)生き繋いだ彼女の言葉は、どこまでも優しい。
「処女は今のうちに捨てるべきだ。イオリノスケくんを――抱くんだ」
 有無を言わせぬ迫力で、リズが迫る。
「……わたしは別に、イオリのことなんて」
「好きじゃなくても良い。初めてはマシな相手で済ませておくべき、ってだけさ。名前も知らない敵兵や、醜悪な化物なんかよりはずっと良いよ」
「……」
 答えられなかった。反論する術がない。

 なぜ、東洋まで落ち延びた魔女たちが、今更群れるのか。なぜ、本来は孤独な筈の魔女が、魔女団(カヴン)なんてものを作るのか。
 それこそ、リズが受けたような仕打ちを避けるために他ならない。故郷(ヨーロッパ)で幾度となく繰り返されたように、魔女の死に様はいつだって凄惨だ。群れて怯える、哀れな子羊――それは、世に怖れられる魔女団(カヴン)が秘める性質の一端だった。
 だから、魔女にとっては刹那の愛情も、浅薄な快楽すら救済だ。たとえ神様がそれを否定するとしても。明日をも知れぬ身なれば――。


「……とはいえ、こんな状態のイオリノスケくんじゃあできないよね」
 リズがぱん、と手を叩いた。
「忠告は終わり。まずは、元気になって貰わないとね。……治るんだろ?」
 口調がどこか和らいだ気がする。リズの表情も、普段通りのへらへらとした薄ら笑いに戻っていた。
「治る。治すよ」
 ル=ウは視線をベッドに泳がせた。赤色と泥色に染まったシーツには、伊織介の身体が寝かされている。
「……もげた(・・・)のが腕なのは不幸中の幸いだ。わたしの魔術はこれ(・・)だから、すぐに移せる。もしも脚であれば、こうはいかなかった」
 言いながら、ル=ウは軽く右手を掲げて見せる。手首のあたりから、もう一つの掌が生えていた。

 ――殖肉の術式、〝聖女の触腕(キルデア・キラル)〟。その名の通り、意味論的な起源において「腕を生やす」伝承の聖女に基づく魔術。であればこそ、〝腕〟に類する部位に限れば、その製造速度は他の臓器と比して群を抜く。

「……数日もあれば、眼を覚ますさ」
「それは良かった。ボクも頑張った甲斐があるよ」
 リズがへらへらと笑っている。
 その笑顔を見て、ル=ウは逆に表情を曇らせた。

「……リズ。なぜ尋かないんだ――イオリの、秘密を」

 それは、ル=ウにとってもう一つの呵責だった。
 ――以前、リズに伊織介の〝正体〟について尋ねられたとき。
 〝何を織介に混ぜたのか〟問われたとき、秘せずにいれば。リズに告白していれば、何か状況が変わったのではないか。そう思わずにはいられない。

 伊織介を喰らった巨人は、伊織介を咀嚼した瞬間に腐敗(・・)し、溶け崩れた(・・・・・)。その後、巨人どもは伊織介の身体と、溶けた腐肉に群がっていた。その異様な光景を、リズも見ていた筈だ。

 だが、リズの返答は朗らかで、同時に残酷だった。

「何さ、ル=ウってば、ボクのことそんなに無粋な(キャラ)だと思ってるの? 心外だなぁ」
 大袈裟におどけて、リズは両腕を頭の後ろに回してみせる。
「そんなの、知ってどうにかなることだとも思えない。ル=ウが黙ってる、ってことは、何か理由があるんだろう? ボクは魔女団頭(ミストレス)の判断を信じているからね。それに」
 寧ろ責められることを期待していたル=ウは、予想外の言葉に再び目を見開いている。
「秘密の一つや二つ――魔女にはあった方が、魅力的だからね」

 わざとらしく、リズはウインクしてみせた。小器用な筈のリズだが、片目がつられて半目になっていて、お世辞にも上手いウインクではなかった。

「はは――」
 乾いた笑いが漏れる。
「リズは、厳しいな……」

 僅かに目尻に涙を溜めて、ル=ウは顔をくしゃくしゃにして笑った。


     * * *


 メリメント号は、傷ついた船体を労りながら、それでも東へと進んでいく。
 船のどこかに巣食った虫が、りりり、と夜ごとに鳴いていた。
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登場人物紹介

伊織介

日本人奴隷。武家の出。宣教師に騙されて、奴隷としてオランダに売却されるが、初陣で死亡。次に目覚めた時は、魔女の奴隷となっていた。


穏やかそうに見えて、少々こじらせており危なっかしい性格。その正体は、魔女ル=ウの自律型魔術兵装。

ル=ウ

本名:ラサリナ=ユーフロシン・フィッツジェラルド。英国出身。強欲にして傲慢、悪辣かつ傍若無人な魔女。殖肉魔法の使い手。性格が悪いので友達が居らず、実は極度の寂しがり屋。ドヤ顔裸マントだが魔女団の中では相対的にまともなのでトップの座に収まっている。

フラン

本名:フランセット・ド・ラ・ヴァレット。フランス出身。予言と占いを生業とする解呪師《カニングフォーク》。金にがめつい生臭シスターで、相棒はキモい眼球付きの十字架。趣味はアナル開発。

リズ

本名:リーゼル・マルクアルト。ドイツ出身。妖精の血を引く白魔女《ヴァイスヘクセ》。剣術や銃の扱いから医療の心得まである器用な傭兵。仕事は真面目に取り組むが、私生活では酒とアヘンと愛する放蕩者。放尿しながらストリーキングする癖がある。

リチャードソン

本名:リチャード・A・リチャードソン。ビール腹、髭面の四十代。東インド会社所属の商人であり、同時に帆船メリメント号の艦長。魔女団の後盾兼共犯者として、莫大な利益を上げている。一見気さくな趣味人だが、密貿易と賄賂で現在の地位に成り上がった、油断のならない大男。

フザ

本名:志佐付左衛門=アルフォンソ。傭兵。隻眼、身長2メートル弱の偉丈夫。スペイン人とのハーフ。死生観の崩壊したヤバい人。

メリメント号

魔女団の艦。350トン、砲数14門の軽ガレオン。東インド会社の船でありながら、リチャードソンが横領して魔女団の活動に役立てている。艦齢は20年を数える老婦人だが、小回りに優れる歴戦の勇士。

グリフィズ卿

本名:ルウェリン・アプ・グリフィズ。英国生まれの猫水夫。魔女の使い魔とかでもなんでもない、ただの猫。鼠狩りを職務とし、船の食料を守る。艦長に継ぐ役職(主席士官)の席を与えられており、船員たちの尊敬を集めている。

神父

アイルランド人。英国東インド会社を騙し、大金を奪ってオランダ側に付く。その首には莫大な懸賞金がかけられている。英国ぜったい滅ぼすマン。

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