魔術:投影と破壊

文字数 597文字

そういえば、ちょっと気になってたことがあるんだ。

投影で作り出されたものって、破壊できるんだろ?

術者が投影を続けていた場合って、どうなるんだ?

えーっと……壊れては再生して、壊れては再生してっていう感じかな。
はぁ……。
うわー、ピンときてないって顔だ。

難しいなー、どう説明したものかなー。

そもそも、投影したものはどういう風に出るんだ?

ぽんっと完成形が出てくるのか?

ああー、それは人によるな。

俺はガワを作ってから中身を詰めるタイプだし、

スハイルは中身を作ってからガワを被せるタイプ。

でもまあ、どっちにしろ中心部から魔素を固めるわけだし、

ぽんっと出ることはないかな。

そうなのか……。
あっ、そうだ。

再生のしかたは、壊し方によっても変わるんだよな。

魔素を散らした場合は組むところからやり直しだし、

物理的に壊した場合は破片を継ぎ合わせることで修復完了。

継ぎ合わせたところが脆くなったりはしないのか?
しないしない。

別々のコップに入れた水を混ぜたって、分け目はできないだろ?

……なるほど、わからん。

だって、投影したものには実体があるだろう。

だから、どちらかといえば水より氷だ。

別々の氷をくっつけても、継ぎ目は残る。

ええー、水の例えは上手いと思ったのになー。

投影しても魔素は魔素なんだよ、本物とは違うんだよー。

むしろ、本物ができたら魔法の域だよー。

(話すのもいいけど、料理が冷める……)
(しばらく続きそうですね……)
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登場人物紹介

スハイル-アルワズン

 魔術事務所世界/現代の主人公ポジ。

 代々魔術師を生業とするアルワズン家の次男。性格は温厚で、人当たりのいい好青年。

 出身はリエースの森。オラシェ街中の学校を卒業し、市街地の一画にある建物に部屋を借りて魔術事務所(便利屋)を営んでいる。

 魔術の腕は天才的だが、兄のレゴールがそれを上回るため、自分は凡庸だと思っている。が、難易度の高い魔術を使っている自覚はある。

 果物や紅茶が好物。口の中をズタボロにされたため、硝子魚は苦手。

 こんな顔をしているが体力は底なし。体もしっかり鍛えている。

レゴール-アルワズン

 代々魔術師を生業とするアルワズン家の長男。明るく賑やかな性格で、弟のスハイルを大切に思っている。

 オラシェ街中の学校を卒業後、リエースの森にあるアルワズン邸で暮らしながら魔術師協会からの依頼をこなしている。

 魔術の天才であり、発動速度もアルワズンの家系で1,2を争うほど。親しいものの前以外では魔術の行使を控えている。

 好きなものはナッツ。酒も好きだが、主に飲むのは紅茶。

 森から街まで歩いてくる。

アレース

 オラシェに住む魔術研究者。情熱とやる気はあるのだが、不器用なため魔術を使えたためしはない。

 基本的にニハルの経営する酒場「ヴィノー」に入り浸っているが、諸外国の魔術関係の史跡を巡る旅に出ることもある。持ち帰ってくる品々は品質が良く、本職の魔術師も垂涎もの。

 昔、旅の途中で自分を助けた魔術機関のことを気にしている。

 酒には強く、完全なるザル。エルムルイカの臭気は宿敵。

ニハル

 オラシェの裏通りで営業している酒場「ヴィノー」のマスター。意外とドジなところのある、無口でシャイな青年……なのだが、この4人でいるときには割と喋る。

 近年珍しい魔術師の孤発例。派手な魔術は使えないが、魔素そのものを弄っていろいろと遊んでいるようだ。

 アレースとは長い付き合いで、彼の希望で酒に魔素を溶かして提供している。意図せず飲み過ぎるアレースの体が心配な今日この頃。

 好物はエルムルイカ。日干しにしたものが店の奥に保管されている。

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