死刑の意味

文字数 460文字

「僕は、そんなに罪深いのだろうか?」
 ショウゴは、さらに考えた。

 この牢屋には、彼以外にも死刑や終身刑のものがいる。そもそも罪をつぐなわせるなら、終身刑でいいのではないだろうか。
 近く国王が退位されるので、恩赦があるのではと噂さている。しかし、ショウゴが出られることは無いだろう。脱獄も考えられる。しかし、単にそれだけで死刑に踏み切るだろうか?

 ショウゴは理不尽に搾取され続ける同胞のために力を尽くした。そのことが、そんなに悪い事なのだろうか?
「生きていること自体で、困る人たちがいるのだろうか?」
 確かにショウゴが生きていることは現政権にとって都合が悪いだろう。すでに彼は、レジスタンスの心のよりどころになっている。彼が死ねば、多くの同胞が沈黙するだろう。

「死刑は、見せしめに違いない。」
 誰への見せしめなのか。同胞は言わずもがなだが、似たような反体制全てのものへではないのだろうか。体制に抵抗していた自分の死が、体制に利用されようとしている。ショウゴは、死よりもそのことに憤りを感じ始めていた。
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