第39話 久しぶりのランチ

文字数 807文字

 一昨日、久しぶりに友人とランチをしました。もちろんソーシャルディスタンスを意識しながら。

 ショッピングモールのレストラン街。期間限定の文字に誘われて注文したのは、冷製のトムヤムクンラーメン。冷たく酸っぱ辛いスープは、暑気払いになった。この時世、食事しながら話すのは不謹慎。早々に食べ終え、タリーズへ。メールでは難しい会話の間合い。お喋り出来なきゃ再会の意味がない。コーヒーを飲みながら、マスクを付けたり外したり。今回は親の介護をしている者同士のストレス解消、毒吐きランチ。

 友人のお母さまは、余命宣告をされたALS。(よわい)八十を越えてからの発症。筋肉がやせ衰えていく病気で、医師も老化との区別に慎重だったらしい。確かにALSは現役世代のイメージがある。お母さまは病気らしい病気をしたことがない人。これまでは、お見舞い

側ばかりで、お見舞いされ慣れていないため、居心地が悪いらしい。

 しばらく入院されていたが、本人の希望で自宅に戻られた。回復したというわけではない。退院したことがわかるとお見舞いの嵐。友人曰く「今までの恩を返される勢いでお見舞いされてる」目処(めど)がついたら、お返しするのが世の常。でも、熨斗紙(のしがみ)に書いて渡す言葉がない。どうしても、お返しをしたい本人の希望で熨斗無しの商品券になった。適切な品かどうかは別として、本人の気持ちを軽くしたのは間違いない。

 友人には昨年、初孫ができた。孫の世話は嫁の親にお鉢が回ることが多い。親の介護と孫の世話。成長と老化。「真逆のふたりをみている」 と言った。また「忙しいことは重なる」 とも。私は月に1〜2回程度の病院の付き添い。友人の前で、嘆くような話など出来るはずもなかった。

 友人には以前、精神面で救ってもらったことがありました。お返しというわけではないですが、少しでも気持ちを軽くしてほしくて、ランチに誘いました。これからも、私ができることを探せたらと思っています。
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