目覚まし時計の証明⑦

文字数 764文字

   ☆★☆★☆

「朝だね」
「朝ね」
「朝日だね」
「朝日ね」
「コーヒー、これで何杯目?」
「もう数えてないわ」
「なんか、とてつもなく無意味な時間を過ごした気、しない?」
「ちょっと」
「レポート」
「レポート」
「白いね」
「白いわね」
「まるで」
「生まれたての」
「赤ん坊の」
「ように」
「あははは」
「あははは」
「……」
「……」
「……」
「……錯乱してる場合じゃないわ」
「誰のせいでこうなったと思ってるんだよ。聞こえなきゃ存在しないとか忘れてたら存在しないとか生物が存在しなかった時の宇宙は存在しないとかそもそも現実は存在は存在の存在が存在するための存在とか」
「落ちついて」
「なんで目覚まし時計のために、ここまでやらなきゃいけないんだよ」
「まあ、とりあえずレポートのネタになりそうだからいいじゃない」
「ネタにねー」
「ネタねー」
「とりあえずさ、もう、レポート間に合わないよ」
「しょうがないわ。明日まで待ってもらうようにお願いしてみる」
「オレ疲れたよー」
「私も疲れたわ」
「はう……」
「眠い……」
「……」
「……」
「……ねー」
「……なーに?」
「君、存在してるー?」
「多分存在してると思うわー」
「……君が存在してること、確かめていいー?」
「そんな方法、あるのー?」
「あるさあ」
「どうやって」
「……」
「……」
「……こうやって」
「……オオカミ」






 ......以上より、目覚まし時計が鳴らなかったかどうかを確認するため、以下の事柄を調べることが必要である。

 一、アサリ貝は聴覚を有するか否か。
 二、筆者が見た夢に、音が知覚されていたか否か。(催眠術を用いることが考えられる)
 三、......

  ............哲学レポートより抜粋
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