第126話 楓蓮姫の弟君  6

文字数 2,954文字


 公園のすぐ近くのマンションで待機する三人。

 

 現在0時20分ほど。

 約束した時間は刻一刻と迫ってるはずだが、流石にこの時間の人通りは少ない。

 

 じっと待つ龍子さん。ヤンキー座りで目を閉じている。

 その隣では同じように虎くんも黙っていた。



 公園にはさっき俺達が懲らしめたメンバー全員が待っている。

 そして、公園の外にはヴァルハラメンバーが三組に分かれて待機中。

 その中で王二朗くんもどこかに潜んでいるはずだ。


 竜王兄貴が接触してきたら、すぐに連絡を寄こすように言ってある。

 これでアッサリ出てきてくれれば、一網打尽に出来るのに。そう思っていると……


 公園付近に停車する車。ワンボックスカーだな。

 その後ろにもう一台停車すると、中からゾロゾロ男達が出てくる。


 

 

あれっすかね? でも……青い髪の人はいませんね。
もしかして青髪の兵隊か? ぶっ飛ばそうぜ。

待てっつってんだ。

今、ヴァルハラのリーダーからも報告があった。

反対側にも車二台が止まって、公園の中に入っていったとよ。

 龍子さんは慎重だった。

 確かに。この包囲網がバレてしまえば竜王兄貴も逃げちまうかもしれないしな。


 

囮のチーム達から連絡はありませんか?

ないな。今頃囲まれてんのに何も言ってこねーし。


くそ。参ったな……

出来れば竜王を確認してから出動したいんだけどな。

よし! 俺が先に行こうか?

俺も行ってもいいですよ。

その竜王の兄さんには会ったこと無いし、

……いあ。もう少し待機。

あれが竜王のチームかどうかもわかんねーし。

何の用件でこの公園に来たのかも知りたい。

 龍子さんはそう言ってスマホを取り出すと、公園にいるチームに連絡しているようだ。


でも龍姉ぇ。

竜王を見つけたら速攻殴りにいってOKなんだよな?

そうだ。俺達の目的は竜王一人だからな。全軍突撃だ。

そいつをボコれば、後は俺がこの市内を平和にしてやるよ。

 そう言う間にも龍子さんのスマホのコール音が聞こえる。

 どうやら囮チームのヤツが電話に出ないらしい。


「くそったれ」と文句を言い出す龍子さんだったが、その時――

 公園の方から叫び声が聞こえてきたのだ。

おい! なんかおかしいぞ!

 先に進む虎くんに龍子さんも続いた。

 今の奇声というか叫び声は尋常じゃない。それにその後に続く怒号も意味が分からない。


 俺も周囲を注意しながら公園の中を覗き込むと……

おいおい。何が起こってんだよ。

何でケンカになってんだ?

 絶賛乱闘中である。真夜中にも関わらず大声で怒鳴る男達。

 街灯だけなので非常に見えにくいが、チーム同士でやりあってるのは間違いない。

龍ねぇ! 俺が鎮圧してくる! あんのやろう!

俺も行きます! 龍子さんやメンバー達はまだ表に出ない方がいいでしょう。

下手すると竜王兄貴に逃げられるかもしれない。


くろさ……

蓮くんすまん。君に任せる。

竜王発見までなんとか……

よし。行こう。虎くん!

押忍! 蓮兄貴っ!

 


 ※


 虎くんと一緒に公園内へ突っ込んだ。

 大乱闘が起こっている場所まで来ると、立ち止まらずに飛び掛っていく虎くんであった。

てめぇら! 何でやりあってんだよコラっ!

兄貴っ! 誰が誰だかわかんねー!

とりあえず全員シメようぜっ!

 ケンカしてる人間達に一々「囮チームさんですか?」とも言えないし。

 こりゃぶっ飛ばした方が早い。

とりあえず落ち着けって言ってんだろ? 

 10数名で殴り合っていた奴らを一人ずつ蹴り飛ばしていく。

 ヤンキーと言えども、こりゃレベルが低いぜ。

 隙だらけな顔や鳩尾を狙っていれば、みんな一撃で床ペロしていくのであった。


すげぇ。兄貴……

全員一撃かよ!

 そう言う虎ちゃんも殴りかかった相手をズタボロにしてるじゃないか。

 一撃も貰わないんだからやっぱり強い。


 戦い方も虎ちゃんとソックリすぎて笑えてくるぜ。

っつーか。これが楓蓮さんの強さってことになるんだよな……

あの綺麗なお姉さんも、同じ実力を持ってるなんて、

 乱闘は虎くんと二人で鎮圧する。

 

 この様子をきっと龍子さんやメンバー達はじっと待っているのだろう。

 とりあえず、竜王兄貴が出てくるまで辛抱です。

強いな。ありゃ本物だ。余裕で一人づつ倒してやがる。

あの黒澤くんよりも強いって、楓蓮さんって一体……

マジかよ! 蓮くんもやるねぇ~。

強いとは思ってたけど、俺達と同じレベルじゃねーか。


その昔、河川敷で見かけた楓蓮さんの型と良く似てらっしゃる。








公園の近所のマンション6F。


あいつ……確か楓蓮ちゃんの弟だろ?

へぇ~~やるじゃねーか。全員ワンパンだぞ。

しっかし。残念だったな。

キャバの姉ちゃんもあんな場所に隠れてるし、あいつらのチームの潜伏ぶりは落第レベルだな。

ここから丸見えだっつーの。


 ※


で、何でケンカしてたんすか?

そっちはどこのチームですかね?


 すると相手チームの人間達は、この公園にいる奴らを叩き潰せと連絡があったそうだ。

 指示したヤツはどうやら竜王兄貴らしい。青い髪の男と言ってたからな。


どういう事だってばよ。

俺達はその人に「女の子を捕まえたからこの公園で待て」と言われたんだぞ?

【半グレ集団 その2】

いえ、そんな話は聞いてないです。

俺達はただ、ここにいる奴らを潰して来いといわれただけで、

 どういうことだ?

 という事は、竜王は初っ端からこの公園に来るつもりは無かったのか?

やばい……

 龍子さんに急いで電話する。

 ちゃんと蓮の番号で掛けると、龍子さんが電話に出た瞬間、虎くんが大きく叫ぶ。

兄貴っ! またきやがったぞ!

 暗がりの公園。俺達の前に四人ほど集まってくる。

 そいつらは倒れている男達に声を掛けていた。

蓮です! 龍子さん! 

ここに来たチームは、待ち合わせ場所に来た男達を潰せ。と指示されてたようです。


恐らくこの場所に竜王は来ないでしょう。

電話の最中、サイレンの音が聞こえてくる。

チームの増援だけじゃなくて、ポリもきやがったか。


あまりにも俊敏な警察。こりゃ完全にハメられた!

やばい。ポリもきやがった。

このままじゃまずい。チームも全員逃げましょう。

分かった。全員に伝える。

蓮くん! 君もまず逃げるんだ。後で連絡する!

了解! 虎くん! 逃げるぞ!
わかった! 兄貴っ! こっちだ!

 俺達が逃げると共に、チームの奴らもあらゆる方向へと逃げ出した。

 ポリが来たらケンカ所ではないからな。


 くそっ。誰だよ。ポリに通報した奴は。

 いくらなんでも早すぎるだろ!


 まさかとは思うが、竜王兄貴の仕業じゃねぇだろうな?

 あのナンパーマン。やってくれるじゃねーか!

公園付近のマンション6F


お~お~。頑張れ! 逃げろ!

ふふっ。こりゃおもしれー。


ポリから全員逃げまくってるのが、ここからよ~く見えるぜ。

ん? あれは?


王二朗?

なんだあいつ。

とっくにあいつ等と切れてると思ったのに、ちゃっかりつるんでるじゃねーか。


そうか……そういう事かよ。

俺の前でケンカして、決裂したと思わせながら、俺をハメようとしたワケか。

それならそれで、ヤツらを嵌めねーと気がすまないな。

冴ちゃんを舐めんなよ。


悪いが。俺はな……

一人の人間じゃねーんだよ。

――――――――――


河川敷で見かけた楓蓮さんの型と良く似てらっしゃる。

第一部 4章 59話。萌ちゃんゴリちゃんより



8章終わり。

次回 王二朗と将哉 1~8

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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