第28話  フランスからの招待状:2023年2月

文字数 828文字

(南山洋子に晩餐会の招待状が届く)



2023年2月。東京。G社オフィス。

洋子は、Eメールの整理をしていた。昨日きたメールに「招待状」と書かれたものがある。「招待状」というタイトルには、迷惑メールが多い。しかも、英文のメールである。海外からきたようだ。メールソフトも、グレーマークを付けていた。差出人は、「ジャクリーヌ・ルパン」となっていた。

「はて。どこかで、聞いた名前だ。そうだ。フランスの大統領の名前と同じだわ」

メールを開くと、それは、フランスの大統領その人からのメールだった。



内容は、洋子の推薦してくれたG社の言語要約システムが、大統領選挙では、非常に大きな効果があったこと、洋子に一度、お礼をしたいと思っていたが、今まで、機会をつくれなかったことを詫びていた。

そして、2023年3月6日(月)、エリゼ宮殿で、晩餐会をするので、是非参加して欲しいという招待状であった。もちろん、晩餐会は、洋子のために、開かれる訳ではない。これは、「ファッション・ウィークに際して、クリエーションを称える」ディナーである。ファッション・ウィークとは、パリコレともいわれるファッションのお祭りである。ファッション・ウィークは、ニューヨークから始まり、世界中を巡回して、パリで終わる。フランスでは、ファッションは国家的な事業と考えられているので、大統領も後押しをしており、晩餐会は、その一部なのである。

招待状は、晩餐会、パリコレの参加、航空券、ホテルがセットの豪華なものだった。



洋子は、マダム・ルパンがフランス独立党の党首をしていたとき、マダム・ルパンに、会ったことがある。G社の言語要約システムの説明にをしたのである。その後、洋子は、言語要約システムからは、離れてしまったので、言語要約システムが、マダム・ルパンの選挙にそんなに貢献したとは知らなかった。

大統領から、招待が来たと言えば、上司に相談しても、断わられることはないだろう。

「よし、フランスに行こう」洋子は決心した。
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