この世に存在していない本
文字数 4,090文字
その利用者が図書館にやってきたのは、とある秋の日の午後だった。空は曇っていて、今にも雨が降りそうな天気だった。
「探している本があるのだが」
カウンターに来て、その男は言った。
その時私は、椅子に座って図書に貼る背ラベルを切っていた。それはそこそこ集中を要する作業だった。急に話しかけられ、一瞬何が起こっているかわからなくなってしまった私は、無言で男を見つめ続けた。私は二十二歳で、都内にあるこの図書館に勤務して半年になる女だ。
男の服装は特徴的だった。茶色のストライプ柄のスーツに赤色のネクタイ。山高帽をかぶり、丸眼鏡をかけ、ちょびヒゲを生やしている。手には素敵なステッキが握られていた。
「探している本があるのだが」
男はもう一度言った。
私はあわてて、すいません、と言った。
「タイトルはお分かりになりますか?」
そう尋ねると、男はスーツの内ポケットから手帳を取り出した。
手帳は黒い牛革で、つやつやと光っていた。高そうな手帳だ。よく見ると、腕にはいかついロレックスの時計をしている。スーツも仕立てのしっかりしたものだった。
「人気の本なのだがね。仕事で必要なんだよ」
彼は手帳をめくりながら言った。
どうやらタイトルは覚えていないらしい。手帳のどこかに書いてあるのだろう。
「最新刊の本ですと、予約多数で順番待ちになる可能性があります。ご了承下さい」
場を持たせるために私がそう言うと、彼は眉間にしわを寄せ、ああ分かってる、と言った。
「あった、あったこの本だ。自伝的な小説らしいのだがね」
「蔵書を検索しますので、タイトルをどうぞ」
「タイトルは……ごにょごにょごにょ」
聞き取れなかった。急に男の声が小さくなったのだ。
「すいません、もう一度お願いします」
「だから……ごにょごにょごにょ」
「はあ?」
その私の言葉がいけなかった。
急に男の顔がタコのように赤くなったかと思うと、プルプルと震えはじめた。
「そ、そ、そ、それが、き、客に対する口の利き方かぁっ!」
つばが飛んだ。私の眼鏡にかかった。野郎。
「申し訳ありません。聴こえづらかったので、もう少しハッキリとおっしゃって頂けますでしょうか?」
「ぶ、ぶ、ぶ、無礼な! 訴えてやる! 訴えてやるのだが!」
あー、腹立つ。原辰徳だ。
……いけない。上司の口癖が出てしまった。私の上司は、嫌な利用者に対応したあとでよくそう言うのだ。
ちなみに私の上司(55歳、二児の母、勤続十八年目)は、原辰徳はジャイアンツの監督ではなく、選手としてなじんでるそうだ。若かったときはハンサムだったのよ、とよく言っていた。どうでもいいけど。
私は男が落ち着くまでひたすら謝った。腹は立つが仕方がない。私は安い時給で働く非正規雇用のスタッフだ。立場は弱い。
「もう一度タイトルをお願いします」
「タイトルは! ……夫の(ボソボソ)が入らない」
「夫の……何でしょうか?」
「だからぁ! ……夫の(ボソボソ)が入らない」
私はパソコンの検索欄に「夫の」と入力した。問題はその後だ。男の声はハッキリしなくて聴きとりづらかった。忍耐、忍耐。
「夫の“何”が入らないのでしょうか?」
私が再び尋ねると、男は目を丸くした。
「そ、それは……」
男は小刻みに震えている。コミュ障なのだろうか?
私は良く聴こえるように、片方の耳を男に近づけた。
男は少し躊躇するような戸惑いをみせた。が、やがて意を決したのか、私の目を見て顔を近づけた。
「ちんちん」
そう男は言った。
出た、と私は思った。
こういう利用者はたまにいるのだ。セクハラ目的のキ○ガイ男。まともに相手してはダメだ。
私は怒りを抑えながら大きく息を吐いた。そして検索欄に、男の言ったとおりに入力した。キーボードが渇いた音を立てて響いた。
検索結果が表示された。もちろんそんな本は無かった。
「見つかりませんね」
「え? ないのかい? 結構人気らしいん本なんだけどね」
何が「結構人気らしい」だ。この変態野郎が。
「図書館のデータベースにはありませんでした。そういう本がちゃんと発売しているかどうか調べますね!」
私はウェブブラウザを立ち上げ、Amazonにタイトルをコピペ入力した。結果はすぐに表示された。
“夫のちんちんが入らない”に対して0件の検索結果が見つかりました
ほら、見ろ。この変態クズ野郎が。
「そんな本はこの世に存在していないようですね!」
「バカな。売れている本のはずだ」
「Amazonにはないです」
「おかしいな。ちゃんと発売してるはずなんだが」
クソが。頭わいてろ。
私は再び大きなため息を吐いた。ため息が震えていた。
いっつもこうなるんだ、と私は思った。いっつも頑張ろうとするとトラブルが起こる。
福岡出身の私は、四年前に上京して東京の大学に入った。いわゆる、東京でのキャンパスライフへのあこがれ。
しかし、大学は二年で行けなくなってしまった。コミュ障の悪化による鬱だった。
一年間休学して家に引きこもっていた。親からの仕送りを頼りに生きていた。
が、結局大学は辞めることになった。その時、実家に帰ろうかと思ったが、なぜか東京に残るという道を選んだ。福岡に帰ったら、本当に負けだと思ったのだ。完全なる人生の敗北だと。
そして思い切って、図書館員の求人に応募した。何となく自分にもできそうな仕事だと思ったからだ。二十一歳の春のことだった。
「そうだ。ISBNで検索してよ。できるでしょ?」
「ISBNですか? まあ、できなくはないですが」
ISBNとはインターナショナルスタンダードブックナンバーの略で、簡単に言うと、本一冊一冊に割り当てられている識別番号のことだ。
「ほら、ここに書いてあるから入力してよ」
男が手帳を差し出した。私は覗き込んだ。
「ほら、これだよ」
男の顔が私に接近してきた。近い。キモい。
「入力しますので、手帳をカウンターの上に置いて下さい!」
落ち着け、私。イライラしたら負けだ。どうせそんな本なんて存在していないんだから。こんなセクハラ野郎に負けるもんか。
男のくだらないたくらみに、こみ上げてくる怒りを抑えながら、私はISBNを入力した。
すると、どうしたことだろうか。本がヒットしたのだ。
私はパソコンの前でフリーズしてしまった。
「どう?」
再び男が顔を近づけ、パソコン画面を覗こうとした。
私はどうしようか一瞬考えた。
とぼけて、「ないです」と言ってしまおうか。
でも、駄目だ。あるんだから。
いくら何でも嘘はつけない。つきたくない。くやしいけれど。
「……ありました」
それは私の敗北宣言だった。
私はこの男をセクハラ目的の利用者だと決めつけていた。
やらしいタイトルの架空の本を女子スタッフに探させて性的興奮を得る、変態紳士だと決めつけていたのだ。
でも、彼が探していた本はあった。
その本は現実に存在していた。
私は無性にくやしかった。
しかし、そのくやしさはどこにも向かうことができない性質のものだった。それはまるで、流されなかったあの日に涙のように、あるいは、言葉にできなかったいつかの思いのように。……よくわからないけど。
「ほら~、あったでしょ。ったくもう、何なんだか」
男は勝ち誇ったかのように言った。
私はカウンターの下で固く拳を握りしめた。
「失礼いたしました。新着コーナーに置いてあるようです」
「案内して」
「は?」
「新着コーナーまで案内して。罪滅ぼしに」
握りしめた拳にさらに力が入った。食い込む爪が痛いほどに。
「わかりました。ご案内いたします」
私はバックヤードの控えスタッフに、利用者を案内してくると伝えた。そしてカウンターを離れ、新着コーナーへ男を連れていった。
「こちらになります」
「本はどこ? 探して。罪滅ぼしに」
ああ、神さま。私にマザー・テレサのような寛容な心をお与えください。
煮えたぎる怒りを抑えながら探すと、本はすぐに見つかった。私は男に手渡した。
「あった、あった。これだ」
男は小躍りして喜んだ。
私はゆっくりと息を吐いた。
これで終わった。
本は見つかった。
男の探していた本はこの世に存在していたし、この図書館内にもちゃんとあった。
私は、ほっととすると同時に、なぜ最初の検索でヒットしなかったのだろうか、と疑問に思った。タイトルで検索したら、確かに出てこなかったのだ。図書館のデータベースにも、Amazonのサイトにも。
私は男の手にしている本を覗き込んだ。そしてあることに気がついて、思わず息を飲んだ。
「タイトルが違う」
「え? 何?」
「ほら、タイトルが違うんです」
今、男が手にしている本のタイトルは、
『夫のちんぽが入らない』だ。
そして、さっき検索した時に入力したタイトルは、
『夫のちんちんが入らない』だった。
“ちんぽ”と“ちんちん”の違い。
それは近いようでいてあまりにも遠い、二つの呼び名。
「あ、ちんちんじゃなくてちんぽだったんだ!」
男は大きな声で言った。
「……そうみたいですね」
「へぇ~、おじさん、てっきりちんちんだと思っていたよ! そっか、最近はちんちんのことちんぽっていうんだね。いや~、知らなかった。勉強になった」
男はしきりに感心して、「へぇ~、ちんぽね。ちんぽなんだね」と言い続けた。
私は深い脱力を感じていた。なぜだか急に福岡に帰りたくなった。
……そっか。ちんぽね。ちんぽなんやね……
「ちなみにお嬢さんはどっち派?」
急に男が、放心状態の私に向かって言った。どっち派?
「何がですか?」
「だから、お嬢さんはちんぽ派? ちんちん派? それともぽこちん派だったりして(笑)」
……
……
……
やっぱり変態やったやなかか!!!
「探している本があるのだが」
カウンターに来て、その男は言った。
その時私は、椅子に座って図書に貼る背ラベルを切っていた。それはそこそこ集中を要する作業だった。急に話しかけられ、一瞬何が起こっているかわからなくなってしまった私は、無言で男を見つめ続けた。私は二十二歳で、都内にあるこの図書館に勤務して半年になる女だ。
男の服装は特徴的だった。茶色のストライプ柄のスーツに赤色のネクタイ。山高帽をかぶり、丸眼鏡をかけ、ちょびヒゲを生やしている。手には素敵なステッキが握られていた。
「探している本があるのだが」
男はもう一度言った。
私はあわてて、すいません、と言った。
「タイトルはお分かりになりますか?」
そう尋ねると、男はスーツの内ポケットから手帳を取り出した。
手帳は黒い牛革で、つやつやと光っていた。高そうな手帳だ。よく見ると、腕にはいかついロレックスの時計をしている。スーツも仕立てのしっかりしたものだった。
「人気の本なのだがね。仕事で必要なんだよ」
彼は手帳をめくりながら言った。
どうやらタイトルは覚えていないらしい。手帳のどこかに書いてあるのだろう。
「最新刊の本ですと、予約多数で順番待ちになる可能性があります。ご了承下さい」
場を持たせるために私がそう言うと、彼は眉間にしわを寄せ、ああ分かってる、と言った。
「あった、あったこの本だ。自伝的な小説らしいのだがね」
「蔵書を検索しますので、タイトルをどうぞ」
「タイトルは……ごにょごにょごにょ」
聞き取れなかった。急に男の声が小さくなったのだ。
「すいません、もう一度お願いします」
「だから……ごにょごにょごにょ」
「はあ?」
その私の言葉がいけなかった。
急に男の顔がタコのように赤くなったかと思うと、プルプルと震えはじめた。
「そ、そ、そ、それが、き、客に対する口の利き方かぁっ!」
つばが飛んだ。私の眼鏡にかかった。野郎。
「申し訳ありません。聴こえづらかったので、もう少しハッキリとおっしゃって頂けますでしょうか?」
「ぶ、ぶ、ぶ、無礼な! 訴えてやる! 訴えてやるのだが!」
あー、腹立つ。原辰徳だ。
……いけない。上司の口癖が出てしまった。私の上司は、嫌な利用者に対応したあとでよくそう言うのだ。
ちなみに私の上司(55歳、二児の母、勤続十八年目)は、原辰徳はジャイアンツの監督ではなく、選手としてなじんでるそうだ。若かったときはハンサムだったのよ、とよく言っていた。どうでもいいけど。
私は男が落ち着くまでひたすら謝った。腹は立つが仕方がない。私は安い時給で働く非正規雇用のスタッフだ。立場は弱い。
「もう一度タイトルをお願いします」
「タイトルは! ……夫の(ボソボソ)が入らない」
「夫の……何でしょうか?」
「だからぁ! ……夫の(ボソボソ)が入らない」
私はパソコンの検索欄に「夫の」と入力した。問題はその後だ。男の声はハッキリしなくて聴きとりづらかった。忍耐、忍耐。
「夫の“何”が入らないのでしょうか?」
私が再び尋ねると、男は目を丸くした。
「そ、それは……」
男は小刻みに震えている。コミュ障なのだろうか?
私は良く聴こえるように、片方の耳を男に近づけた。
男は少し躊躇するような戸惑いをみせた。が、やがて意を決したのか、私の目を見て顔を近づけた。
「ちんちん」
そう男は言った。
出た、と私は思った。
こういう利用者はたまにいるのだ。セクハラ目的のキ○ガイ男。まともに相手してはダメだ。
私は怒りを抑えながら大きく息を吐いた。そして検索欄に、男の言ったとおりに入力した。キーボードが渇いた音を立てて響いた。
検索結果が表示された。もちろんそんな本は無かった。
「見つかりませんね」
「え? ないのかい? 結構人気らしいん本なんだけどね」
何が「結構人気らしい」だ。この変態野郎が。
「図書館のデータベースにはありませんでした。そういう本がちゃんと発売しているかどうか調べますね!」
私はウェブブラウザを立ち上げ、Amazonにタイトルをコピペ入力した。結果はすぐに表示された。
“夫のちんちんが入らない”に対して0件の検索結果が見つかりました
ほら、見ろ。この変態クズ野郎が。
「そんな本はこの世に存在していないようですね!」
「バカな。売れている本のはずだ」
「Amazonにはないです」
「おかしいな。ちゃんと発売してるはずなんだが」
クソが。頭わいてろ。
私は再び大きなため息を吐いた。ため息が震えていた。
いっつもこうなるんだ、と私は思った。いっつも頑張ろうとするとトラブルが起こる。
福岡出身の私は、四年前に上京して東京の大学に入った。いわゆる、東京でのキャンパスライフへのあこがれ。
しかし、大学は二年で行けなくなってしまった。コミュ障の悪化による鬱だった。
一年間休学して家に引きこもっていた。親からの仕送りを頼りに生きていた。
が、結局大学は辞めることになった。その時、実家に帰ろうかと思ったが、なぜか東京に残るという道を選んだ。福岡に帰ったら、本当に負けだと思ったのだ。完全なる人生の敗北だと。
そして思い切って、図書館員の求人に応募した。何となく自分にもできそうな仕事だと思ったからだ。二十一歳の春のことだった。
「そうだ。ISBNで検索してよ。できるでしょ?」
「ISBNですか? まあ、できなくはないですが」
ISBNとはインターナショナルスタンダードブックナンバーの略で、簡単に言うと、本一冊一冊に割り当てられている識別番号のことだ。
「ほら、ここに書いてあるから入力してよ」
男が手帳を差し出した。私は覗き込んだ。
「ほら、これだよ」
男の顔が私に接近してきた。近い。キモい。
「入力しますので、手帳をカウンターの上に置いて下さい!」
落ち着け、私。イライラしたら負けだ。どうせそんな本なんて存在していないんだから。こんなセクハラ野郎に負けるもんか。
男のくだらないたくらみに、こみ上げてくる怒りを抑えながら、私はISBNを入力した。
すると、どうしたことだろうか。本がヒットしたのだ。
私はパソコンの前でフリーズしてしまった。
「どう?」
再び男が顔を近づけ、パソコン画面を覗こうとした。
私はどうしようか一瞬考えた。
とぼけて、「ないです」と言ってしまおうか。
でも、駄目だ。あるんだから。
いくら何でも嘘はつけない。つきたくない。くやしいけれど。
「……ありました」
それは私の敗北宣言だった。
私はこの男をセクハラ目的の利用者だと決めつけていた。
やらしいタイトルの架空の本を女子スタッフに探させて性的興奮を得る、変態紳士だと決めつけていたのだ。
でも、彼が探していた本はあった。
その本は現実に存在していた。
私は無性にくやしかった。
しかし、そのくやしさはどこにも向かうことができない性質のものだった。それはまるで、流されなかったあの日に涙のように、あるいは、言葉にできなかったいつかの思いのように。……よくわからないけど。
「ほら~、あったでしょ。ったくもう、何なんだか」
男は勝ち誇ったかのように言った。
私はカウンターの下で固く拳を握りしめた。
「失礼いたしました。新着コーナーに置いてあるようです」
「案内して」
「は?」
「新着コーナーまで案内して。罪滅ぼしに」
握りしめた拳にさらに力が入った。食い込む爪が痛いほどに。
「わかりました。ご案内いたします」
私はバックヤードの控えスタッフに、利用者を案内してくると伝えた。そしてカウンターを離れ、新着コーナーへ男を連れていった。
「こちらになります」
「本はどこ? 探して。罪滅ぼしに」
ああ、神さま。私にマザー・テレサのような寛容な心をお与えください。
煮えたぎる怒りを抑えながら探すと、本はすぐに見つかった。私は男に手渡した。
「あった、あった。これだ」
男は小躍りして喜んだ。
私はゆっくりと息を吐いた。
これで終わった。
本は見つかった。
男の探していた本はこの世に存在していたし、この図書館内にもちゃんとあった。
私は、ほっととすると同時に、なぜ最初の検索でヒットしなかったのだろうか、と疑問に思った。タイトルで検索したら、確かに出てこなかったのだ。図書館のデータベースにも、Amazonのサイトにも。
私は男の手にしている本を覗き込んだ。そしてあることに気がついて、思わず息を飲んだ。
「タイトルが違う」
「え? 何?」
「ほら、タイトルが違うんです」
今、男が手にしている本のタイトルは、
『夫のちんぽが入らない』だ。
そして、さっき検索した時に入力したタイトルは、
『夫のちんちんが入らない』だった。
“ちんぽ”と“ちんちん”の違い。
それは近いようでいてあまりにも遠い、二つの呼び名。
「あ、ちんちんじゃなくてちんぽだったんだ!」
男は大きな声で言った。
「……そうみたいですね」
「へぇ~、おじさん、てっきりちんちんだと思っていたよ! そっか、最近はちんちんのことちんぽっていうんだね。いや~、知らなかった。勉強になった」
男はしきりに感心して、「へぇ~、ちんぽね。ちんぽなんだね」と言い続けた。
私は深い脱力を感じていた。なぜだか急に福岡に帰りたくなった。
……そっか。ちんぽね。ちんぽなんやね……
「ちなみにお嬢さんはどっち派?」
急に男が、放心状態の私に向かって言った。どっち派?
「何がですか?」
「だから、お嬢さんはちんぽ派? ちんちん派? それともぽこちん派だったりして(笑)」
……
……
……
やっぱり変態やったやなかか!!!