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文字数 714文字
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意識が戻ってくる。仰向けに僕は倒れている。展望台の下、芝生に。
すぐ横にはノノの姿があった。
春葉はいない。
汐見ミーケはどうしたんだろう。
ノノもずいぶん呻いていたが、倒れたままの姿勢で目をこすって、背伸びをした。
「まだ身体が痛くて動けない。アンタはどうなワケ?」
「汐見ってやつはどうしたんだ? それに、春葉の姿が見えない」
「わたしの心配はしてくれないのね」
「…………」
「大丈夫。春葉ちゃんは一足先に、チェインソーを買いに行ったわ。身体が頑丈なのよ、あの娘。それに汐見ミーケは、わたしたちを殺しはしない。まだ、だけどね」
「どうして」
「〈物質XYZ〉のカギを握るのがアンタだからよ」
「……また〈物質XYZ〉か。向こうの僕はどんな奴だったんだ……」
「わたしは、〈アース・オリジン〉の晶、女の子の晶が大好きだったわ。いい娘だった。だけど、彼女はまわりから孤立していて、わたしはそれを傍観するしかなかった。うちの心療内科でも、診察でもカウンセリングでも、こころは開かなかった。オリジンでのわたしは安定剤として失格だった。今度はレプリカ地球の方で、男の方の晶を救うお手伝いをしようとしたけど、こんな目に遭っている。こっちの地球でも、安定剤失敗ね」
「そんなこと言うなよ」
「もしかしてアンタ、わたしのこと好きになった?」
「一目見たときから好きだったよ」
「嬉しいケド、わたしは女性の晶……オリジンの晶が、好きだった。だからアンタは二番目に好き、ってことになるわ」
指し伸ばされたノノの手が、僕の手を握る。
僕は目を瞑る。流れ来る幻聴にその身をゆだねながら。
意識が戻ってくる。仰向けに僕は倒れている。展望台の下、芝生に。
すぐ横にはノノの姿があった。
春葉はいない。
汐見ミーケはどうしたんだろう。
ノノもずいぶん呻いていたが、倒れたままの姿勢で目をこすって、背伸びをした。
「まだ身体が痛くて動けない。アンタはどうなワケ?」
「汐見ってやつはどうしたんだ? それに、春葉の姿が見えない」
「わたしの心配はしてくれないのね」
「…………」
「大丈夫。春葉ちゃんは一足先に、チェインソーを買いに行ったわ。身体が頑丈なのよ、あの娘。それに汐見ミーケは、わたしたちを殺しはしない。まだ、だけどね」
「どうして」
「〈物質XYZ〉のカギを握るのがアンタだからよ」
「……また〈物質XYZ〉か。向こうの僕はどんな奴だったんだ……」
「わたしは、〈アース・オリジン〉の晶、女の子の晶が大好きだったわ。いい娘だった。だけど、彼女はまわりから孤立していて、わたしはそれを傍観するしかなかった。うちの心療内科でも、診察でもカウンセリングでも、こころは開かなかった。オリジンでのわたしは安定剤として失格だった。今度はレプリカ地球の方で、男の方の晶を救うお手伝いをしようとしたけど、こんな目に遭っている。こっちの地球でも、安定剤失敗ね」
「そんなこと言うなよ」
「もしかしてアンタ、わたしのこと好きになった?」
「一目見たときから好きだったよ」
「嬉しいケド、わたしは女性の晶……オリジンの晶が、好きだった。だからアンタは二番目に好き、ってことになるわ」
指し伸ばされたノノの手が、僕の手を握る。
僕は目を瞑る。流れ来る幻聴にその身をゆだねながら。