第51話 ドラゴンスレイヤーズ出撃
文字数 2,054文字
貴史は自信なさげにリヒターに言う。
先だって捕獲したレッドドラゴンも小ぶりなものだったのでリヒターにとっては満足できる獲物ではなかった。
危険と隣り合わせの生活を好む彼らは平穏なギルガメッシュでの食客生活に倦んでいたようだ。
リヒターは胸を張った。
この自信はどこから来るのだろうと貴史は少々不安を覚えるが、この場面では背中を押してくれるものがいるのはありがたい。
リヒターは軽々と兵士を肩に担ぐと城の中に運び始めた。
城の広間で、貴史の話を聞いたクリストはため息をついた。
貴史は暗に自分とドラゴンハンターチームだけ行かせてほしいと頼むつもりだったが、クリストは想定外の反応を示した。
貴史は驚いて問い返す。
足もとからララアが問いかけた。彼女は発掘が始まってから少々退屈していたのだ。
貴史が告げるとララアは嬉しそうな表情を浮かべた。
翌日、貴史たちはキングパオームの城を後にした。
ヒマリア国には短い春が訪れ、森や草原には新緑が目立ち始めていた。
南へと続く草原を超え森に入った一行は昼近くまで進んでその日の宿営地を決めた。
そしてクリストやヤンが荷物を解いてキャンプの準備を始める。
貴史とリヒターそしてヤースミーンはドラゴンの姿を求めて、その痕跡を探し始めた。
その時、貴史の耳にかすかに鳥の鳴き声のような音が聞こえた。
貴史たちが音が聞こえた方向に足を速めて進むと、森の中に木立が途切れた空間が現れた。
貴史はすぐにその場所がドラゴンとレイナ姫のもとに集っていた兵士が戦った現場だと気が付いた。
その辺りで数本の大木が根元からなぎ倒され、周辺にはヒマリア軍兵士の装備品が散らばっていたからだ。
貴史は無残に引きちぎられて地面に散らばった兵士の服や防具を眺めた。その中には剣や
メイスなどの武器も混じっている。
貴史はドラゴンに食べられた犠牲者の骨がまとまって吐き出されている様子を思い浮かべて少し気分が悪くなった。
貴史は地上に残る遺留品に目をやった。