第11話 定期検診

文字数 968文字


 実は私、手術を数回経験しています。今日は経過観察のための検査日。病院での様子です。

 午前8時10分、病院に到着。建物から1番近い駐車場は、すでに8割ほど埋まっていた。まず、自動受付→専門窓口の受付。順調に進んだのはここまで。最初の関門は血液検査。検査室へ向かうと、そこは人気店かと見紛(みまご)うばかりの大行列。整理券をもらうまでに数分、採血してもらうまでに、さらに待たされた。

 採血を済ませたら診察の待合室へ。今回は受診前に自分で身長と体重を計れとの指示があり、結果を見る。体重は毎日計っているので驚きもしないが、問題は身長。「ち、縮んでる……」しかも1.5㎝も……。最近は体重の増減よりこちらの方が気になる。すごすごと待合室の椅子に座る前に、トイレ(小)へ行きたくなった。用を足しながら、ふと悪知恵がムクムク。「もしかして、少し体重、減ったんじゃない?もう1回計らなくちゃ」もう一度。「えー‼︎ 」 体重は300g減ったが、身長も2㎜減った。悪あがきとはこういうものだ。言うまでもなく、最初の結果を出すことにした。

 クラーク(医師の事務的サポートをする人)に呼ばれ、画像診断室へ。受付を済ませ待合廊下の椅子に座る。私1人。これは早いんじゃない?期待大。それでも10分ほど待つ。「××番の(かた)〜」 大きな病院は受付番号で呼ぶ。すかさず赴く。3回も呼ばれ、挙句名前まで呼ばれた。私は目の前にいるのに。なんか変だ。目を合わさない。信じられないようだが、呼び出しをかけた人は、私の名前を呼びながら、顔見知りの患者を探しているようだった。やっと間違いに気付き「ごめんなさい。もうちょっと待って」だって。その笑顔が素敵だったので、快く許した。造作もないこと。

 最後は担当医の診察室。呼ばれたら間髪入れずに立ち上がる準備は整った。ジリジリジリ……。20分待たされる。担当医は30代半ばくらいの青年。昔は悪戯(いたずら)っ子だったのでは…を彷彿とさせる容姿。こちらの緊張をほぐすためなのか、もって生まれた性格なのか、私にいつもタメ口。「どお、元気?」 と相変わらず軽い。「アンタの方が顔色悪いんじゃね?」 と喉まで出かかった言葉を飲み込む。コロナ禍、医師の疲弊は計り知れない。

 午前11時20分。全て終了。以上のような検査を、まだしばらくは続けていかなければならない。

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