第70話 霊を呼ぶことば【閲覧注意】

文字数 741文字

 怖い話をひとつ、ってか。あんたも物好きだね……じゃあ、こういう話はどうだ。

 言霊って、たまにいうよな。

 いいことをいえば、いいことが起きる。悪いことをいえば、悪いことが起きる、ってな。

 でもさ、ふつうの人間が、ふつうにことばを発したって、そのままの結果が出るわけなかろう。そんな単純なもんじゃないんだが、一般にはそう信じられている。

 ときに、霊を呼ぶことばってのが、ある。

 そのことばを発するだけで、霊が周囲によってくるという。
 
 一時期、インターネットでズバリそのもののことばが出ていて、俺なんかびっくりしちまったんだが、まあ今は紹介したサイトはなくなってるし、それをコピーして転載したのが残ってるが、手打ちでコピーしたらしく、まちがっている。だから、ぜんぜん霊なんかは呼べない。

 言霊ってのは神霊の力を通じて、初めて発動するわけだが、その神霊に通じるためのことばの部分が、まちがっているんだ。だから問題ない。

 怖いものみたさってのは、どの人間にもあるから、霊を呼びだしたくなっちゃう人ってのも、けっこう、いるもんだね。霊は怖いものとは限らないんだがな。

 終わり。俺の話はこれでぜんぶだ。

 いや、いや。俺は怖い話をしたぞ。

 要するに霊がよってくれば、いいんじゃないのか?

 今の話の中にちゃんと、織り込んでおいたじゃないか。

 霊を呼ぶことばを。

 あんたは呪文みたいなもんを想像してたんだろうが、霊を呼ぶことばってのは、思想みたいなもんだから。一連のあることばでもって霊を呼ぶなんて、それこそ神霊の力を借りなきゃ無理な話だ……。

 おいでなすったようだな……あんた、顔色悪いが、だいじょうぶか?

 ああ、こいつはまた……。
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