2020年5月17日

文字数 2,956文字

2020年5月17日
 今回、ビッグデータ時代初のパンデミックである。感染拡大抑制のため、その利活用が模索されている。しかし、ビッグデータは収拾にはユーザーが自覚・無自覚を問わず協力している。ユーザーがオンライン・サービスを利用すると、個人情報が提供者に渡される。利用者の信頼・同意がなければ、それを感染拡大予防にも使えない。

 NHKは、2020年5月17日 18時08分更新「スマホの位置情報『危機回避なら問題ない』が半数 コロナ調査」において、そうしたデータ利用に関する世論御意識について次のように伝えている。

新型コロナウイルス対策では、スマートフォンの位置情報など、ビッグデータの活用が国内でも進められています。NHKがLINEと共同でビッグデータの活用についてアンケートしたところ「危機を逃れる目的であれば問題はない」という答えがほぼ半数になりました。
NHKは今月上旬、LINEと共同でアプリ上でアンケートを行い、2000人から回答を得ました。
この中で、新型コロナウイルスに関する情報について感じていることを複数回答で尋ねたところ、
▽「信頼できる情報を見分けるのが難しい」という答えが最も多く、59%でした。
そして、
▽「楽観的な情報は感染拡大につながりかねず危険だ」が39.1%、
▽「誤った情報やデマが広がっている」が38.8%でした。
新型コロナウイルスへの対策では、国内でも政府や自治体がスマートフォンの位置情報や検索履歴などビッグデータを活用しています。
こうしたデータの活用をどう思うか尋ねたところ、
▽「感染拡大防止など、危機を逃れる目的なら問題ない」との答えが50.8%とほぼ半数になりました。
一方、
▽「目的にかかわらず問題がある」も25.5%ありました。
「問題ない」と答えた人の割合を年代別に見ると、
▽男性は10代が38.4%で最も低く、20代は47.3%、30代は45.7%、40代は61.3%、50代は58.7%、
▽女性も10代が43.8%で最も低く、20代は44.6%、30代は48.8%、40代は50.3%、50代は52.5%と、男女とも年齢が上がるほど「問題ない」と答える人が増える傾向になりました。
韓国などでは、個人データを使って感染者の行動を制限するといった取り組みがありますが、個人データを使った行動の管理や制約に協力できるか尋ねたところ、
▽「とてもそう思う」、「そう思う」と答えた人は合わせて61.3%だった一方、
▽「そう思わない」、「まったくそう思わない」と答えた人は合わせて23.7%でした。

専門家「目的限定でデータの活用許容か」
今回のアンケート結果について、社会心理学が専門の東京大学の関谷直也准教授は「一般的に個人情報の活用についてアンケートを行うと、不安を感じるという答えが高く出るが、『感染拡大を防ぐため』といったように目的を限定すれば、多くの人が活用を許容していることが分かる」と話しています。
そのうえで、「日本の場合、感染に関する情報が十分提供されていないことへの不安感が非常に強く、感染者に関する流言やひぼう中傷が広がる原因にもなっている。そうしたこともあって、プライバシーを守ったうえで、きちんと情報が提供されるべきだと考えている人が多いのではないか」と指摘しています。

プライバシーを保護した形で日々データ提供
国内では、携帯電話会社やIT企業がスマートフォンの位置情報などを政府や自治体に提供し、感染拡大を防ぐ対策作りに活用されています。
NTTドコモや、auのKDDIなどは、携帯電話の位置情報を基に、都市部や観光地などのエリアにどの程度の人がいるのか分析したデータを、プライバシーを保護した形で日々、提供しています。
感染拡大前のデータなどと比較することで、外出の自粛がどこまで進んでいるかの目安となっています。
また、ヤフーも、個人が特定されない形で、利用者がインターネットで検索したことばや、位置情報のデータを提供しています。
データの提供にあたっては国との間で協定を結んでいて、データの利用目的を明確に限ることや、ヤフー側の判断で提供を中止できることなどを盛り込んでいます。

濃厚接触者把握アプリ 日本政府も実用化急ぐ
スマートフォンなどのデータを新型コロナウイルス対策に活用する取り組みで、世界的に注目を集めているのが、濃厚接触した可能性がある人を把握するためのアプリです。
海外では、シンガポールやオーストラリアなどですでに導入されているほか、イギリスやドイツなどでも開発が進められています。
日本ではシンガポールのアプリを参考に民間のIT技術者などが開発を進めていて、政府は、これをもとに早期に実用化したいとしています。
アプリは、スマホに内蔵された「ブルートゥース」と呼ばれる通信技術を使って、アプリをダウンロードした利用者どうしが一定の距離に近づいた場合などに、そのデータを端末に記録します。
そして、仮に利用者が感染した場合、アプリにそのことを登録すると、濃厚接触をした可能性がある人に通知が自動的に届く仕組みです。
感染者が自分の行動を思い出せない場合でも、濃厚接触した可能性のある人に速やかに情報を提供でき、感染拡大を防ぐのに役立つとしています。
一方、アプリをめぐっては、政府による個人情報の収集や監視につながるという懸念もあって、プライバシーの保護との両立をどう図るかが世界的に議論になっています。
このため日本のアプリでは、プライバシーの保護を重視して、電話番号や位置情報を使わずに誰と接触したかを匿名のデータとして記録する仕組みが導入される見込みです。
アプリは、より多くの人が使わなければ感染状況の正確な把握にはつながらないため、どのように理解を広めるかが問われることになりそうです。

 この世論調査結果は、記事内で言及されている感染追跡アプリの効果が期待できないことを示している。スマホの位置情報利用に関して「危機回避なら問題ない」が半数、すなわち2人に1人では使い物にならない。アプリが目的通りに機能するには、スマホユーザーの70%以上がインストールしていることが必要とされている。しかも、年齢が若くなるほど、問題があるとする回答の比率が高まっている。若年層の方が活動的だから、彼らが参加しなければ、このサービスはさらに機能が低下する。こうした事情のため、このアプリの効果が予想道理に行かないとわかれば、インストールする人はより減るだろう。世論調査結果をゲーム論的に考えるなら、追跡アプリは期待外れに終わるように思える。

 夕食には、グリーンカレー、野菜サラダ、モズクスープ、梅と海苔の冷奴、食後には玄米茶。屋内ウォーキングは10120歩。都内の新規陽性者数は5人。

参照文献
「スマホの位置情報「危機回避なら問題ない」が半数 コロナ調査」、『NHK』、2020年5月17日 18時08分更新
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200517/k10012433871000.html?fbclid=IwAR1HLdT669dSSdPnUgh9Jj1me3Sthac0kkdJllySCUi4smzyyRgngC6pfHg

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