46:魔王ちゃんと私
文字数 594文字
その後もパーティを楽しんだ。ふと周りを見ると、みんな、楽しそうにしている。
私のしたことで、みんなが笑顔になっているのだ。もちろん、私だけの頑張りではない。みんなで頑張って、その結果みんなが笑顔になって、その中に私もいる。
もしかしたら、これが働くということなのかもしれない。お金があれば、幸せになれるのだと思っていた。だから、私は自分のためだけに働いてきた。
だけど、本当の幸せとは――。
「宮子」
振り返ると、魔王ちゃんが立っていた。
「また、お前に助けられたな」
「魔王ちゃん。私、なにかした?」
とぼけてみる。
「ローパークイーンと、ローパーのことだ。感謝する」
「頑張ったのはローパーちゃんだよ」
「けど、導いたのはお前だ」
魔王ちゃんは頬をかいて、
「だから、まあ、なんだ? これからも頼むぞ」
照れくさそうに言った。
「私、魔王ちゃんと出会えてよかったと思ってるよ」
反射的に、私は口にしていた。
多分、これが私の気持ち。大切なことをたくさん気づかせてくれた、魔王ちゃんへの気持ち。
「はあ? なんだ急に。気持ち悪いやつだな」
魔王ちゃんはジト目になった。
「魔王ちゃん」
「なんだ?」
「こちらこそ、今後ともよろしくお願いします」
私が微笑むと、魔王ちゃんは少しだけ驚いたように私を見て、それから笑った。
「ああ。こちらこそ、よろしく頼む」