扶桑

文字数 1,587文字

こちらで扶桑さんが執筆します。他の方は書き込みをご遠慮ください。
ここは某所に存在する反政府組織のアジト。
魔人絶対主義を掲げ、活動を繰り返す彼らを追うため、当局も全力を挙げていた。
そして、当局はついにアジトを突き止め、まさに突入しようとするところであった。

fuso_wasedr09

さて、昼食の準備を…。冷凍食品でいいか。
もう当局がここを嗅ぎつけているかもしれない。
そろそろ、撤収の準備をしなくてはな。
…もしもの時は、カンナ、君に任せたぞ。
…了解。
リーダーは電子レンジに袋の冷凍炒飯を放り込み、時間をセットし、仲間たちと撤収の準備を並行して進めた。
その一方…

fuso_wasedr09

HQへ。こちら突入部隊。第1部隊、第2部隊、準備完了。すぐにでも突入できます。
突入の許可を、オーバー。
HQより突入部隊へ。すぐに突入を開始してくれ。今度こそ彼らを殲滅する。魔人も複数人存在すると見られる。注意せよ、オーバー。
HQへ。了解、突入します。
突入部隊は壁に指向性爆薬を取り付けて爆破した。
大きな土埃を上げ、開いた穴より部隊が突入する。

fuso_wasedr09

くっ、思っていたよりも早かったな。
相手が銃を持っているのはさすがに分が悪い。
ここは逃げるぞ、総員、撤退!緊急集合地点で落ち合おう!
リーダーの号令と同時に殆どのメンバーが逃げていく。
弾幕の中を逃げるのは魔人にとっても非常に困難ではあるが、一部の攻撃能力持ちの魔人によって相手の数を減らしたり、混乱させたりとすきを作って対処を行う。

fuso_wasedr09

ほとんど全員が逃げた中、ただ一人残っている人物が一人。
―カンナである。
最後に逃げたリーダーの逃げる時間を稼ぐため、必死で戦っていた。

fuso_wasedr09

なんだ、あの人物は!まだ戦うつもりか!
リーダー、貴方の無事を祈っています…。

その言葉と共に、周りの突入部隊は全て苦しみ始めた。
彼女の能力は、酸素を自由に生成、消失させる能力。大半の生物にとって、あまりにも驚異的な能力である。


fuso_wasedr09

がはっ、息が…
突入部隊が次々に倒れていく中、やけっぱちで銃を撃つものも居た。
それは、射撃と言うにはあまりにもお粗末で、殆どは空を切った。
しかし、ある一発が電子レンジを捉えてしまった。そこに魔人がいたとは知らずに―。

fuso_wasedr09

がっ!…いてて、当たりどころが悪かったら死んでるところだぞ。
まさか、俺を廃棄するつもりか?…おい、そこの女、そのつもりなんだろう?
何?貴方も私達のことを殺しに来たの?
…さっぱりわからん。俺はこっそり元あった電子レンジと入れ替わって遊んでただけなんだが…
…スパイ発見。ここで殺させてもらう。
わーっ、待て待て話し合おう!お前が俺を壊そうとしないなら俺も何もし…
問答無用、排除する。貴方は私達の障害になる。
くぅ、仕方がない…。こっちもやるしかないか。
カンナは淡く青色に輝く刀を抜き、電子レンジに切りかかった。

fuso_wasedr09

げっ、刀か…。<拡大>!
その瞬間、カンナの目の前から電子レンジが消失した。

fuso_wasedr09

…ワープか?しかしあれは電子レンジ。それ自体が魔人能力では…。
その通り!俺の魔人能力は電子レンジになることだ!
電子レンジの声(…もっとも電子レンジの発声器官はどこか不明だが)が奥から聞こえてくる。

fuso_wasedr09

まさか…。
最悪の想像をしたな!そう、ここは俺の中!
電子レンジで言うところの扉開けたところだ!
お前も電子レンジの使い方とその仕組みは知っているな!
くっ…。
カンナは外から入ってくる光の方向に向かって走り出した。
しかし、一向にその光が近くなってくることはない。

fuso_wasedr09

無駄だ、俺が拡大を続ける限り出られはしない!
終わりにしよう。出力最大、スイッチオン!
電子レンジから照射されるマイクロ波は、水分子をつなぐ振動子に直接エネルギーを与える。
体内も含む体全体を焼かれつつ、カンナは最期に言った。

fuso_wasedr09

リーダー、あなたの元で戦えたことを…光栄に…思います…。どうか…うまくやってください…。
チーン!
無情に響くベルの音がこの戦いに終わりを告げた。

fuso_wasedr09

時間!時間です!

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登場人物紹介

名前:電子 蓮司
性別:男性
能力:
自分自身を好きな電子レンジにでき、自身のすべての機能を使える。

設定:
冷凍食品を一々電子レンジに入れて温めること自体が面倒になり、
自らが電子レンジとなった元人間男性。
一応、運動も会話も可能。
レンジ内に入ったものを食べてエネルギーを補給するため、電源を接続しなくても活動できる。
勝手に他の電子レンジと入れ替わるのが趣味。
好物は冷凍炒飯。

相手を倒したい理由:誤って廃棄されそうになったから

名前:カンナ
性別:不明
設定:
魔人絶対主義を掲げる反政府武装組織構成員。戦闘部隊所属。
組織が計画した数多くのテロ事件の実行役として各国でマークされている。当局の執拗な追跡にもかかわらず、出生地、生年、本名といったすべての経歴がいまだ謎に包まれている。
外見的には十代半ばで、小柄。少女的な風貌だが十年前から全く姿が変わっていない。

老若男女問わず必要に応じて冷徹に処分し、無感情・無表情、機械的な印象を周囲には与える。
忠誠を誓うリーダーから贈られた蒼いカンナの花のことをとても大事にしている。首元に飾られたソレを傷つける者には容赦しない。
武器として淡い青色に輝く刀を所有。

相手を倒したい理由:リーダーが逃亡を完了するまでの時間稼ぎ

特殊能力:けして触れられぬ花唇
酸素を自在に生成操作する能力。
自身は酸素による悪影響を受けない。

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