親友
文字数 793文字
「実はさ、彼女ができたんだ」
圭介は親友の告白に激しいショックを受けた。
「え、そうなの? やったじゃん!」
彼は真っ白な頭で、なんとかそう口にした。
端正な顔立ちに均整のとれた長身。圭介は子どもの頃から女子にモテまくってきた。
だがストーカーまがいのことをされるのも日常茶飯事だったので、それは彼にとって嬉しいことではなく、むしろ迷惑なことだった。
女にもてる彼のことを快く思わない男子も多かったし、仲良くしている友人でも嫉妬心をのぞかせることがあったので、彼には心底から親友と思える相手は長いこといなかった。
圭介と涼太は、高2の時同じクラスになり、たまたま席が隣同士だった。
涼太は初日から筆記用具を忘れてきたので、圭介がシャーペンを貸してやった。
次の日は教科書を忘れてきたので、机をくっつけて圭介の教科書をいっしょに見た。
次の日は弁当を忘れてきたので、圭介のおにぎりを1つ分けてやった。
ある日、圭介が帰り支度をしていると、涼太が「いっしょに帰ろう」と声をかけた。
帰り道で涼太が「モック寄ってかない?」と言って圭介を誘い、「いつものお礼」と言ってビッグモックセットをおごった。
「こんなことしなくていいのに…」
「いいんだ。これからも迷惑かけるだろうから」
「これからも」という言葉が圭介の心に触れた。
二人は食べながら、他愛のないおしゃべりをした。
涼太は抜けていて、向上心のかけらもないやつだったが、その代わり嫉妬心も持っていない。
変なやつだと、圭介は思った。
それから二人は、いっしょに帰るようになった。
毎日何かしら忘れ物をする涼太を、圭介がフォローしてやった。
休みの日も二人で遊んだ。涼太といっしょだと、圭介は何をしても楽しかった。
おれに親友ができるなんてーー
圭介は幸せだった。二人で撮った写真を見ては胸をときめかせ、枕を涼太に見立てて抱きしめたりもした。
その大事な“親友”に、彼女ができたのだった。
圭介は親友の告白に激しいショックを受けた。
「え、そうなの? やったじゃん!」
彼は真っ白な頭で、なんとかそう口にした。
端正な顔立ちに均整のとれた長身。圭介は子どもの頃から女子にモテまくってきた。
だがストーカーまがいのことをされるのも日常茶飯事だったので、それは彼にとって嬉しいことではなく、むしろ迷惑なことだった。
女にもてる彼のことを快く思わない男子も多かったし、仲良くしている友人でも嫉妬心をのぞかせることがあったので、彼には心底から親友と思える相手は長いこといなかった。
圭介と涼太は、高2の時同じクラスになり、たまたま席が隣同士だった。
涼太は初日から筆記用具を忘れてきたので、圭介がシャーペンを貸してやった。
次の日は教科書を忘れてきたので、机をくっつけて圭介の教科書をいっしょに見た。
次の日は弁当を忘れてきたので、圭介のおにぎりを1つ分けてやった。
ある日、圭介が帰り支度をしていると、涼太が「いっしょに帰ろう」と声をかけた。
帰り道で涼太が「モック寄ってかない?」と言って圭介を誘い、「いつものお礼」と言ってビッグモックセットをおごった。
「こんなことしなくていいのに…」
「いいんだ。これからも迷惑かけるだろうから」
「これからも」という言葉が圭介の心に触れた。
二人は食べながら、他愛のないおしゃべりをした。
涼太は抜けていて、向上心のかけらもないやつだったが、その代わり嫉妬心も持っていない。
変なやつだと、圭介は思った。
それから二人は、いっしょに帰るようになった。
毎日何かしら忘れ物をする涼太を、圭介がフォローしてやった。
休みの日も二人で遊んだ。涼太といっしょだと、圭介は何をしても楽しかった。
おれに親友ができるなんてーー
圭介は幸せだった。二人で撮った写真を見ては胸をときめかせ、枕を涼太に見立てて抱きしめたりもした。
その大事な“親友”に、彼女ができたのだった。
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