第11話 シャルルのお誘い

文字数 1,387文字

そうゆうことか、理由はさっきと同じく子供のような『はっ? まだ俺本気出してねーから!』理論だが、あのララと互角にやり合ったのなら説得力が跳ね上がる。

「じゃーここら辺で昔話は良いかしら。お姉さん、過去より今に恋するタイプだから♡」
身体中傷後だらけのお姉さんがその場を制する。
ま、俺がやったんだけど。てへっ。



「あの様子じゃ夜まで起きてこないと思うけど、坊やはララ様が起きられたら質問して来るといいわ。私達の想像だけじゃ理解出来ない次元にあなた達は居る。その状況を知るには本人に聞くのが最適だわ」

ララに出会えたことは良かったが、ララからは女神様に言われたお願いとやらをまだされて無い。
昨日は俺もヴァイスさんの件で急いでたし、ララも空腹で倒れて、シャルルさんの家に連れて行かれたから言うチャンスが無かったのか?



え、ちょい待ち。

寝てるララ? 

……どこで寝てる? 家だ。
……誰の家? シャルルさんの家だ。
……集合時間は?  夜だ。

ああ、異世界に転生してきて良かったかも。
そう思い、一度ルシアさんの家でシャワーを浴びてから訪ねる覚悟をして皆と解散した。



――誰も居ない家で寝転がった。
この世界に来て初めて一人の時間を取れた。
まだ転生して二日なのにこの疲れかと改めて異世界の厳しさを思い知らされる。

ここで今まで溜まっていた疲労からか、睡魔が猛スピードで俺に近づいてくる。
「お風呂入らないとーー」


「――起きて ルークス君起きて」
もうこのパターンで起こされるのも慣れてきたな。

「もうこんな格好で寝たら風邪ひくよー?」
どこぞのイケメン紳士かと思ったら我が家の主人のご帰還だった。
 やはり見れば見るほどに興味本位で彼、いや彼女に大金が稼げる別の商売をやってみないかとオススメしたくなる。

「あ、あとこれも洗濯しといたからここに置いておくね」
そう言って手渡されたのはクリアナ王国の軍服だった。
「なんか変わったデザインだけど、これどうしたの? 裁縫屋を営んでる僕としては非常に気になるところなんだよね」
どうしたの? その質問には同じ言葉で返したくなる。
どうしたの? どう間違ったら俺なんかが、クリアナの軍服なんて着る羽目になるの? 


「それとこの小さな鉄の塊も入ってたんだけど」
これは。
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なんでこんな物騒な物が健全青年だった俺の服(仮)に入っているんだろうか。

しかしもっと驚いたのは、ルシアさんが弾丸について怖がったり、怖気付く事なく好奇心に溢れた目でみている事だ。

「もしかして……これ見た事ないですか?」
八年前戦争していたような国に住んでいるんだ、銃の弾の一つや二つ見た事あるだろう。
しかしその澄み渡る琥珀色の二つの眼球は不思議そうにこちらを見たままだ。

「これは銃の弾丸です」
「……じゅう?」
あらら、これは一から教えるパターンか。

「えええーーと、まず火薬があってそれに火が付いたら鉄の球がものすごい速さで飛んでいくー、、みたいな?」
はいでた。説明下手のルークス・アルフレッド様。

「火薬って何?」
もはやここまで知らない人に説明できる人の方が少なくないか? と自分を慰めつつ説明を続けた。


数分後の二人の結論。
『火薬考えた人凄い』だった。


でもなぜ弾丸が入っていたんだ。


――数時間後
俺はルシアさんにバッチリ仕立ててもらった“愛の戦闘服“とでも呼ぶべき、オシャレな服を身につけ出陣した。
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