3 ❀ 西方の桃源郷

エピソード文字数 835文字

みーっつ!! これが最後の秘伝です
はい!
正しい心をもって、万事につとめるべし
落ち着いた声が深閑とした社殿にひびく。

忍びは影を生きる者です。


建物に潜入したり、作戦で相手のすきをつくこともあります。


そのさい、正しい心を持ち行動しなければ、盗賊や卑怯者になりさがってしまいます

正しい心って?

正しい心とは「一般の人を巻きこまない」「私欲のために忍術を使わない」などの精神的な指針です。


正しい心は良い気から成ります。


良い気とは思いやりいつくしみの気持ち


悪い気とは、うらみ、にくしみ、ねたみなど、ケガレといわれるものです

ケガレかぁ。持っている気がするなぁ
萌栄は自分の胸の真ん中に、片手をそえた。

ケガレをはらうには、に吹かれたり、太陽の光を浴びるといいんですよ。


では萌栄さんを、すてきな場所へご案内しましょう。

智子は社殿のそばにある杉森の小道へと萌栄を案内した。

歩いてしばらくすると、杉の葉の天井があけた。


うす紅色の花びらが萌栄の視界でひらりと舞う。

わぁ、すてき!!

なだらかな緑の丘に、何十本もの桜が立っていた。


花吹雪の中へ、萌栄は思わず駆け出した。


追い風は桜の丘をくだり、しののめ色に染まる里に花舞わせた。


ご先祖さまたちは他国を見聞したさい、あまたの美しい場所を見つけたそうです。


けれど「故郷にまさるところはなかった」といいます。


ここは  西方の桃源郷 といわれる隠れ里なんですよ

西方の桃源郷!

言葉にすると、里の風景がよりあざやかになったように萌栄には感じられた。


萌栄と智子は、桜舞うこの丘で、しばらく時を過ごした。


萌栄は、引っ越す前のことを、智子に話した。

ここにおったとかぁ~。見つけたぁ
小道から、鋼がやってきた。
萌栄さんをおむかえに?
はい。そろそろ忍塾の時間やから
私も支度をしなければ。それではこれで…

あ、待ってください。


秘伝やこの場所のこと、教えてくださってありがとうございます

いえいえ、またのちほどお会いしましょう。
智子は微笑んで、小道の向こうへ歩いていった。
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登場人物紹介

日高萌栄 (ひだか・もえ


中学2年生、13才の少女。

カピバラをこよなく愛する。

重黒木 鋼じゅうくろぎ・はがね


中学2年生、13才の少年。機械いじりが得意。

椎葉 発(しいば はつ)


中学2年生、13才。

萌栄の友達。花火師の孫。

黒木 殿下(くろき でんか)


萌栄のライバル

那須 雨音(なす あまね)


殿下の友達。

黒木 媛(くろき ひめ)


殿下の妹

日高 結芽(ひだか ゆめ)


萌栄のお母さん

日高 地平(ひだか ちへい)


萌栄のお父さん

日高 雲水(ひだか うんすい)


萌栄の祖父

重黒木 功(じゅうくろぎ こう)


鋼のお父さん

重黒木 理玖 (じゅうくろぎ りく)


鋼のお母さん

椎葉 康次(しいば やすじ)


発の祖父。花火師

黒木 智子(くろき ともこ)


殿下、媛のお母さん。

黒木 未夏 (くろき みか)


クラスメイト

中武 陽(なかたけ はる)


クラスメイト

那須 貴也(なす たかや)


クラスメイト

那須 由子(なす ゆうこ)


クラスメイト

お殿様。


西方の里を治める、お殿様。

南朝の忠臣、その子孫。

忠平(ただひら)


お殿様が助けた忍者。

加藤清正に仕えていたが、毒殺の濡れ衣をかけられ、逃げてきた。

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