窒素を買うのよ

文字数 790文字

卵細胞の保存に必要な液体窒素、減って来たら注文しなければなりません。
どんな物でも、必要な以上足りなくなったら手に入れないと怖い。
だが、買占めテメーは駄目だ。
液体窒素、専用の容器に入れられ目視では残量が分かりません。
なので、棒を底に付くまで差し込んで、冷えた頃合いで取り出し、外気に曝して霜が付いた長さで残量を調べます。
棒には「ここまで減ったら注文」の目安となる線が刻まれているので減っているのに気づいたら注文。
運悪く当番の時に注文しなければならないと面倒なので、皆で押し付け合いです。
押し付け合いって。
なんせ毎日量りますので、
 
 減り気味だけど明日の人が注文するからヨシ!
 
 残量やばいけど昨日も平気だし明日まかせでヨシ!
 
 何か分からんが自分は明日休みだから放置でヨシ!

 
そして、がっつり減ったタイミングで当番になる運の悪い人間が院生に怒られて損をする。
世の中、何でもかんでも不公平で不平等で理不尽に抗ってもより印象が悪くなるから酷いもんで。
何を見て
 
 ヨシ!

 
って言ったんだろうにゃ。
そして、注文。
これがね、通称「窒素おじさん」に電話して持ってきてもらうんだけど、研究室の電話からだと無視されるの。
歴代の先輩方がやらかしたせいだかで、番号見て無視される。
だから、自腹切って携帯からかけねばならなくてね。
そりゃ、皆嫌がりますって。
そうでなくとも、若者は電話を嫌がるって言うもんにゃ。
しかも、先輩の言うことには「窒素おじさんは不機嫌で態度悪い」だそうで。
だから身構えて電話したもんだけど、しっかり挨拶から始めれば別段不機嫌でもなんでもなかったのでかけた側にまず問題がある説
まあ、挨拶って大事だしにゃ。
そう、100日後に死のうがこんにちわに君
いつ死ぬか分からないこそ、徳は積んでおくものです。
徳のつみ方は、誕生日が今日(4月8日)で立川脇祭となるぽむぽむ地蔵を見習うと良いにゃ。
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登場人物紹介

作者代理

 
眼鏡でコミュ症な田舎育ち
毒親育ちが故に歪んでいる

イマジニャリーフレンド

 
モフやかなツッコミ役

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