(四)
文字数 401文字
俺は彼女の言葉に衝撃を受けた。まさか、彼女に告白をしたときに回答を保留された理由というのが、それだったのか。
エミちゃんは再び走り出そうとした。
俺はまた、彼女の手を掴もうとしたが、この状況を受け入れるのに必死で一瞬、手を出すのが遅れた。俺の手は空中で空振りした。
しかし、彼女の動きは止まった。イチロウがとっさに彼女の腕を掴んでいた。
「ライタ。まさか、お前が一目惚れをした相手って……」
「そうだよ、その千倉さんだよ」
そう言うと、イチロウの手が外れたのか、エミちゃんは走って行ってしまった。
俺は後を追おうとした。しかし走り出した瞬間、腕を掴まれた。掴んだのはイチロウだった。
「おい、待てよライタ。まだ返事を聞いてないぞ」
こんな修羅場で返事なんかできるか。それに俺の心は千倉さんにまっすぐ向いていた。だから俺はイチロウの手を、親友の手をふりほどいた。
そして千倉さんの後を追い、走り出した。
(了)
エミちゃんは再び走り出そうとした。
俺はまた、彼女の手を掴もうとしたが、この状況を受け入れるのに必死で一瞬、手を出すのが遅れた。俺の手は空中で空振りした。
しかし、彼女の動きは止まった。イチロウがとっさに彼女の腕を掴んでいた。
「ライタ。まさか、お前が一目惚れをした相手って……」
「そうだよ、その千倉さんだよ」
そう言うと、イチロウの手が外れたのか、エミちゃんは走って行ってしまった。
俺は後を追おうとした。しかし走り出した瞬間、腕を掴まれた。掴んだのはイチロウだった。
「おい、待てよライタ。まだ返事を聞いてないぞ」
こんな修羅場で返事なんかできるか。それに俺の心は千倉さんにまっすぐ向いていた。だから俺はイチロウの手を、親友の手をふりほどいた。
そして千倉さんの後を追い、走り出した。
(了)