NITRODAYレビュー

文字数 1,044文字

「今日から変わるぞ。」そう意気込み空を見上げスタートダッシュを切る春

「あー。プール飛び込みてー……」茹だる暑さとやるせなさと制服が張り付く夏

「まさに星のような存在だよなあ」白雪姫役の彼氏持ちのあの子にときめいた文化祭の秋

「あそこのでっかい道路、大声出しながらチャリで爆走したい。」模試の点数が伸びなくて、鼻と目頭が熱くなる冬

これを読んでくれている青春真っ只中の子、学生服を脱いだ大学生・社会人etc…
このような経験はないだろうか?
10代の少年の心はペットボトル入りの炭酸のようである。炭酸は思い切り上下に振れば、瑞々しく溢れ出してくるし、もう抜けてしまったかと蓋を開けてやるとプシュッと音をだすように、密かにエネルギーをひた隠して居る。それに先に挙げたような経験や思いのように様々な味がある。しかし、外側は脆い。良くも悪くも、やる気やプレッシャーという熱を与えれば簡単に変形する。ちょっと落とされたぐらいでは壊れたりはしないが、カッターを向けられれば簡単に傷つき、殴られれば割と簡単に凹み、ドクドクと中身が流れ出す。
NITRODAYは、そんな思春期という懐かしいソーダを「少年たちの予感」という新しい飲み口で私に思い出させてくれた。自身の冴えなさや情けなさ、また、ボーカルの「バンドの演奏にかき消されまい」という必死さから生み出された叫び声が、そのまま歌い方や歌詞に反映されており、手足の末端にまでじわじわと染み込んできた。それは今もなお、私の心を潤し続けている。
そんなNITRODAYには「ジェット」や「自転車」といったフレーズが良く似合う。彼らは、ピーターパンのような少年の素直さを抱きながら、空高く掲げた目標に向かって、ただただ上にもがき続けているからだ。単に感情を吐露しているのではない。音楽を通して己と向き合い、表現し、言葉を自身のものとしているからここまで馴染むのだと思う。曲を聴いた時、NITRODAYという炭酸が勢いよく噴射され、私も空を飛べるんじゃないかと思った。
曲を流せば、つけているヘッドセッドをぶち破ってくれそうなエネルギーを発する彼らも、少年から大人になる。アルバム「少年たちの予感」にはNITRODAYという少年達が成長するに当たって経験してきた、あるいは対峙するであろう想いが詰め込まれている。あなたのNITRODAYに対する興味がぬるくなった炭酸のように抜けきらないうちに、是非手に取ってみてほしい。
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