第1話

文字数 1,847文字

起)メロド学園に通う中学一年生、大和咲穂。彼女は将来アイドルになることを目指して、アイドルやモデル、女優の卵が集まる女子校メロド学園に入学した。咲穂はこれといったアイドルの経験はなく、ただ将来アイドルになって有名人にないたいという思いだけで入学したのだが、同じクラスにはすでにテレビに引っ張りだこのアイドル須藤咲や同学年にはCDが大ヒットしている山崎リリイなどといった超有名人がたくさん在籍しており、咲穂は戦戦恐恐としていた。こんなメロド学園には一つ大きなイベントがある。それは秋の学園祭で「MRD6」というメロド学園から選抜された6人のアイドルグループが結成され、楽曲を披露するのだ。このアイドルグループに選ばれれば、将来が確約されると言われており、学園全員が必死に6人の座を競い合う。メンバーの決め方はまず各クラスから5人ずつ選出し、その後、各学年で4人ずつ選ぶ、そして3学年合わせた12人の中から6人選ぶことになっている。咲穂は自分にもチャンスがあると信じ、MDR6に挑戦することを決意する。

承)しかしながら、春の学校生活をしているうちに周りのクラスメートとの差を感じてしまい、咲穂は自分は無名だしMDR6に選ばれるはずはないと思うようになってしまう。そんな中、廊下を歩いていると、「あなたを絶対にMDR6に入らせます。先着1名限定。すぐに理科室へ」と書かれたポスターを見かける。そんなことあるわけないと思いながらも、咲穂は少し気になり、理科室へ向かう。するとそこにはいたのはなんと学園のスーパースター、水本ローラだった。ローラは優しく咲穂を迎え入れてくれ、咲穂を立派なアイドルにプロデュースすると約束してくれた。その日から、ローラと咲穂の2人だけの秘密のレッスンが始まり、咲穂はアイドルとしての立ち振る舞いやSNSの使い方、メイク方法などをローラから詳しく教わった。特訓をするにつれ、咲穂は自分の変化に驚き、MDR6に入るのって夢じゃないと思うようになる。

転)そして、迎えた7月。ついにクラスから5人のメンバーを選出することになった。咲穂は新しくSNSを始めたことやメイクについての会話などで票を入れてくれそうなモデル、女優志望のクラスメートと仲良くなり、そのおかげが何とかクラスで4番目で選出された。その後、学年ごとに体育館に集まり、選抜された20人のメンバーが前でパフォーマンスを披露して、4人が選ばれることになるのだが、咲穂は秘密のレッスンのおかげでダンス、さらには歌唱力を磨き上げ、周りを圧巻させた。そして、咲穂は須藤咲、山崎リリイの次の3番目で選出され、最終選抜に進むことになる。

結)なんとか最終選抜に残った咲穂だが、最後の6人の決め方はくじ引きで6組のペアを作り、じゃんけんをして勝った方がMDR6に選ばれるというものだった。咲穂は意味が分からず、ローラにどういうことかを聞くと、芸能界で売れていくためには、実力だけではなく運も必要だからこそ、最後はじゃんけんで決められると教えられた。そこから、咲穂は8月にあるじゃんけんに向けて、毎日トイレ掃除を行ったり、神社に行って神様にお願いしたりと運気が高まりそうな行動をした。そして、じゃんけん前日、くじ引きで咲穂のじゃんけん相手が決まった。その相手はなんとレッスンをしてくれた水本ローラだった。咲穂は急いでローラのもとに駆け寄り、あなたに勝つにはどうすればいいかと尋ねた。すると、ローラは最後まであきらめなければ、私に勝てるというだけだった。じゃんけん当日、咲穂とローラは学園全員が見守る中でじゃんけんをする。その結果はなんとローラが勝ち、咲穂は負けてしまった。咲穂は、MDR6への道が絶たれ、悔しくて悔しくて涙が止まらなくなってしまった。咲穂は学校を休もうと思ったが最後まであきらめなければ勝てるという言葉を思い出し、なんとか暗い気持ちなまま、翌日学校に行くと、突然校長先生に校内放送で呼び出された。校長室に行くと、そこには校長先生だけでなく、あの水本ローラもいっしょにいた。校長先生の話を聞くと、水本ローラは9月から家庭の事情で遠くに転校しなければならないため、MDR6の活動に参加できず、ルールにより不戦勝のようなものとなり、じゃんけんで負けた咲穂にMDR6に入る権利があるということだった。咲穂は自分が夢にまで見たMDR6のメンバーになれるとともに、自分をこんなにも成長させてくれたローラとの別れを深く悲しむのであった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み