90話 桜頼み
文字数 234文字
男が、冷たい女を
何とかしたいと、ずっと想い続けていた。
女も、気の毒と思ったのか、
「それでは、明日、仕切り越しでよければ」と言った。
男は、どこまでもうれしく、また疑う心もあり、
きれいに咲いた桜に、歌をつけて贈った。
桜の花は 今日は これほど美しく見えますが
あてに出来ますか 明日の夜まで 散らずにいるか
そんな気持ちで、心配していた。
*
さくら花 今日こそ かくも匂ふとも
あな頼みがた あすの夜のこと
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