反乱

文字数 842文字

 市民が王政廃止の革命を計画している中、突如として移民たちによる独立運動が起こった。国民達には寝耳に水だった。移民たちは郊外に移住し監視を逃れて密かに独立を計画していた。この独立運動は一部の王族と一部の市民によって組織的に計画されていた。
 第二王子は最初から各地に散らばっていた奴隷を移民とし1カ所に集め、自治区として分離しようと考えていたのだ。移民を排除できるという点で政府の思惑とも一致していた。

 政府としては、市民によるクーデターの後に、移民の隔離政策を行うつもりだった。王族は王政を残したまま移民を隔離することで、クーデターを阻止した。独立運動の標的は、いままで自分たちを奴隷として搾取してきた市民と政府に向かった。クーデターのために蓄えた装備は、対移民に使われた。

 新王は移民が優勢になったとみると、人道を理由に独立の支持を表明した。移民に参政権を与えることを拒む市民にとって、独立自治で分離する以外に残された道はなかった。

 シンを中心とした組織が、独立自治区の誕生に大きく貢献した。かれの組織には郊外のプランテーションの地主が多かった。かれらは不安定なプランテーションの運営を移民たちにまかせ、輸出の窓口としての商社の経営へと移行していたからだ。

「移民による自治は移民が行うべき。」
 シンは以来政治の表舞台にでることはなかった。それからの彼は、義母の残した私財のほとんどを投じて、自治区に学校を作り始めた。三年後、グレート・マザーズを開校した。その名前は、顔も覚えていない生んでくれた母と、育ててくれた義母への感謝だった。運営は戻ってきたショウゴに任せた。彼は、貧困から抜け出すためには知識が必要なことをよく理解していた。彼は見てきた世界の様子とともに、命の大切さを教えた。学校らしくなるには、それから10年さらにかかった。学部も時代のニーズに応じて変わっていった。
 シンがこの世を去ると、学校はグレート・マザーズ看護学校として自治区の所有となった。
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